IT彫刻ラボ(1)「ドット絵彫刻を作る」

IT彫刻ラボ(1)「ドット絵彫刻を作る」

鈴木一太郎
鈴木一太郎 (ID219) 公認maker 2014/06/30
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皆さんはじめまして。駆け出しアーティストの鈴木一太郎と申します。まずかんたんに自己紹介をさせてもらいます。僕は美術高校、美術予備校浪人を経て、大学、大学院とずっと美術を勉強してきました。専門は彫刻で主に立体造形をしていますが、絵もたまに描いたりしています。このDMM.makeでは、主に僕の作品制作のコンセプトや過程をお見せしていきたいと考えています。皆さんの「何か作りたい」というお気持ちのヒントになれば嬉しいです。

制作コンセプト

さて、僕の作品を一言で表すと「ドット絵彫刻」です。レトロゲームなどで使用されていたドット絵を立体にしてしまった感じですね。

「単眼的風景:David」(2012)
ダヴィデ像をドット絵にしました。二次元の様な三次元の様な…。

このドット絵彫刻は「彫刻をインターネットと強く関係させたい!」という考えがコンセプトの元になっています。皆さんは、彫刻を鑑賞する機会ってありますか? もちろん芸術鑑賞が趣味の方もいるでしょうが、頻繁に彫刻鑑賞をする人はそんなに多くないと思います。また、有名な彫刻を実際に自分の目で観たことはありますか? 多くの人は、指を数える程度ではないでしょうか。実際に自分の目で見たことはないけれど、本やインターネットで観たことはあるというのが、現代の彫刻を鑑賞するという行為を取り巻く状況だと僕は考えています。

「ダヴィデ像」(ミケランジェロ作)

出典- http://ja.wikipedia.org/wiki/ダビデ像_(ミケランジェロ)

一応、僕はダヴィデ像を実際に見たことがあります。

インターネット等の通信技術が発達し、実際に「物」と対峙しなくても様々な体験が出来るようになった現代において、彫刻や物の在り方について考える様になって生まれたのが「ドット絵彫刻」です。ディスプレイを通して見るだけで満足してしまわない「視覚的に面白くて、尚且つ実物を見て対峙してみたいと思わせる彫刻」を制作することを目標にしています。

「単眼的風景:Gruppo del Laocoonte」(2013)
ラオコーン像をドット絵にしました。東京ミッドタウンアワード2013にて。

インターネットと彫刻の親和性

現在のインターネットにおいて物事の情報を伝える重要な要素は、視覚・聴覚情報です。そう考えると、彫刻は非常にインターネット上に載せることが難しいメディアであるといえます。SNS、Youtube、ニコニコ動画などでも多くのクリエーターが芸術活動の発表をしていますが、そのほとんどが写真、動画、音楽、イラストなどのインターネットと親和性が高いメディアです。

現在は3D技術が発達しMMD(MikuMikuDance)などの立体的な表現もインターネット上で可能になってきましたが、ディスプレイという平面的なインターフェイスを使用している以上、それは絵的な表現に近いと思います。また、そういった平面的なインターフェイスは普遍的であり、この先もなくなる事はありえないでしょう。

僕は現在、研究の一環としてVRヘッドマウントディスプレイの「Oculus Rift( http://www.oculusvr.com/ )」を使った作品制作やパフォーマンスを行っていますが、この様なVRシステムが一般に浸透するのはもう少し時間がかかるでしょうし、平面は強固な表現方法であり続けると思います。

そのため先ほど述べたように「視覚的に面白くて、尚且つ実物を観て体験してみたいと思わせる彫刻」を模索して行く必要があると思い至りました。つまり、平面的表現に変換できる彫刻です。ディスプレイと同じドットという表現を用いることで、写真や動画などの平面に変換しやすい形でありながらも、視覚効果によって立体感を感じ、彫刻の「存在感」について言及できるのが「ドット絵彫刻」です。

長々と僕の彫刻論にお付き合い頂きましたが、そろそろ眠たくなってきた人も多いと思いますので、実際に制作過程を見てもらいましょう。

制作過程

1. 必要な道具・材料を揃える

・木材ブロック:今回、使用した物は1cm角のブロック。ホームセンターなどで売っています。

・アクリル絵の具セット:これもどこにでも売っている絵の具セット。

2. 設計をする

今回は制作過程の説明のためなので、有名彫刻などではなく簡単なモチーフにします。僕の作品に度々登場するワンコのレオ君です。 簡単なモチーフと言いましたが、ドット絵彫刻を作るのには結構な根気が必要です。

このレオ君のドット絵ですが、必要なブロックの数は
・黒色:111
・薄茶色:108
・茶色:28
・濃茶色:14
・合計:261個

…となります。ひとつひとつのブロックに色を塗ることを考えると結構な数ですね。実際に僕は過去の作品で1万以上のブロックを塗った事がありますが、発狂しかけました。ドット絵を描くツールには、PhotoshopやEDGE( http://takabosoft.com/edge) などを使用すると良いと思います。

3. 着色

着色完了。設計に基づいて塗り分けます。発狂はしませんでしたが根気は必要です。 もし、着色が大変だと思う方は、大きさは小さめに限定されてしまいますが、 アイロンビーズを代わりの材料として使用すると値段も安くお手軽に作れます。

4. 組み立て

設計図を参考に瞬間接着剤で接着して行きます。木工用ボンドでも良いです。

5. 完成

組み立て完成。少々荒い方が、物質感があって僕は好きです。ちゃんと自立しますね。

6. 撮影

ドット絵彫刻は写真に撮影してネットで公開するところまでがコンセプトです。日常の風景に溶け込ませてみると、空間が歪んだような面白い写真が撮れます。

原っぱを走り回るレオ。これは今回作った物を大きく作り直したものを使って撮影した写真です。

夜道に佇むレオ。ウチに来るかい?

以上がドット絵彫刻の制作過程です。

まとめ

いかがだったでしょうか? インターネットや3D技術の発展した昨今、新しい物作りのアプローチが出来る様になりました。しかし、いきなり実際に立体造形をしたり、3Dデータを扱うのは難しくもあります(僕も10年かかって習得しました…)。 その点、ドット絵彫刻はあまり難しい技術を使わないのでおススメです(根気は必要ですが)。皆さんも良かったらチャレンジしてみてください。

次回は違うバリエーションのドット絵彫刻を紹介したいと思います。 お楽しみに。

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