いまさら聞けない3D「3Dをはじめよう!」(2)

いまさら聞けない3D「3Dをはじめよう!」(2)

塩澤 豊
塩澤 豊 (ID281) 公認maker 2014/08/20
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前回は、3Dが身近なところで使われている例を幾つか紹介しました。今回は、どんなツール(ソフトウェア)で、どのように3Dを使っているのかを紹介します。最終成果物により3Dの使い方も様々です。まずは、映画などの映像が最終成果物のものから始めます。
(専門的な用語が多く含まれますが、興味がある方はウィキペディアへのリンクを張っておきましたので見てみてください。それ以外の方は、読み飛ばしてビデオだけ見て下さい。また、私が所属している「オートデスク株式会社 」の製品紹介が多く含まれますが、ご勘弁ください。)

SF映画ってどうやって作られてるの?

多くの映像作品に3D CG(コンピュータグラフィクス)が活用されているのはご存知だと思います。でもどこがCGなのかを調べてみた事は無いですよね? 3Dに関する事を説明しながら、CGが使われている部分を幾つか紹介してみます。

コンピュータ上に3Dの形を定義する事を「モデリング」と言いますが、映画では非常に様々なものが3Dで作られており、前回(Link)ご紹介した「ゼロ・グラビティ」では、宇宙ステーションや人工衛星が3Dモデリングされています。丸や四角い形状は、ブロックを積み重ねる様にしてポリゴン(三角形や四角形を繋ぎ合わせ、多面体で3D形状を表現する) で定義されています。

また、映像の世界では、動きが重要になります。ロボットアームの動きや、人工衛星が破壊されるアニメーションは物理的「シミュレーション」を行い、3Dモデルを動かしたり分解したり、爆発の炎を作ったりしています。最終的には「レンダリング」という作業を行い、実写の様に仕上げています。
こちらのビデオをご覧頂ければ、どこまでが実際に撮影した映像なのかをご理解頂けると思います。人物の顔以外は全て3D CGと言っても過言ではありません。

http://youtu.be/rCm3FYp4hdI

もう一つ映画に関するものを。「アバター」では、キーとなるキャラクターが3Dでモデリングされています。人間の顔の様な有機的な形を作る場合は、元となる素材を彫刻して形を作る方法が一般的です。粘土の塊をヘラを使い形を整えて行く感じです。この方法を「スカルプティング」と言います。
このビデオでは、Autodesk Mudbox を使ったスカルプティングの様子を紹介しています。

http://youtu.be/eTSXkMVxj9c

モデリング、シミュレーション、レンダリングを行うソフトウェアには様々なモノがありますが、3D CGツールでは、Autodesk Maya と言うツールが有名です。
Mayaで手をモデリングしている様子を録画したビデオがこちらです。


http://youtu.be/rX-_Tbo1vGk

キャラクターの場合は形だけでは充分ではありません。動きが必要です。人物モデルをアニメーションさせるためには、人間の関節の様な骨組(スケルトン)を通す「リギング」が行われます。

下のビデオは、Autodesk Motionbuilder でリギングを行っている所です。

http://youtu.be/yVJ-UnAH6F8?t=40s

同じくMotionbuilderでリギングされたキャラクターにアニメーションを設定しているビデオがこれです。

http://youtu.be/UVA4fpHh5Ag


アニメーションの全てを手作業で行うのは凄く時間が掛かるので、最近ではモーションキャプチャと言う手法が使われています。
映画「アバター」では役者が特殊なスーツを身につけ、動きをセンサーでコンピュータに取り込み(モーションキャプチャし)、 動きのデータを使って3Dモデルを動かしています。

このビデオでは、Kinectでモーションキャプチャし、Motionbuilder内のキャラクターをリアルタイムで動かしています。

http://youtu.be/W4-VSW7h5RY

このように3Dモデルをアニメーションにする為に、様々な技法が用いられているのがお解り頂けたと思います。コンピュータグラフィクスの世界は、技術革新のスピードが凄く早く、次々に新しい技法が確立されています。
更に詳細を知りたい方は、Wikipediaで「3次元コンピュータグラフィクス」や書籍などで勉強してみてください。

また、映画を見て、「この映像はどのように作られたのだろう?」と疑問に感じたら、ぜひインターネットで検索してみてください。今年、大ヒットした「 アナと雪の女王 」は、制作された米国では「FROZEN」と言うタイトルで上映されました。「FROZEN Making」で検索すると映画制作の舞台裏を覗く事ができますよ。

車ってどうやって作られてるの?

では続いて、実在のモノ(製品/建物など)を製作する過程での3Dの使い方です。
製造立国 日本 では、非常に多くの工業製品が開発・製造されています。生み出される製品は、自動車、家電、産業機械など様々です。現実の世界に存在するモノを作るには、材料を加工して部品を作り、組立てる必要があります。この部品の形・大きさを決める、部品の組立て方を検討し、機能する製品に仕上げる為に3Dが活用されています。

デザイナーや設計者が自分の手を動かして製品を完成させる事は現実的ではないので、加工・組立を行う人達に情報を伝達する必要があり設計図( 図面 )が作成されます。図面は、紙に印刷する事を前提としていたため2次元(2D)で行われていましたが、最近では3Dも多く使われる様になりました。形状が複雑になり2Dで表現するのが困難になったり、加工を行うための工作機械を数値制御する(機械をコンピュータ制御で動かす)様になり3Dが必要となってきたのです。
さて、製品設計などで使われている3Dモデリングツールにも幾つかの種類があります。ここでは、サーフェスモデラーと3D CADを紹介します。

自動車や家電など意匠デザインは、工業デザイナーがサーフェスモデラーという3Dツールを使って形状を決めるのが一般的です。アイデアをスケッチなどで整理し、サーフェスモデラーで3Dの形状を定義します。内部構造を保護するだけでなく、見た目に美しさを与え、機能性を持たせた(自動車の場合は空気抵抗、家電などの場合は持ち易さなど)形を決めます。

Autodesk Alias と言うデザイナーが必要とする機能を揃えたツールをオートデスクでは提供しています。下記のビデオは、スケッチからサーフェスモデリングまでを紹介している様子です。

http://youtu.be/hRsXdEL_s5A

これに対して、内部構造・機構などの機械部品の設計(3Dモデリング)には、3DCADが使われます。
ソリッドモデリングと言い、中身の詰まった立体を組み合わせたり、差し引いたりしながら形を定義します。実際に製造されるものですから、大きさや精度は重要で、材料や加工方法を考慮し寸法や加工公差などを厳密に定義しながら設計します。3Dモデリングされたパーツは図面化され、組立てられます。

オートデスクでは、Autodesk Inventor という3DCADを提供しており、産業機械などの設計に使われています。
下記のビデオでは、スケッチから幾つかの立体を組合せて複合的な3D形状を作っている様子です。

http://youtu.be/YqXRat8Kh8I

ちょっと長くなってしまいましたが、いかがでしたか?
今回紹介した3Dツールは、プロ向けのツールで企業が業務用に導入するものでかなり高価(数十万円もする)なソフトウェアです。やって見たいと思っても入手は難しいと思います。

しかし、一昨年あたりからはじまった、Maker Movement(メーカームーブメント)は、個人が様々な3Dツールを使って「自分が欲しいものを作る」と言う動きです。この様なムーブメントが起こっているのには幾つかの理由があります。
工作機械の小型化、低価格化により(がんばれば)個人でもデジタル工作機械を入手できる様になってきている事、そして今まで専門家を対象としていた3Dソフトウェアメーカーが、個人で楽しむホビイストなども対象としはじめ、簡単で使い易いもの用意しはじめたことが挙げられます。オートデスクも個人向けの3Dツールを幾つか提供しています。
次回は、個人でも楽しむ事ができる3Dソフトウェアを紹介しようと思います。

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