3 Dimentional Surface #1: Manuel Fernández

3 Dimentional Surface #1: Manuel Fernández

MASSAGE
MASSAGE (ID363) 公認maker 2014/06/24
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この記事について

本記事は2014年の1月に発行された、世界のインターネット・カルチャーを特集した雑誌『MASSAGE』( http://themassage.jp )の増補版としてお送りしております。

場所と文化は強く結びついているものですが、インターネットという場所もその例に漏れず、特有の文化が生まれてきていることを強く感じるようになってきました。

由来の分からない多くのイメージや音に身を任せて、それらが形作っているモードに身をゆだねていると、一様に見える世界にも様々な出来事が起っていて、独自の文脈が育ちつつあることが見えてきます。

もはやごくあたり前となったインターネットの中の光景も、わたしたちの日常に近いものになったからこそ、気がつかないうちに、僕らの考え方や、ものの見方に影響を及ぼしつつあります。そうした感覚の変容を、とてもワクワクしながら享受している人間は僕だけではないはずです。

本連載では、雑誌の特集に引き続き、そうした場所で、目に留まった作品や作家を捕まえて紹介してみたいと思っています。そして、データでつくられた表現物を、3Dプリンターを用いてどんどん三次元のカタチに出力していこうと思っています。

あまりよく知られていないアーティストばかり紹介することになってしまうかもしれませんが、彼・彼女らの作品を楽しんでいただけたらと考えています。

第一回:Manuel Fernández

今回紹介するのはスペインで活動するManuel Fernándezというアーティストです。

どうも最近3Dというのがキーワードとして浮上してきている気がします。3DCGというとコンピューターの中で三次元を描く技術のことですが、二次元の中に無理矢理三次元を作り出しているということは面白い、と彼の作品を見ていてあらためて思いました。

Cermaというウェブギャラリーで興味深い試みが行なわれました。題して「What we call sculpture(私たちは彫刻を何と名付ける?)」。架空のギャラリーの中にデータでつくられたスカルプチュア展示、それをウォークスルーで見て回るというものです。けっこう前にセカンドライフというのがありましたが、そんな感じと言ったら伝わるでしょうか。その時の展示の画像は以下で見ることができます。

http://www.cerma.de/exhibitions/2013/what-we-call-sculpture/

インタネット上のスカルプチュア

この展示のキュレーションを手掛けたのが、アーティストのManuel Fernándezです。この展示で彼はインターネット上でのスカルプチュアの可能性を提示しています。Manuelは次のように言っています。

「ニンテンドー64のマリオブラザーズからSocial Lifeのようなソーシャルネットワークや、Google Earthを通して現実の世界を感じるといった方法まで、3Dソフトウェアツールで作られているものは、我々の実物空間の理解や接し方などを大きく変えたと思う。それは今の建築家が、設計に使ったAutoCadのバージョンを認識できるぐらい強い影響がある。僕らが彫刻と名付けるものは、彫刻という手法、インスタレーションなどの作品だけど、そこには美学的な戦略をオンラインで発展させるためのデジタルな実験という意味があるんだ。」

展示空間にはデータでつくられた立体作品が並べられているのですが、空間がリアルな分、立体の非現実感が際立っていてとても面白い。今AutoCadで作品を設計する彫刻家がいるのかは分かりませんが、データならではの質感を新しいマテリアルとして取り扱っていこうという意気込みを感じます。

http://vimeo.com/49401522

彼はまた「New Ruins」というGoogle Earth上に遺跡を構築するという作品も発表しています。これもまた、インターネット上にスカルプチュアを成立させようとする試みのひとつ言えますね。

最後に、彼はインターネットやデジタルツールを作品に取り入れる理由について次のように語ってくれました。

「それは、ツールであり、僕らが生きている時代の自然な背景であると思う。それまでのツールやコンテキストには、僕らが今遊んでいるような、クリエイティヴな探求の可能性はなかった。もっと先を見て、実際にインターネット上で起こっていることに参加できれば、最もたくさんのチャンスがあると思っている。」

3Dプリンターで今回作った作品

こちらは今回、Manuel Fernándezが提供してくれたデータを3Dプリンターで出力した作品です。先述したCermaでドーンと展示されていたものですね。石柱にグラフィカルなパターンが貼付けられた彫刻作品ですが、この特徴的なテキスタイルはインターネット的な表現のひとつの例、という感じがします。グリッチぽくもありますね。三次元の中で二次元と遊んでいるのかなという感じもします。

文:庄野祐輔 写真撮影:ただ(ゆかい)

Manuel Fernández プロフィール

1977年、Málaga生まれ。スペインのマドリッドを拠点に活動するアーティスト。彼の芸術的実践はアート、ポップカルチャーとインターネットとの交差する地点から始まる。社会におけるテクノロジーの影響と、それがどのように根底から知覚の方法と経験の現実を変化させたかについて探索している。ウェブ、絵画、アニメーションGIF 、彫刻、映像、写真や印刷などのメディアを通じて、インターネットの時代における、創造とアートの制作、流通、プレゼンテーション、リアルとバーチャル空間の同梱物などに関わる新たなプロセスを調査する。また、Fernandezは、デジタルとインターネットベースの作品に焦点を当てたWebベースのギャラリー、Domain Galleryの創設者でキュレーターでもある。

http://www.manuelfernandez.name

MASSAGEとは

2004年に創刊されたインディペンデントマガジン。雑誌のコアとなるコンセプトは文化における〈出来事〉。さざ波のように生まれては消える様々な文化の動き、目に見えるものの背後にある関係性、それによって引き起こされるさまざまな物事、そこで生きる人々のマインドなどを超スローペースな発行形態でレポートし続けている。
http://themassage.jp/

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