筋電義手handiiiの開発(2)「筋電義手の仕組み・トレンド、そしてhandiiiの立ち位置」

筋電義手handiiiの開発(2)「筋電義手の仕組み・トレンド、そしてhandiiiの立ち位置」

exiii
exiii (ID1009) 公認maker 2014/08/25
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はじめに

exiiiの近藤です。主にソフトウェアを担当しております。本連載2回目では、筋電義手の仕組みや最新のトレンドについて少し詳しく解説させて頂きます。筋電義手の開発や普及に興味のある方の参考になれば幸いです。

※初見の方は、まずこちらの動画をご覧ください↓

http://youtu.be/_OKfu1ZPifE

筋電義手の仕組み

まず、手を動かす仕組みについて考えましょう。皆様が拳を握ったり開いたりするとき、腕の筋肉の一部が盛り上がると思います。実はこの筋肉こそが、手を巧みに動かすためのからくりなのです。腕の筋肉は手と指の各関節に腱でつながれています。よって、筋肉が盛り上がるとこの腱が引っ張られ、操り人形さながらに、手の形が変わるわけです。

手を失われた方も腕の筋肉は残っています。事故などで失われた方は損傷のなかった部分の筋肉が残っていますし、生まれつき欠損されている方も未発達なだけであって腕先に小さく動く筋肉が存在します。

筋電義手では、この残っている筋肉の動きを読み取り、義手の動きに変換します。

では、どのようにして筋肉の動きを読み取るのか。

筋電(あるいは筋電位信号、EMG)と呼ばれる生体信号を用います。筋電は、脳が筋肉を縮ませるために神経を介して筋肉に送る電気信号が皮膚表面に漏れ伝わってきたものです。二つの電極を用意し、一つをグラウンドとして肘などの皮膚が薄く骨が近い部位に貼り、もう片方を筋肉のある皮膚上に貼ると、数100μV~数mVの信号が読み取ることが出来ます。

http://youtu.be/GR53LghJT9w

筋電から手の動きへの変換には演算装置が必要です。

handiiiではスマホを使っていますが、多くの筋電義手ではソケット内蔵のコンピューターを使用しています。変換方法として一般的なのは、筋電がある閾値を超えたか否かで、手を開く/閉じるなどの動きを切り替える方法です。一方で、動きの種類を増やすために、筋電の波形や数か所で計測される複数の筋電の組み合わせから、対応する動きを読み取る手法も提案されています。現状のhandiiiでは、3か所で計測される筋電の割合に応じて動きを切り替えるという手法を取っています。

筋電義手のトレンド

筋電義手の歴史は古く、世界的には戦前より開発が進められています。詳しくは、兵庫県社会福祉事業団や国立障害者リハビリテーションセンター研究所の下記資料をご参考にして下さい。
http://www.assistech.hwc.or.jp/kenkyu/pdf/at_tushin/ATT35.pdf
http://www.rehab.go.jp/ri/event/image/hosougu01.pdf

近年のトレンドとしては、1990年代と2010年代に大きな転換期を迎えています。
1990年代はソフトウェア面での転換期でした。それまでにニューラルネットワークの基礎理論が確立し、いよいよこの理論を実用化できるまでコンピューターのスペックが追い付いてきた時代でした。筋電義手の研究者たちも、筋電からいかに多くの手の動きを読み取るか、様々なアプローチを試みました。この時期の興奮は下記論文が詳しいです。
http://www.robocasa.net/people/zecca/2002/Zecca02_CRBE.pdf

この延長線上で最先端にある筋電義手の一つが、先日FDAの認可を得たLUKEHANDです。Segwayの発明者としても知られるDean Kamen氏が米国DARPAより助成を受け、2007年より7年越しで実用化レベルまで磨き上げた筋電義手です。

こちらの動画は2007年のTEDでDean Kamen氏自ら語った開発宣言です。

http://youtu.be/RiJzJ771vDw

そして、こちらの動画が最新の成果です。

http://youtu.be/lsoIlbPk6aA

このようにソフトウェアが進化する一方で、2010年代はハードウェア面でも転換期を迎えました。すなわち、個人がものづくりを行う敷居が格段に下がりました。個人でも3Dプリンタなどの設備を手頃に使えるようになり、また、情報やデータをインターネット上で簡単に探せるようになりました。このような環境の変化は我々がhandiiiを開発する大きな後押しとなりましたし、同様に個人活動の延長で義手を開発する方々がこの1、2年の間に世界中から登場してきています。

中でも我々が大変感銘を受けたのは、Project Danielです。

http://youtu.be/SDYFMgrjeLg

このプロジェクトでは、内紛の絶えないスーダンで両手を失った少年Danielが再び生きる希望を持てるよう、現地に3Dプリンタを持ち込み、RoboHandと呼ばれる(筋電を使わず)肘の動きを手先に直接伝えて動かす義手を処方しています。動画の最後でDanielが数年ぶりにボールを投げるシーンが印象的です。無論、まだ現地で根付いたわけではないのでゴールとは呼べませんが、少なくとも、10年前では考えられなかった動きが急展開していることは確かでしょう。

handiiiの立ち位置

上述のように、世界中の個人の手によって様々な義手が提案されていく中で、我々exiiiとしては、「気軽な選択肢」としての義手をつくりたいと考えています。例えば、スニーカーや腕時計のように、義手もユーザの好みにあった選択肢があってもいいのではないか。exiiiという名前も、“example of exchangeable extremity (=交換可能な四肢の一例)”という3つの“ex”から来ています。まだhandiiiというプロトタイプをつくっただけですが、今後は他のデザインも提案しながら、ユーザさんとともに個性的な義手を開発していければなと考えております。

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