ノー・モア・便利#01「リステリンに砂糖を入れる」

ノー・モア・便利#01「リステリンに砂糖を入れる」

石川大樹 (nomolk)
石川大樹 (nomolk) (ID179) 公認maker 2014/07/30
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諸君、便利にうつつを抜かしてはいないか?

ある者は言う。
「靴下はすべて同じものを買えば片方なくなっても履けるから便利」
まったく、便利のために靴下選びの自由を自ら捨て去る愚かしさよ!
またある者は言う。
「重曹は掃除にも消臭にも使えて便利」
掃除や消臭のためとはいえ、あのような得体の知れない粉を崇拝するとは。便利に操られて
いる…!

このように、便利は人々を虜にし、自由を奪い、正常な思考を奪い、人間としての尊厳を奪
う。われわれは世にはびこる便利に抵抗し、便利の暴走を止めなければならない!
本連載では、反便利活動家である私が、毎回、ひとつの「便利」を槍玉に挙げる。そしてそ
の便利に対し、反便利的な工作活動を仕掛けていく。この活動を通じて、わたしは読者諸君
に反便利の思想を啓蒙していくつもりだ。

第1回の槍玉は、こちらである

今回の槍玉:リステリン
便利ポイント:うがいをするだけで虫歯や歯周病が予防できて便利

全く便利なシロモノである。看過できない。
私は、この便利さを一発でスポイルする方法を考えた。虫歯予防には虫歯のもとで対抗すればよい。虫歯のもとといえば……そう、砂糖である。

さっそく、工作活動の成果を見てもらおう。

https://www.youtube.com/watch?v=vnroPjyF9w0

砂糖を入れたリステリンは辛く(というか、痛く、というか)なかった。料理に塩を入れすぎたとき砂糖を入れても塩を打ち消すことはできないが、驚くべきことにリステリンの刺激は砂糖で中和可能なのだ。ただし肝心の虫歯予防効果まで中和されるのだが(これが反便利の成果である)。

…そんな心底どうでもいい豆知識とともに、今日もひとつ、世にはびこる便利を打破することに成功した。しかし、世の中にはまだまだ無数の便利がある。それらをすべて殲滅するまで、わたしの活動は続くのだ。

メイキング

ここからは、このページを読んで反便利に目覚めた同志のために、工作活動の手順を残しておくことにする。

まずは砂糖を出す仕組みを考える。今回は、角砂糖を入れる筒をボトルにとりつけ、リステリンを注ぐ際に回転させ、砂糖を落とすことにした。

角砂糖をストック&発射するための部品を作る。素材は100均で買ったB4サイズのカードケースを切って使った。プラ板などを使うと硬くて加工しにくいので、耐久性を求めないならむしろこのくらい雑な素材がよい。接着もセロハンテープである。

金具をつけて補強したり、フタをつけたりする。
奥の、立方体っぽい部分が砂糖を発射するところである。ここが今回の工作活動のキモなので、詳しく説明したい。角砂糖を毎回ひとつずつ発射するための工夫だ。

上のGIFアニメは、実際に筒を回転させて、角砂糖をひとつずつ発射している様子だ。
(1) 筒が下を向いたときに立方体の中に砂糖が落ちる。
(2) そのあと筒を回転させて上に向けるが、先頭の砂糖だけが筒と立方体の段差にひっかかる
ため、下に落ちないで残る。
(3) 左を向いたとき、立方体の中にひとつだけ残った砂糖が開口部から落ちる

言葉で説明するとすこし複雑だが、仕上がりはGIFアニメのとおり。
工作活動にはこうした工夫が重要だ。ネット上にはライフハック等と呼ばれる生活を便利にする工夫ばかりが横行しているが、こうした反便利のための工夫もあってしかるべきである。

つぎに電子工作にとりかかる。ポイントとなる部品は3つ。

上から順に、まず、サーボモータ。これは角度が決められるモータ。普通のモータのように高速で回り続けるのではなく、「xx°のところまで回す」という命令ができる。これに先ほどの筒を取り付けるのである。

まんなかの金色い部品はチルトスイッチという。中に金属球が入っており、傾けるとそれが転がってスイッチがONになる(電気が通る)。

下のはマイコンで、サーボモータに命令を出すのに使う。機能的にはArduino等を使ってもよいのであるが、小さいうえに1個100円と安いという理由で、わたしはAVR(ATTINY2313)という部品を使っている。便利を作れば金が入ってくるが、反便利には誰も金を出そうとしない世の中である。反便利活動家にとっては節約も活動のうちなのだ。

これらの部品を使って、

(1) チルトスイッチでボトルの傾きを検知
(2) マイコンが作動してサーボモーターに命令
(3)サーボが筒を回して 砂糖を落とし、そのあと元の位置に戻す

という一連の動作を作る。

基盤に部品をはんだづけした。

マイコンには、どういう動きをさせたいのか、プログラムを書き込まなければいけない。

AVRの場合はC言語で書ける。

電子工作をしてプログラムを書いて……という一連の作業は難しそうに見えるが、わたしの場合はプログラムはほとんどネット上にあったコードからのコピペだし、電子工作はこの程度の部品数ならほとんど「電源と各部品をつなぐだけ」程度の単純なもの。意外に敷居は低い。特にプログラムが書ける人なら、すぐに動くものが作れるようになる。自分が書いたコードが画面を飛び出して目の前で動く様子は本当に愉快なので、まだ未経験の同志諸君はぜひ挑戦してみてほしい。

プログラムを書きこむと、傾きでサーボモーターが動かせるようになった。

あとは各部品を合体させれば完成である。

まずサーボに筒を接続。それをリステリンのボトルにとりつける。

うまく砂糖が落ちる位置を探った結果、筒はこんなでっぱった位置につくことになった。
ちょっと格好悪いが、反便利の理念達成のためにはなりふり構っていられない。また、多少でっぱっていたほうがあとあと収納しにくく、反便利的なのである。

電池等の部品を固定。
こうして完成したのが、「自動的に砂糖が入るリステリンボトル」である。
最後にあらためて動画を貼って、その動きを確認したら今回の活動報告をおしまいにしよう。

ではまた次回。合言葉は「ノー・モア・便利!」。

https://www.youtube.com/watch?v=vnroPjyF9w0

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