「自作できるドローンとそれにともなう責任」Makers' Front(2)

「自作できるドローンとそれにともなう責任」Makers' Front(2)

yomoyomo
yomoyomo (ID191) 公認maker 2014/07/07
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『Make:』誌で特集されているように無人飛行機のドローンはもはや自作できるところまできましたが、Makerはただそれを楽しむだけでなく、付随する責任を意識しなければならないのを忘れてはなりません。

日本版が一昨年の秋から一年半ほど出ない間に判型が変わり、季刊から隔月の年6回の刊行となり、何より発行元がオライリーから独立したMaker Mediaに変わった本家『Make:』誌ですが、本文執筆時点の最新版であるVolume 37( http://makezine.com/volume/make-37/ )の特集は「Homegrown Drones!」で、要はドローンを自分で作ってみようというものです。

思えば無人飛行機を指すドローンという言葉も大分人口に膾炙したように思います。最近は撮影にドローンを使ったと思しき映像をテレビで見ることことも増えましたし、クリス・アンダーソンは『MAKERS—21世紀の産業革命が始まる』の発表後、12年間務めたWiredの編集長の座を辞して自らが創業したドローンの会社3D Roboticsの経営に専念していますし、少し前にはAmazonのドローンでの配送サービス「Amazon Prime Air」構想( http://www.youtube.com/watch?v=98BIu9dpwHU )も話題になりました。この文章を書いている間にも、Googleが大気圏上層に長時間滞空できるドローンを開発するTitan Aerospaceの買収のニュースが入ってきました。

Make Volume 37に話を戻すと、巻頭でMaker MediaのCEOであるデール・ダハティ(Dale Dougherty)がドローンについて文章を書いています。彼は、我々はみんな何かの作り手である、というMakerムーブメントを支える信念を唱道してきた人物なので、きっと自作ドローンの素晴らしさを強調する文章だろうと思い読んでみたら少し毛色が違い面白かったので、今回はそれを紹介したいと思います。

Maker Faire Shenzhen 2014で基調講演を行うデール・ダハティ

「Mind Your Drone」と題したその文章は「誰もがドローンという言葉を好きなわけじゃない」という一文から始まります。実際、製造業や軍の専門家はドローンという言葉よりも無人航空システム、無人航空機という言い方を好むそうですが、それはドローンという単語の語源に関係があるそうです。

ドローンという単語は元々雄バチ、それも女王蜂との生殖専門の雄バチを指します。そして、ただ食うだけ食って大した仕事もこなさいという見方が、ドローンという単語の2番目の意味である「寄生者、ぐうたら者」につながります(実際、働き蜂は夏の終わりにドローンを巣からたたき出す仕事もこなすそうです)。

こうしてみるとなんだか印象が良くない単語ですが、デール・ダハティは無人飛行機としてドローンの行き先とそのイメージにも気をかけるべきだと注意を向けます。

そもそもドローンとは何なのか? 無人であればドローンなのか、人間に操縦されるからドローンなのか。しかし、予め固定的なフライトプランをプログラムされ、それに従い飛行するドローンだって可能です。さらに言えば、飛行環境やコンテキストを解析するドローンだって可能でしょう。つまり風や気流に対応し、予想外の障害物を回避するわけです。ドローン同士通信し、情報交換するのもありでしょう。
ここまでくるとドローンとロボットはどう違うのかという問題が出てきます。外界への反応を突き詰めれば、その飛行を邪魔しようとする人間への攻撃も容易に想像できます。ドローンもアシモフのロボット三原則に従うべきなのか?

結局は、以上のことはドローンを飛ばす人間が責任を負わなければなりません。そのことをよく留意すべきだとデール・ダハティは強調します。

ドローンを作って楽しむのはよいが、一部の不心得者のせいでドローンが他の人間に害をなしたり、プライバシーを侵害するものとみなされるようになってはいけません。それは人々に恐怖をもたらし、政府による規制につながりかねません。実際、アラスカではドローンを補助に使った狩りが違法になるなど( http://yro.slashdot.org/story/14/03/24/1336232/drone-assisted-hunting-to-be-illegal-in-alaska )、ドローンは法規制の対象になりだしています。

上にも書いたようにドローンのおかげでこれまでアクセスが困難な映像に触れることが増えました。最近では福島第一原発付近の様子を撮影した航空写真( http://slashdot.jp/story/14/04/07/0418219/ )などがありますが、しかしドローンジャーナリズムの強力な力がパパラッチの手にももたらされるのを無視はできません。

ふと「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉を思い出したりしましたが、デール・ダハティは何も読者を萎縮させたいのではありません。「Makerにとって、最も面白い挑戦はドローンを作り、飛ばすだけに留まらない。ドローンをどんな良いことに使えるか、どんな創造的な使い方ができるか、どんな難しい問題を解決できるか発見することである」と彼は書きます。これにもMakerは力を得ることでより良いものを作り、困難を乗り越えることができるという信頼を感じます。Makerがそれに応えることで、ドローンという単語に将来「寄生者、ぐうたら者」とは違ったプラスの意味が加わるかもしれません。



これまでの記事:
「Maker界のレディー・ガガ、ではないが注目のリモア・フリード」Makers' Front(1)
https://media.dmm-make.com/item/261/

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