HOJI*HOJI ~穴をほじって虫を捕まえよう~  いろんなものを拡張する(2)

HOJI*HOJI ~穴をほじって虫を捕まえよう~ いろんなものを拡張する(2)

tnojima
tnojima (ID147) 公認maker 2014/08/21
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VR技術を(無駄に)惜しげもなく使って、木の穴に指をツッコミ、虫をほじくり出します

さて、今回から2回に分けて、IVRC( http://www.ivrc.net/ )の作品について紹介したいと思います。
といってもIVRCなんて知らん、と言われてしまいそうなので、そちらの説明から。

IVRCというのは学生向けのものづくり作品コンテストです。正式にはInternational collegiate Virtual Reality Contest、「国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト」と言って、子供から大人までが一緒に楽しむことが出来るような、インタラクティブな作品のコンテストです。

これから紹介するのは、2011年に研究室の学生有志(岡田勇作君、川口紘樹君、木村尭君、佐藤遼君、鈴木裕太君、高橋陽一君、堀田高大君)が作った、
HOJI*HOJI( https://sites.google.com/a/vogue.is.uec.ac.jp/hoji-hoji/home )と言う作品です。

この作品は、木の小さい穴を指先でほじくり出し、虫を捕まえるというミニゲームの構成になっています。特徴はその触覚にあり、木の穴の触感や、虫とのインタラクション、触覚フィードバックがうまく組み合わさってできた作品です。

ちなみにこのコンテスト、あくまで学生対抗なので、教員側は一切手出しをしません。純粋に彼らの努力のたまものであることは強調しておきます。(実際審査が終わってから、こんなの作るのか!と、驚くことしばしば。それがまた楽しいのです)

IVRCに出すぞ

毎年、4月に研究室に配属された学生さんたちの多くはIVRCに興味を持ち、出場を決意します。グループを作ってアイディア出しをし、5月末に企画書を書いて応募します。

応募書類審査・プレゼンテーション審査を経て、実際にものつくりに着手、そして9月中旬に一般向けに展示することになります。5月末の書類審査から9月中旬の展示会までのおよそ4ヶ月間、講義や自身の研究の合間をぬって、企画から体験型システムの構築をやり遂げるのですから大したものです。ちなみに審査も結構厳しいです。

さて2011年、研究室からはチームH*Pとして、前述の6名が参加しましました。彼らの間でディスカッションを重ねて、穴をほじる触覚を提示するエンタメ作品を作ることになりました。それがHOJI*HOJIです。

指にいろいろはめてみる

皆さんは小さい頃、こんなことをして「食べ物で遊ぶな」と周りの大人に怒られたりしたことはありませんか?

いけないと言われるとついついやってしまいたくなるのが人間というもの。とは言え、食べ物を粗末にするのはいい大人がやることではありません(お菓子もちくわもこの後学生さんがおいしくいただきました!)。そこでVRの出番です。VRでこの感覚、つまり指先で穴の中をほじくる・探るような感覚を作ってしまいましょう。

塩ビ管型プロトタイプ:指先への柔らかな圧迫とセンシング

さて、指先で穴の中をほじくる・探るようなものを作ることになりました。でもVRの世界は自由です。探ったら何か反応が返るようにできれば、きっと面白いものができるにちがいありません。そして穴の中に指を突っ込んだときには、指が柔らかく圧迫されます。というわけで、指先への柔らかな圧迫とそのセンシングのための機構を作ることになりました。全体像はこんな感じです。

いかにもプロトタイプな感じでいいですね。材料は下の図のようなものになっていて、図下部左側から、圧力センサリング×2、筒(柔)、筒(硬)になります。圧力センサリングは2個ありますが、基本的には1個しか使いません。筒(柔)の外側に圧力センサリングをはめて、それを筒(硬)でカバーしたものが上の図にあるプロトタイプになります。

使っている圧力センサはFSR-400とよばれるシート型のもので、それを4枚使って圧力センサリングを作りました。このシート型センサは秋月などで簡単に買うことができます。

塩ビ管型プロトタイプの拡大写真が下のものになります。
下の写真の手前側が指をいれる穴で、写真奥の方に圧力センサリングが固定されています。穴の中に指を突っ込んで内部で指を動かすと、筒(柔)部分を指が圧迫します。この時の圧力変化を圧力センサリングで読み取ることで、穴内部の指の動きを感知することができるようになります。

全体コンセプトをつくる

IVRCでは、子供から大人までが等しく楽しめるような、体験型の作品を作ることが求められます。となると、ただ穴の中に指を入れると言うだけでは弱いので、コンセプトを整えて、新たにフィードバックシステムを追加することにしました。
コンセプトとしては相談の結果、「木の穴に隠れる虫をほじくり出す」というものになりました。

これを踏まえた体験の流れとしては:
(1)指先を穴の中に入れて、穴をかきひろげる→
(2)穴の中の虫が突き上げる&攻撃してくる→
(3)穴をほじくりつづけて、虫ゲット、というものになることが決まりました。

このコンセプトを実現するためには、センシングだけでは困難です。追加でいくつかの機構が必要になります。具体的には、
機構1:穴を徐々に広げる、
機構2:虫からの攻撃フィードバック
の2つです。

機構1:穴を徐々に広げる

塩ビ管型プロトタイプは、側面は全部塩ビ管で覆われているので、穴を徐々に広げるといった機構をいれることは出来ません。また、そろそろ本番に向けてかっこよくする必要があります。そこでセンサシステムを作り直すことになりました。

この塩ビ管型プロトタイプを、3Dプリンタを使って、こんな風にしてみました。

http://www.youtube.com/watch?v=ddIenij7JEw&feature=youtu.be

筒(柔)は人肌ゲルを使っています。で、うまい具合に指がはまるようなサイズでかっこよく作り込みました。次は穴のサイズを変える機構です。
穴のサイズを徐々に広げる機構としてはいろいろな方式があると思いますが、後の虫からのフィードバックへの流用も考慮して、以下のような方法を採用しました
 ・棒状のものを周囲からおしつけておく(穴が狭い状態。初期状態)
 ・おしつけた棒を引っ込める(穴が広い状態)


実際には上記のように、最初は棒を人肌ゲル側に押しつけておいて、穴をかき広げるに従って引っ込められる、という動きになります。

下の写真は棒を押しつけるためのユニットを2個分だけ写したものです。これはサーボモータとラック&ピニオンの機構を組み合わせることで、棒を前後に突き出したり引っ込めたりする機能を実現しています。ちなみに図中の白い円形の部分がサーボモータの軸です。

これを組み合わせたものが、下の写真になります。

これで、穴の中に指を入れて掻き出す動作のセンシング、そして穴のサイズの変更という機構を実現することができました

次回は虫のつきだしフィードバックと、展示システムとしての構成について紹介していきます。HOJI*HOJI、海外展示にて、海を渡ります。


これまでの連載:いろんなものを拡張する

いろんなものを拡張する(1)魔球は未来のスポーツの必須アイテム!
https://media.dmm-make.com/item/1525/

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