TOKYO.maker report「デザインバトンズ 中村洋基 → 千房けん輔」

TOKYO.maker report「デザインバトンズ 中村洋基 → 千房けん輔」

宮越 裕生
宮越 裕生 (ID209) 公認maker 2014/05/16
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「TOKYO.maker report」は東京のはざまで面白いことをはじめたクリエイターたちの活動を紹介していくレポートです。

こんにちは、ライターの宮越裕生と申します。第一回目の投稿は、東京ミッドタウンのデザインハブで開催中の展覧会「デザインバトンズ ~未来のデザインをおもしろくする人たち~」 http://designhub.jp/exhibitions/913/ で行われたトークの模様をお届けします。

「デザインバトンズ」とは、デザインの領域でいま注目を浴びているクリエイターが若いクリエイターをキュレーションし、彼らへ「デザイン」の「未来」へのバトンを渡す、というもの。キュレーター+クリエイター計20名による、“未来”を感じるデザインの展示が見られます。

登壇者は、クリエイティブディレクター中村洋基さんと、公認makerでもあるアーティスト、千房けん輔さん。

中村さんはもともと電通のプログラマーでありながら、現在はクリエイティブラボ「PARTY http://prty.jp/ 」のテクニカルディレクターとして、レディー・ガガの等身大試聴機「GAGADOLL」やトヨタの「TOYOTOWN」、「FV2」などのインタラクティブキャンペーンを手がけています。

千房さんは、赤岩やえさんとともにアーティストユニット「エキソニモ」として活躍するアーティスト/プログラマ/ディレクター。詳しくは、千房さんのページ https://media.dmm-make.com/maker/137/ もチェックしてみてください。

それではさっそく「デザインバトンズ」会場にて、4月25日(金)に行われたトークの模様をレポートしたいと思います。

各界のクリエイターが注目するアーティスト、エキソニモがつむぐ“アート”の文脈とは?

中村:PARTY中村です、よろしくおねがいします。エキソニモの千房さんです。

千房:よろしくおねがいします。

中村:この企画は、僕が自分より若いクリエイターを見つけてきて、「こいつ若いのにすごく面白いデザインをしているぞー」という人を紹介するコーナーだったんですけれど、年上の千房さんを指名してしまって。

千房:大丈夫です、小学校5年生で精神年齢が止まっているので(笑)。

中村:僕も中2ぐらいで止まっています(笑)。今回、僕がなぜ年上にもかかわらず千房さんを呼んだのかというと、千房さんの目線の特異さにあります。こないだ、“ざっくりアートの変遷”みたいな文章を掲示板で見ました。
まず、写実主義を突き詰める。その後、『色を自由に表現していいんじゃね?』その後『形も自由に表現してもいいんじゃね?』その後、『キャンバスとかもぜんぶ自由に考えていいんじゃね?』、という系譜が書いてあって、なるほどなあと感じました。

千房:マルセル・デュシャンが展覧会に便器を出品した辺りから、すべてはじまっていますね。

中村:それって、それまでのアートの歴史とか文脈をふまえて、前の世代に対する反逆みたいなものがあった。そこに価値を見出す人がいるからこそアートとして成立したのかな、と思うんです。
一方、僕らPARTYはというと、今、展示している「GAGADOLL」などを つくっているんですけど、基本的には「プロモーション」なんですよ。プロモーションという課題があって、その課題解決に新しいテクノロジーを入れていく、という、教科書的な切り口なんですね。
でも、千房さんのつくるものって、もっとおかしい。ネット文脈の人からすると「すげーわかる」んです。つまり、アートの系譜をたどるような、インターネットをまるでアートとして見る文脈という、独自な視点を持ち続けている人だと思います。
デザインという言葉で、ぼくが“未来”について話をするのなら、千房さんという人が何を考えているのかを聞いきたいな、と思ったんです。

千房:課題解決という意味でいうと、多分アートでは「課題発見」がポイントなのかなと思っていて。
広告は課題自体が与えられるけど、アートの場合は「課題は世の中のどこにあるのかな?」みたいな感じで、自主的に探すことなのかな、と思いました。

ビデオチャット人形「nubot」

中村:それでは、千房さんの作品をもとに聞いていきたいと思います。最初は、「nubot」。

http://youtu.be/zovy4hY5Rd8

千房:これはビデオチャット人形というものなんですけれど、よくSkypeで会議とかやるじゃないですか。その時にパソコンの中だと存在感が薄くなってしまうので、こういう人形にしたんです。映像は実際の打ち合わせのシーンなんですけれど、遠隔で動かして感情表現とかもできます。

中村:あ、Skypeのダイヤルフォンで操作できるんですね。これって商品化しようっていう話が出たりしたんですか?

千房:そうですね。孫泰藏さん(ガンホー/モヴィーダ/ミスルトー 孫正義さんの弟でもある)がすごい気に入ってくれて、ちょっとこれ製品化しない、みたいな感じで会社をつくったりもしました。

中村:じゃあ、おもちゃ屋とかに並んだりするんですか?

千房:なかなか難しいですね。たとえば金型という巨大な壁があって。プラスチックで成型をするために金型をつくるじゃないですか。それだけで何百万とかかかって、その元をとるためには、一万個以上売らなきゃいけない、みたいな。そういう巨大な“金型”が襲いかかってくるんですよ。

中村:ははは(笑)。

千房:やっぱり僕は、商品化の手前のことがやりたいですね。新しいものをつくるというか。

中村:プロトタイプをつくったら、誰かが自動的に商品化してくれたらいいですよね。

千房:それが一番いいです(笑) そういう方を、探しています。

ウェブから派生し、ウェブへ還元されていく「ナチュラル・プロセス」

中村:次は、エキソニモの一番最近のエキシビジョン、「猿へ」。

千房:福岡のショッピングビルの中にある「アルティアム」というギャラリーでやったんですけど、入口を超狭くして。その入口はインターネット初期の回線の細さを表しているんです。インターネットって昔、ナローバンド(概ね128kbps以下の低速な通信回線)だったじゃないですか。あれを表現していて。そこからはじまり、エキソニモの1996年からの作品を17個ぐらいだーっと並べて、僕らの歴史とインターネットの歴史をなぞっていく、という展示です。この作品は新作なんですけれど、壁にプロジェクタで文字を映し出していて、そのプロジェクタで映した文字がミラーボールにあたるとパーッと拡散して、宇宙みたいになる、みたいな。

中村:まったく想像つかないです(笑)。 あ、この絵は何ですか?

Natural Process(2004)

千房:これは2003年につくった「ナチュラル・プロセス」 という作品で、Googleのトップページを油絵で描いて、それを六本木クロッシングという展覧会の時に森美術館で展示したんですよ。さらに、その展示をしている様子をリアルタイムにウェブカメラで撮影しウェブ中継した、という作品です。ウェブからとってきたイメージを一回展示会場に置いて、またウェブに戻す、という。

最初はGoogleに無許可でやっていて、つくっている途中で「実はこんなのやっているんです」ってメールしたら、展示を見に来て喜んでくれて、最終的にはこの作品を買ってくれたんですよ。この写真はGoogle社にGoogleをインストールしているところです。

その後、NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]で展示した時に、この作品を展示しようと思ってGoogleに聞いたら「ブラウザがChromeじゃないからムリ」って言われました。

それで「猿へ」の時は、この絵の贋作をつくって展示しました。中国に、贋作の油絵をつくってくれる村があるんですよ。ネットから画像を送ると、それを絵に描いてくれるんです。

中村:すごい。中国式クラウドソーシング(笑)。

千房:そうそう。細かく見るとなかなか面白いんですよ。アイコンなんかが適当にシャシャシャと描かれていたりとか、勝手に解釈されてて。

楽器をハック「exonemonster」

中村:(笑)。あ、この作品はネットでよく見ました。

exonemonster(2005)

千房:これはアメリカのリード・ガザラっていう人がはじめた「サーキットベンディング」という手法があって。おもちゃの楽器を開けて回路をつなぎ変えると、バグってめちゃくちゃ面白い音が出たりするんです。ちゃんとした専門知識のあるハックじゃなくて、とにかく手当たり次第につなぐ。すると、予想外にビヨョョョーーンとか、すごい音が鳴ったりするんです。それを組み合わせてオブジェ化したみたいな感じですね。これでライブもしました。

中村:これって知識のない人でもできるの?

千房:全然できる。こことここをつないだらどうだろう、とか適当にやっていって、一日ぐらいやっていると、すごい変な機能がいっぱい出てきたりとか。最終的にICからプシュッ!と煙が出て、壊れちゃったりもするんですけど。

http://youtu.be/vlnp9Lr3XEs

※2007年 パリ、ポンピドゥセンターでのパフォーマンス

exonemonster(「ウェブデザイニング」2010年7月号表紙ビジュアル)

中村:僕らの仕事の場合は、クライアントが満足するとか、自分ならこれが世の中に出てきたら嫉妬しちゃうなあ、みたいなボーダーラインがいくつかあって、そのラインを越えたら「できた」と思うんですけど、千房さんのアート的作品はどの瞬間に「成立した」って感じるんですか?

千房:それはやっぱり、つくってみてわかるというか。アイデアの段階で「すげー」と思っていても、実際にやってみたらたいしたことなかったりとか、そういうことって往々にしてあると思っていて。感覚的にピンとこなかったものは、あんまり世に出さないって感じですね。

中村:いやーすごいなあ、この展示。東京でもやって欲しいですね。

千房:やりたいですね。

中村:千房さんは雑誌の「ウェブデザイニング」で連載もしていますよね。

千房:そうですね、「連載ボーグ」というシリーズで。連載って、毎月書くのめんどくさいじゃないですか。それで連載BOT化計画というのをやり始めて、連載を自動で書いてくれるプログラムを開発してたんですよ。でも、やっぱりBOTって頭悪いので、成立しないということがわかって、その計画は頓挫しちゃったんです。
そこで気がついたんですが、それまではBOTというものは全自動で動かないといけないと思っていたのですが、世の中を見回すとガンダムとか人間が乗って操作しているBOTもたくさんいるな、と。そこで人間とKEIGO(@KeigoTheBot http://twitter.com/KeigoTheBot )というBOTが合体した連載ボーグというのを思いついて。
エキソニモとBOTが会話をしているという体で、100%人間が書いているんですけど(笑)。今出ている号(5月号 vol.154)は、ガーナのSAKAWA BOYS http://youtu.be/4BNO5n7FBUw っていうインターネット詐欺師がテーマです

WebDesigning 5月号 vol.154 掲載:エキソニモの「ウェブにふれる」Vol.31 連載ボーグ・シリーズ EP.11「サカワ・ボーイズ」

100年前からつづくインターネット上の秘密結社「IDPW」

中村:エキソニモとは別に、IDPW http://idpw.org/ (アイパス)というユニットでも活動してらっしゃいますよね。これまた、ホームページがやばいですね。

千房:これはIDPWメンバーのTomorrow Sharkがホームページビルダーというソフトでつくっていて。IDPWにはメンバーが10人ぐらいいるんですけど、ある時みんなで懐かしいデザインのページを見て回っていたんですよ。遺跡を散歩するみたいな感じで。それでパッとソースコードを見てみたら、どれも味わいのあるページにはホームページビルダーのタグが入っていて。しかもバージョン6.5から7ぐらいがアツいんです。昔っぽい木でできたボタンとか、フロッピーのアイコンとか、あの頃の感じをすぐつくれる。

中村:IDPWでも色々やっていると思うんですけど、中でもみんなめちゃめちゃ面白かったって言ってるのが、今回の展示でもドキュメンテーション映像を展示している「インターネットヤミ市」ですよね。これ、どういうコンセプトでやろうと思ったんですか?

https://www.youtube.com/watch?v=mjWJsE7B1cs

千房:基本的にはインターネットに関するものを売るフリーマーケットのイベントです。

中村:PARTYのQanta君はお父さんを売っていましたからね(笑)。

千房:そうそう。Qanta君を誘ったけど、忙しいからあんまり出来ないかなと思ったら、家族総出で来てくれて。ヤミ市には色んな売り物があるんですけど、Qanta君は小さな部屋をつくってその中にお父さんを入れて、200円払うと5分間会話ができる、というのをやって。これが結構人気あったんですよ。まあ、何がインターネットなのか全然わからないんですけど(笑)。

中村:有名なのは石を売っていたやつですよね。

千房:そうですね。石と、その石の3Dデータが入ったCDを並べて売っていた、という。石だから140円という値段がついていたんですけど、30分で売り切れていました。

中村:ええ~。

千房:もうその場がおかしな空気になっていて。買わなかったら負けみたいな。何かすごいこっちに挑戦されている感じがあって、みんなこぞって買っていました。

中村:あー、わかる。トランス状態になって、貨幣価値が歪曲する世界観。

千房:そうですね、うん。でもある人は帰り道でその石を捨てていた、という。

中村:その空間から出たら「あれ、なんだったっけ」みたいな(笑)。

千房:新宿駅の辺りで魔法がとけちゃって(笑)。

クリエイター/研究者たちの想像する未来とは

中村:今まで、千房さんという人がよくわからなくて。今日聞いて、やっていることの意味はわかったんですけれど、あのう・・

千房:なんでやっているのかってことですか?

中村:はい。メディアアーティストと同じようなモチベーションなんですか?

千房:まぁそうですね。面白いと思ってやっているという感じですかね。え、どこらへんが謎なんですか?

中村:いや、謎じゃないです。ですけど、千房さんの視点を私たちの文脈から翻訳しようと思ったんだけど、できなかった(笑)。面白いからいいんじゃないか、と。

千房:デザインという意味でいうと、表面的なデザインはあんまり関係なくて、もっと体験をデザインするみたいな、多分そういうことですかね。

中村:今回のデザインバトンズでは、”未来”に関する質問と答えが展示されていますが、千房さんの解答が結構面白かったんですよね。

千房:“未来”って、ずっと「未だかつて一度も世の中に存在したことがないもの」だと思ってきたので、未来というアイデアが自分の中に入ってきたのは結構最近なんですけどね。

中村:どんなきっかけでそう思うようになったんですか?

千房:ひとつは、未来のアイデアで、レイ・カーツワイルという人が、「シンギュラリティ(技術点特異点)」ということを言っているんです。それによると、コンピュータがすごい勢いで進化していくとある時、人間の知能を超える瞬間が訪れる、と。カーツワイルはそれが2040年くらいに来ると言っていて、その瞬間から、ありとあらゆる頭を使ってやらなきゃいけないことは全部コンピュータがやることになるだろう、と。たとえば、コンピュータがさらにかしこいコンピュータをつくる、みたいなことになっていき、人間のやることはなくなる。そういう考え方があるんです。

中村:いくつかのことは、もうコンピュータがやった方がいい、みたいなことになってきていますよね。たとえば、ルービックキューブを世界一早く解く「キューブストーマ」というレゴでできたロボットがあるんですけど。

http://youtu.be/X0pFZG7j5cE

千房:これすごいですよね。

中村:これ、3秒ぐらいで解いて、ギネスをとっているんですよね。あとは、絶対ジャンケンに負けないマシンとか。

千房:ああ、指の動きを先読みして負けない手を出すっていう。

中村:そう、相手が腕を上げた辺りでスパーン!て光速でグーを出すみたいな。

千房:まあ、超高速な後出しってことなんですけどね。

中村:そうそう(笑)。今、そうやってコンピュータが完全に人間を超えている部分と、その一方、人間にしか処理しきれないところが、パキッと両極に分かれてきていると思いますね。たとえば翻訳はどこまでいっても人間の翻訳を超えられない、とか。その二極化がおもしろい。でも、コンピュータが人間を完全に超えるのは2040年ですか?もう、すぐなんですよね。

千房:そうそう、結構すぐなんですよ。その流れは、もう止められないと思っていて。僕はそうなった時に、人間がその状況を前向きにとらえられるようになっていかないといけないのかな、と思っていて。
アーサー・C・クラークという「2001年の宇宙の旅」を書いた小説家が「幼年期の終わり」という小説を書いているんですけど、その中で、それに近いような状況があって。
その小説では、宇宙から宇宙人が来て人類に「もう君たちの役目は終わったよ」と言う。新しい子供たちの中には何%かの割合で進化できる子供たちが生まれてくるんですけど、もう進化しなくてもいいと言われた人たちは、もう役目が終わっているわけじゃないですか。その時にその人たちが何をやるかっていったら、アートとかをやるんですよ。アートをつくりながら余生を楽しむ、みたいな。

中村:なるほど。そういう意味でいうと、アートも、歴史的文脈や、美しいと思う法則をロジック化できたら、コンピュータの方が良くなっちゃうかもしれないですね。

千房:うん、ある部分はそうなっていく。たとえば写真が出てきて、写実的な絵を描くことの技能的な意味はなくなっていく、みたいな。

中村:ああ、そうですよね。今は「人口無能」という、人間らしい会話ができるようなものしかないですよね。人間の脳って、それとあんまり大差ないんですけど、人工「知能」になるとしたら、もう少し漠としたストックの中から、急にインスパイアされて表現したりする。そこをもっと高度に制御できるようになったら、人間を超えていくんじゃないか、と思ったりします。

千房:そうですね。あと、僕がもうひとつ思うのは、シンギュラリティという考え方をちょっと疑問に思っているところもあって。たとえば、知性がすごく上がっていくことを進化ととらえる考え方って、わりと西洋的な気がするんです。アジア人ってもっと身体とか環境と密接な気がするんだけど、知性だけでドーンと行くという考え方は、ちょっと西洋っぽい。
コンピュータが人間の知能を超えたら、自分はなんで存在するんだろう、みたいな哲学の方に入っていくかもしれない。そして究極の答えにたどり着いて、ただ何もしないニートみたいになる可能性もあるな、とも思っていて(笑)。

中村:「2040年に、人間に残されるものは何か」という話は面白いですね。
最後に千房さんの一番”未来”っぽい作品、「アンチボットTシャツ http://store.exonemo.com/antibot/ 」というのを紹介したいと思います。

千房:インターネットでBOTか人間かを見分けるための「Captcha」ってあるじゃないですか。

中村:ログインの時なんかに、文字の画像を見ながら入力させられるやつ。

千房:そうそう。コンピュータが歪んだ文字を認識できないということで、BOTをはじく機能ですね。あの歪んだ文字が結構かっこいいなと思って、Web上ででこれをTシャツにできるサービスをつくったんです。

中村:なるほど、これは面白いですね。コンピュータがジェネレートしているんだけど、コンピュータには読むことができないのがCaptcha。だからTシャツをジェネレートできるけど、認識できない。

千房:そう。だから、このTシャツを着ていたら、BOTが見ても読めないです。BOTから自分を守れるんです。これを着ていて、読めないヤツがいたらそいつはBOTだ、という。未来対応の作品ですね。

中村:(爆笑)。未来だ。

千房:これTDC賞をとったんですよ。フリーフォントを使っているのに、タイポグラフィで権威のある賞を頂いたという。

中村:いや、これすごいですね。やっぱり千房さん、めちゃめちゃ面白い。今日は千房さんをお呼びしてよかったです。
ということで特にまとめることもなく、こんな千房さんのご活躍にこれからもご期待ください!

――以上がこの日のトークの内容でした。

千房さんの謎に挑み「結局解釈しきれなかった」という中村さんでしたが、
そんな中村さんがディレクターとしてこれからどんなものをつくるか、期待がわいてきました。
そしてエキソニモの魅力は「なんだからわからないけど面白い」ところにあるんだなあ、ということが改めてエスタブリッシュされたトークでした。

2040年、このまま進化しつづけたら人の役目は終わる?

トークの中にも登場していた“未来”に関する質問の中で、千房さんは「“未来”は明るいですか?」という問いに次のように答えていました。

ーー 僕が“未来”に関して今一番興味があるのが、レイ・カーツワイルなどが提唱している「技術点特異点(シンギュラリティ)」です。これってつまりコンピュータが人間の知性を超えた瞬間を指すんですけど、それ以降は知的な仕事から人間は引退して、イノベーションはすべてコンピュータが担っていくという考え方です。
カーツワイルはそれが2040年くらいに来ると言っていて結構近い未来なんですよね。
そうなった時にじゃあ人間は何をしておけばいいんだろうと思いますし、アートみたいなきわめて人間的な行いはコンピュータにはどう捉えられるんだろう、とか、いろいろ思います。進化の輪から外されて、人類が自由へと開放されて幸せになるのか、負け犬みたいになってコンピュータに対して卑屈になっていくのか、心構え次第だと思いますが、それによって未来が明るいのか暗いのかが決まると思います。(千房)


シンギュラリティの話はわくわくする“未来”というより、ちょっと恐い”未来”の話という感じでした。
でも2014年になっても、千房さんなら、おもしろいことを考えていてコンピューターに負けない何かをつくっていそうですね。

「デザインバトンズ」の展示の方も見てみましょう。
こちらが、LADY GAGAそっくりの等身大人間型試聴機(Universal Music × オリエント工業 × PARTY)。

この人形はLADY GAGAのアルバム「ARTPOP」の発売を記念してつくられたもので、人形の胸に顔を当てて抱きしめると、内蔵された骨伝導スピーカーによって、楽曲とメッセージを試聴することができます。
(※「GAGADOLL」の展示は4月27日(日)にて終了しました)

肌のさわり心地は、中村さんいわく「すあま」。たしかに、少しゴムっぽくてしっとりとした、和菓子のお餅みたいな感触でした。公式サイト( http://gagadoll.jp/ )から見られるメイキングムービーは、サイボーグへのフェティシズムを誘うような刺激的なビデオです。
人形やロボットも進化しつづけると、人間の魅力を超えてしまうかもしれないですね。確かに2040年頃には、もう人間を超えているかもしれません。

お二人にもGAGA DOLLの隣に並んでいだだきました。
中村さん、千房さん、ご協力ありがとうございました。

同展には、他にも豪華なクリエイターによる作品が並んでいました。
こちらはアーティストの鈴木康広さんによる「ファスナーの船 http://www.mabataki.com/works/works06.html 」。思ったよりも大きい!

鈴木さんがバトンをたくした人は、デザイナーの狩野佑真さん。狩野さんは東大阪にあるネジ専門の製作会社「粉室製作所」との共同プロジェクトを展示していました。

こちらはデザイナーの田中良治さん(セミトランスペアレント・デザイン)と、田中さんが紹介した佐藤寛さん(White / ALOYE)による展示。
田中さんはYCAMで開催された展覧会「tFont/fTime」の映像を、佐藤さんはファッションブランド「ALOYE」のTシャツを展示していました。

今回の展示に参加しているクリエイターは次の通り。

・植原亮輔(KIGI)+阿部海太郎(作曲家、音楽家)
・内田伸哉(Yahoo! JAPAN)+橋田和明(博報堂ケトル)
・齋藤精一(ライゾマティクス)+谷川英司(TOKYO)
・渋谷慶一郎(ATAK)+郡司和也(ATAK)
・鈴木康広(アーティスト)+狩野佑真(studio yumakano)
・田川欣哉(takram design engineering)+牛込陽介
・田中良治(セミトランスペアレント・デザイン)+佐藤 寛(White / ALOYE)
・谷尻 誠(Suppose design office)+山口一郎(サカナクション)
・中村洋基(PARTY)+千房けん輔(exonemo/IDPW)
・ムラカミカイエ(SIMONE)+小浪次郎(写真家)

展示は5月11日(日)まで。

5月7日(水)には齋藤精一さん(ライゾマティクス)+谷川英司さん(TOKYO)、5月10日(土)は渋谷慶一郎さん(ATAK)と郡司和也さん(ATAK)のトークもあります。
本展の醍醐味はトークにあり。気になるクリエイターがいる方はぜひチェックしてみてください。

イベント概要

東京ミッドタウン・デザインハブ第45回企画展「デザインバトンズ~未来のデザインをおもしろくする人たち~」


会期:4月4日(金)-5月11日(日)11:00-19:00 会期中無休

会場:東京ミッドタウン・デザインハブ(港区赤坂9-7-1ミッドタウン・タワー5F)

入場料:無料
主催・企画・運営:東京ミッドタウン・デザインハブ(構成団体:公益社団法人日本デザイン振興会、公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会、武蔵野美術大学デザイン・ラウンジ)
総合ディレクション:青木克憲、伊藤総研

アートディレクション:原野賢太郎

http://designhub.jp/exhibitions/913/

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