「“心が折れる動画”たち」ニコ技のツボ(3)

「“心が折れる動画”たち」ニコ技のツボ(3)

akira_you
akira_you (ID197) 公認maker 2014/07/30
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人気のあるニコニコ技術部動画から、akira_youが「ここがツボだよね」というポイントを紹介します。

ニコニコ技術部はニコニコ動画に自然発生した自分で開発したモノを動画紹介している人達です。高い技術力を自慢するだけでなく、チープな技術で笑いを取ったり、動画サイトで流行しているネタに乗ったりと様々な人が様々に楽しんでいます。

今回紹介するのは「心が折れる動画」(よりしろう氏)などの折り紙作品です。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm18031958

「折り紙」動画は数がそこまで多くないので、ニコ技で折り紙というイメージはあまりないかもしれませんが、ついつい見入ってしまうニコ技動画の一分野なのです。折り紙人口自体は多いのですが、手芸部と同じくあまり動画にするという文化が根付いてないので、露出が少ないだけなのです。なので動画に上がっている以上の作品が世の中にはゴロゴロあったりします。

ツボ1 超絶技巧折り紙の世界

左上:http://www.nicovideo.jp/watch/sm22921161 (Asa氏)
右上:http://www.nicovideo.jp/watch/sm4687928 (より しろう氏)
左下:http://www.nicovideo.jp/watch/sm1596644 (JuJu 氏)
右下:http://www.nicovideo.jp/watch/nm18536542 (おりがミク氏)

紙を折るだけでここまで作れるんだ!という完成品に対する感動だけではなく、制作過程にも重きをおいています。動画の大部分の時間は制作過程です。最初の折り目を付けている段階ではどうやって形にしていくのかが想像出来ないのに、後半になると急に形が出てくる。もやもやとした手探り状態から急にもやが取れて周りが見えてくるような爽快感があります。そんなところが動画の人気を支えているのかもしれません。

「心が折れる動画」はそんな前半のもやもや段階で多い「心が折れる」の動画コメントに対して、「心」を折って答えた動画です。

こんな心が折れるような作業で作られるのは、キャラなどの立体造形だけではありません。2010年に打ち上げられたソーラー電力セイル実証期「イカロス」では折り紙の技術を応用してソーラーセイルを収納したと報道されていました。厳密には宇宙用途ではどちらかというと「折る」というよりも「元に戻せる」が重視されるので普通の折り紙とは若干違ってきますが、折り目などは似ていると所があります。

引用:イカロスイメージ図
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:IKAROS_solar_sail.jpg

身近な製品の例では、最近の家電を買ってくると緩衝材が段ボールで組み立てられている事に気がつくでしょう。切り込みが入っているとはいえ、1枚の紙から無駄な紙が出ないように折り込まれています。発想自体は折り紙と同じです。こういった応用折り紙の分野は紙だけに限らず、最近だとアクリル板を折って立体をつくる3Dプリンタ(?)等のニュースを見た人もいるんじゃないでしょうか?

引用:LeaserOrigami
http://www.hpi.uni-potsdam.de/baudisch/projects/laserorigami.html

実は同様の技術はMEMSと呼ばれる半導体技術を用いて、プロジェクタの部品や加速度センサー等の微小なメカを作る技術に使われていたりもします。半導体は基本的に薄い膜を何層にも重ねた形しか作れないのですが、折れば色々な形を生み出す事ができるとして、盛んに研究されています。

他にも産業分野ではアルミ等の金属塊を削り出していた部品を板金(金属板を折り曲げる)に変更することでコストダウン・軽量化するという事は日常的に行われています。

このように折り紙関連技術は平面材料という限られた制限の中で、無駄を出す事なく思いの通りの形を作るという、低コスト化・小型化・軽量化には欠かせない重要な技術なのです。

そう、世界は折り紙に支配されているのです。

ツボ2 伝承折 vs システマチック折

小学校の時に習う折り紙は伝承折だとか伝統的な折り方等と呼ばれ、鶴などの先人が考えた折り方を組み合わせて様々な形を作っていくものです。一つ一つの面が「これは顔」「これは足」といった風に各部位に対応している事が多く、色んな形の面を持っているのが大きな特徴です。

上に上げた動画の中では おりがミク氏の折っている五本首の鶴などがそれにあたります。

一方、3Dポリゴンのような感覚の折り方もあります。
より しろう氏のエバ初号機は最初規則正しい編み目状の折り目から始まります。そこから必要な部分を出っ張らせる事で形をつくって行きます。このような基本となる大量の折り目から必要な部分を引っ張り出す(or押し込む)折り方はシステマチック折等と言われたりします。本人談ではシステマチック折りは慣れれば機械的に色んな形が作れるそうです。たしかにシステマチックな折り方は伝承的な折り方に比べれば折る回数は多いものの、何かを創作したいときには便利そうです。

さらにポリゴンに対してボクセル(画像でいうピクセルの立体版)というアプローチも出てきています。
NND.Project氏の「【折り紙で】初音ミクを作ってみた【ドット絵】」です。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23047808

ここまで来ればかなりシステマチックです。むしろ折り紙界の人間3Dプリンタです。良くも悪くも力業です。

ツボ3 つまらない親父ギャグも本気でやれば

「心が折れる動画」の話に戻りましょう。

折り紙折ってるの動画を見て真似して折ってみようと思ったけど、折る回数が多すぎて心が折れた・・・折り紙だけにね!

なんとつまらない親父ギャグなんでしょう。
飲み会でそんな事言ってたら間違いなく、スルーします。本人の名誉のためにスルーします。

でも、そんなのも本気でやると不思議と作品になってしまうんですね。この定番の展開よく見かける気がします。Maker faierの常連のデイリーポータルZさんなんて、まさにそんな感じです。クリアファイルに三角形の板はって、写真をとればなんかYouTubeっぽく見えるだとか。

引用: ユーチューブに見える板 http://portal.nifty.com/2009/05/29/a/


ネタにつまったら、しょうもないギャグから始めるのも一つの手かもしれません。そのときは是非、他人に簡単には真似できない自分の得意分野に持ち込んで。そんな一見しょうも無い所に高度な技術を注ぎ込む動画で最近ニコ技界隈でちょっと話題になったのがakita11氏の「LED点滅用のLSIをつくってLチカをやってみた」です。
なかなか一般の人が手を出しにくい自作LSIを、単にLEDを点滅させるためだけに作っています。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23660093

LEDを点滅させるという入門者向けの単純な動作でも、LSIをわざわざ作ってやってる人はまだ少ないだろうという事ですね。本人にしてみたら、「他にやってる人は少ないね」程度に思っている技術であっても改めて焦点を当てて見せると新鮮なネタとして成立してしまうんですね。

普段は最後に「折り紙楽しいですよ、みんなも(心を)折ってみよう」と呼びかける所ですが、今回は違います。折り紙をやってる人、是非動画でもWebでもいいです。作品をネタにして公開してみませんか?

くだらない親父ギャグだって、貴方の技術を通して表現すれば立派な作品になるはずです。

過去の連載:ニコ技のツボ

ニコ技のツボ(2)「生体情報可視化やってみた」
https://media.dmm-make.com/item/935/

「バーチャルリアリティFPSシステムを作ってみた」ニコ技のツボ(1)
https://media.dmm-make.com/item/279/

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