超音波の話をしよう(1)「不触(さわらず)の誓い」

超音波の話をしよう(1)「不触(さわらず)の誓い」

星貴之
星貴之 (ID1529) 公認maker 2014/07/24
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はじめまして、星と申します。

空気中を伝わる40kHzが専門の、プロの超音波研究者です。
超音波で世界を動かそうと、日々あれこれ画策しています。

この連載では、僕の研究や関連研究を通して
超音波の世界について語っていきます。
よろしくお付き合いいただければと思います。

モノが浮いて動き回る時代

最近の大きな成果は、「現代の魔法使い」こと
落合さん( http://www.96ochiai.ws/Yoichi_Ochiai )との共同研究です。

http://youtu.be/odJxJRAxdFU

Three-Dimensional Mid-air Acoustic Manipulation
(三次元音響浮遊)2014

白い粒々が浮き上がって動き回るというこの動画、今年1月に公開するなり世界中から注目を集め、それから5カ月で再生回数300万回に到達しました。

それまでにも地上や宇宙での応用を目指して音響浮揚・音響浮遊(個人的な好みで、浮くだけのものを浮揚、浮いてさらに動くものを浮遊と呼んでいます)の研究は行われており、2次元の移動までは実現されていました。それを3次元に拡張したのが新しいところです。

この研究については語りたいことも多いので、また改めて紹介する予定です。

触ってないのに触った感じ

僕が関わった最初の超音波の研究はこちらです。

http://youtu.be/Y-P1zZAcPuw

Touchable Holography(触れる空中映像)2009

超音波を使って皮膚を押すことにより、空中で触覚を感じさせます。こちらはSIGGRAPHでデモ展示したあと1年で再生回数120万回まで伸びました。当時はKinectが発売される前だったので、手の位置を計測するために、赤外線カメラ(Wiiリモコン)2台で指先に着けた再帰性反射マーカを3次元追跡していました。

ちなみに狭義には、ホログラフィ(Holography)は光の場を記録・再現し、「立体」を空中に見せるものです。それをリアルタイムに再生する方法は、今も研究が行われている段階です。一方、動画で使っている映像装置は凹面鏡によって「平面」映像を空中に投影するもので、ホログラフィではありません。「今回は入手可能な他の映像装置を使っているけど、将来的にはホログラフィとも合わせられるよ!」という意図のネーミングでした。これについては当時、何人かの研究者に突っ込まれました。。。

集めて重ねて力を起こす

ここまでの2つの動画で雰囲気は伝わりましたでしょうか。そうです、僕がやっているのは、強力な超音波を使って離れた場所に非接触で力を発生させる研究です。数百個の超音波振動子を電子制御して、レンズのように焦点を結んで、局所的に強力な超音波を発生させます。また同じく電子制御により焦点を動かすこともできます。この方法の持つ

1. 相手に触らない
2. 狭い範囲を狙える
3. 力の発生場所を自在に変えられる

という特長を活かした応用を探索しています。

http://youtu.be/CE4WsYncNa4

集束超音波を使って触れずに押す 2012

ここでやっと若干Makerっぽい感じが出せたような気がします。まだこの世にない装置を作るため、仕様決定、部品選定、回路設計、組み立て、プログラミング、と一通りやりました。この動画を電子工作コンテスト2012に応募したところ、トランジスタ技術賞をいただくことができました。

ちなみに動画では両面実装の裏側を自分で半田付けしていますが、P板.comの実装サービスは両面にも対応しています。当時はそのオプションに気付いていなかったのです。。。

ということで、初回は自己紹介として研究のデモ動画をご覧いただきました。次回からは話題を絞って、技術の意義や要点、興味深いところについて語っていくつもりです。ご意見・ご要望などあればお知らせいただけると反映するかもです。それではまた☆彡

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