FabCafeカルチャー(1)

FabCafeカルチャー(1)

岩岡孝太郎
岩岡孝太郎 (ID297) 公認maker 2014/07/03
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FABカルチャーがつくり出す新しいクリエイティブのカタチ「360°Book」驚きの世界

はじめまして。FabCafeの岩岡です。

FabCafeは、新しいものづくり“FAB”のスピリット( http://tokyo.fabcafe.com/about/story )を、楽しく、おいしく、わかりやすく伝える空間として、2012年3月に東京渋谷にオープンしました。

2014年4月現在、FabCafe Tokyo, FabCafe Taipei, FabCafe Barcelonaの3店舗を展開し、ローカルのクリエイターやパートナー、ものづくりファン、そしてFabLabや他のコークリエイションスペースと連携しながら、グローバルにFABカルチャーを発信しています。

FabCafeにはレーザーカッターや3DプリンターなどのFABマシンがあり、オープンなカフェの中で自由なものづくりが誰でもできるわけですが、今日はその中でも世界中にたくさんの“Wow”を持って迎えられた作品「360°Book」をご紹介します。

単なる手仕事を越えた域にFabの驚きがある

▲レーザーカッター

代表的なFABマシンの一つ「レーザーカッター」。
レーザーカッターは、コンピューター制御で高出力のレーザー光線を照射し、板状の素材の表面に彫刻を施したり、切断することができる機械です。データさえ準備すれば、指示通りに精巧な加工を行なうことができます。例えばこの機械で加工可能な素材のアクリルは固く、それでいて傷つきやすく、工作に挑戦した方ならわかると思いますが、単純な形状で切り抜こうとしても手仕事で加工するにはなかなか骨が折れます。しかしレーザーカッターを用いるといとも簡単に切断することができるのです。

fabcafebrandbook02.jpg https://www.flickr.com/photos/fabcafe/13910382441/in/set-72157644143275854
▲レーザーカッターで加工したアクリルピックの作例

でも、「がんばって手仕事でできる」ことは本質的にはレーザーカッターが可能にするクリエイティブの驚きではないかもしれません。FABの驚きとはすなわち「クリエイティブが与える驚き」です。超絶技巧の職人技に人々が驚愕するように、レーザーカッターのポテンシャルを最大限に引き出した域に人々の”Wow”の感嘆が集まるでしょう。

二次元加工のマシンから三次元作品を生み出すアイデア

▲360°Book”Sweet Home”外観

前置きが長くなりましたが、いよいよ「360°Book」紹介です。
作者は建築家の大野友資さん( http://fabcafe.com/fanpage/c00001 )です。大野さんは、コンピューターを駆使した建築や家具のデザインを得意としており、仕事の中でもFabマシンを活用されています。二次元と三次元の間を常に行き来して思考する大野さんは、二次元加工のマシンであるレーザーカッターで本をつくり、三次元の作品として見せるアイデアを発案しました。

▲FabCafe Tokyoでの制作風景

360°Bookのデザインプロセスは一般的に思い浮かべる本とはだいぶ異なります。はじまりは3D CADの中。本を構成するすべてのページを放射状に開き、各ページに配置される図案がどのような見え方をするか一つずつ確認しながら進められます。各ページのレイアウトは、平面上の本のフレームに納まっていますが、開き切った状態で見ることで、図案が立体的に重なり合い、絵本を読むように刻々と物語が展開されていくのです。

さあ、360°Bookの物語の世界を覗いてみましょう。

▲360°Book”Sweet Home”開いた状態

▲360°Book”Sweet Home”内観その1

▲360°Book”Sweet Home”内観その2

▲360°Book”Sweet Home”内観その3

いかがでしょう。360°Bookの物語の世界を感じていただましたか?

紙をレーザカットする際に、すべての図案がフレームと一体になっていないと抜け落ちてしまうので、立体感を損ねないように注意深く配置が決められています。また、レーザーカッターが持つ繊細な加工を引き出すべく、各部の寸法も繰り返し試作を行なって極限まで追いつめてあります。

こうして「360°Book」の驚きが誕生したのです。

驚きは世界へ広まり、商品化、そして名誉ある受賞に至る

▲FabCafe Brand Book

最初に「360°Book」に注目が集まったのは、FabCafeが主催するグローバルクリエイティブアワード「YouFab 2012」で優秀賞を受賞したときでした。

この受賞をきっかけに「360°Book」は世界中のWebメディアに次々と取りあげられ( http://www.spoon-tamago.com/2012/12/12/yusuke-oono-360-degree-christmas-book/ )、大野さんやFabCafeに問合せが次々と舞い込みました。
FabCafeのFabデータサイト( http://fabcafe.com/work/w00001_001 )からダウンロードされた360°Bookは、FabCafe Tokyoでも他のクリエイターによって制作され、ロサンゼルスに拠点を置くデザインカンパニーARTECNICAからは、ランプシェードのカタチで新しいプロダクトとなって販売されています。

https://www.youtube.com/watch?v=V-aEKJgPAr8

▲FabCafe Brand Bookプロモーション動画

360°Bookの可能性をさらに高めるべくFabCafe Brand Bookプロジェクトチームが結成され、なんと世界的な広告賞である第93回ニューヨークADC賞と2014年D&AD賞をダブル受賞することができました!( http://loftwork.jp/news/2014/04/20140417_nyadc_dandad.aspx

ここまでの成功を収めるとは正直想像がつきませんでした。大野さんのアイデアからはじまり、気軽に作品制作ができるオープンなFAB環境、クリエイティブ愛するファンの存在、ユニークな作品を世に送り出すために協力を惜しまないパートナー、すべてが繋がり、みんなでつくり上げたまさにCo-Creationの大きな成果だと思います。

決して特別な成功例や自慢話ではありません。Co-Creationで驚きを次々と生み出しているのがFABカルチャーです。
「360°Book」の驚きは間違いなく他のクリエイターをインスパイアするでしょう。
あなたは何をFABしますか?

FabCafeというオープンな場で、次なるクリエイティブのカタチを共に生み出すことを楽しみにしています。

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