熊野MAKE日記  ー 家をつくる・2

熊野MAKE日記 ー 家をつくる・2

pha
pha (ID151) 公認maker 2014/07/15
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「床さえ張れれば住む場所には困らない」

第1回( https://media.dmm-make.com/item/917/ )では、和歌山県の熊野で家賃月5000円の大きな一軒家をシェア別荘として借りたんだけど、2011年の台風による水害で床や壁がボロボロになっていて直さないと住めない、どうしようか、というところまで書いた。

水害で浸水してやられたというケースはちょっと特殊だけど、そんな被災がなくても日本の木造建築の一軒家というものは、使わずに放っておくと内部に湿気が溜まって徐々に腐っていってしまう。だからちょくちょく戸や窓を開け放して換気をしてやらないといけないんだけど、使っていない家に換気のためだけに通ってくるのもなかなか大変だ。知り合いが持っている空き家では使ってないときも一年中空気清浄機を回しっぱなしにしていたりするらしいけど、それも電気代がかかってしまう。

現在日本では空き家がたくさん余っているのが問題になりつつある。手入れされないままで腐ってしまう空き家もどんどん増えている。

そんな状況で、ある程度の家の補修を自分でできるようになるとかなり便利だ。腐ってしまった家を業社に頼んでリフォームすると結構なお金がかかるけれど、床板や壁板を張ったりするだけなら自分でやるのも実はそんなに難しくなかったりする。床張りや壁張りを自分でできるようになれば、住んでいる家の壁や床を自分で直したり、床や壁が腐った家を安く借りて自分で直したりして(そういう物件は不動産屋には出てこないので口コミで探す必要があるけど)、住む場所をそれほどお金を使わず確保できる。

そんな感じで「みんな床を張れるようになろう、住環境を自分である程度作れるようにしよう、床さえ張れれば住む場所には困らない」ということを提唱している全国床張り協会( http://yukahatter.jp/ )という団体があって、熊野で僕と共同で家を借りたイトウ君はこの全国床張り協会の発起人で名誉会長なのだった。僕は床張りとかやったこともないし、よく分からんけど、イトウ君がいればまあなんとかなるやろ、みたいな感じで家を借りることにした。

ただ、家の補修では素人でもできる範囲とできない範囲をわきまえることも大事だ。床や壁というのは板を張ってあるだけで建物の構造や強度とはあまり関係ないから、素人が雑にやってもそんなに危険はない。でも、柱や土台など建物の構造を支える部分が腐っていると、それはちゃんと補修しないと危ないのでプロの手を借りたほうがいいだろう。

今回借りた家も、合板でできた壁や床の板が水害で反ったり腐ったりしてボロボロになってしまっていたけれど、柱や梁や土台などの家の構造の部分は駄目にならずに残っていたのが借りることにしたポイントだ。これなら自分たちでなんとかできる、とのイトウ会長の判断だった。

(家の構造はしっかりしている)

(床を張る筆者)

「共同で作業することで人が繋がる」

普段の全国床張り協会の活動は、床張りの依頼を受けたらその場所で床張りを覚えたい人向けのワークショップを開催して、プロの大工さんの指導のもとで素人たちが床張りをするという方式だ。

今回の熊野の家もそれと似たような感じで、僕とイトウ君がそれぞれの知り合いに声をかけて床張りに興味がある人を集めてみんなで作業した。
募集の文面はこんな感じだ。

「熊野床張り合宿。一から実際の家を改修する体験はなかなかできるものではないし、これを機会に床張りを覚えてみませんか。泊まれる場所は無料で提供します。床を張った後はみんなで温泉に入って焚き火を囲んでビールを飲みましょう」

こんな感じで声をかけたところ、合宿は全部で6回くらい開催したんだけど、毎回10人~20人くらいの人が集まってくれた。東京から熊野まではかなり遠くて、電車とバスで片道7時間、車で片道11時間くらいかかるけれど、東京からわざわざ来てくれた人も多かった。

別にお金がもらえるわけでもないのに、たくさんの人たちがわざわざこんな遠くまで大工仕事をやりに来てくれたのは、やっぱり「自分で何かを作る」ということに興味があるからだと思う。自分で手を動かして物を作るのは楽しい。家とか床とかは、都会にいるとお金を出してプロの業者の人にやってもらうものとしか思わないけれど、実は自分でできる部分も結構あるものだし、そのことに気づくと世界の見え方が少し変わる。自分の生活を支える部分を自給できるのは面白い。

しかし自分で何か作るのが楽しいといっても、広い家の床張りや壁張りを一人や二人でやっていくのはかなり大変で、途中で気持ちが萎えてくるので、僕らがやったみたいに友達や知り合いを集めて大人数でやるのが良いと思う。人数が多ければ作業が進むのも速いし、手伝う方としても「ずっと定期的に来てやってくれ」って言われたら負担だけど、短期的に大勢集まってイベント的にやる感じだと気軽に参加できる。

あと、一緒に作業をすると仲良くなりやすいというのもある。何もないところでただ人が集まって「さあ御歓談ください」とか言われてもコミュニケーション強者じゃないとなかなかスムーズに打ち解けにくいけれど、一緒に床を張るなどの作業をしていれば「ちょっと板を押さえててください」とか「釘をとってくれませんか」とか会話をするきっかけが生まれやすいし、共同で作業することで自然と連帯感のようなものが生まれる。一緒に床を張って、一緒に温泉に入って、一緒にごはんを作って食卓を囲むと、だいたいなんだか自然に親近感が生まれてくるものだ。

そんな感じで作業をする人が集まって、次回からはいよいよ家の改修作業に入っていきます。

(作業が終わったあとはみんなで車で温泉に出かける)

(その後は焚き火をしながら夕食を食べる)

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phaとイトウ(伊藤洋志)が、熊野を舞台として最低限生きていくためのセーフティーネット&お金をかけずに面白いことができるフロンティアを自分たちで作っていこうという内容の本『フルサトをつくる - 帰れば食うに困らない場所を持つ生き方』が、東京書籍より好評発売中です。
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