IT彫刻ラボ(2)「写真をドット絵風に変換する方法」

IT彫刻ラボ(2)「写真をドット絵風に変換する方法」

鈴木一太郎
鈴木一太郎 (ID219) 公認maker 2014/11/27
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1、導入

今回は前回のドット絵彫刻を作る時に欠かせない技法を紹介します。
それは「写真をドット絵風に変換する方法」です。

『1792年出発』(ラ・マルセイエーズ)
出典-http://Wikipedia.org/wiki/エトワール凱旋
今回のモチーフとなる彫刻。パリの凱旋門には4つのレリーフ彫刻が施されています。そのうちのひとつ。

これは私がドット絵を打つ技術を持っていない時に苦肉の策として編み出した方法です。
現在はドット絵を打つ練習をしているので多少は自力で打てるようになってきましたが、複雑な図面やざっくりとしたイメージを打ち出す時に利用しています。
ゆくゆくは、粘土や3Dプリントで造形した自作の彫刻を写真に撮影し、それをドット絵彫刻に再変換するという作品にもチャレンジしたいと考えているため、この技法にはまだまだお世話になると思います。
自分の作品の重要な技術を公開してもいいのか?と思われる人がいるかもしれませんが、大丈夫です! 私は、ドット絵を打つ事や技術を開発する事も楽しいですが、あくまでアーティストとして表現をしています。技術はあくまで技術です。最終的にその技術を使って何を表現するのか、という部分が重要なのです。

『単眼的風景:La Marseillaise』(2014)
この技法を使って制作した作品。あと、実際に3m級の作品などを作る人はなかなかいないと思うので……。

僕の身長が180cmです。
この作品は通っていた大学が買い上げてくれたので良いのですが、こんなの家のどこに保管すればいいんですか……。彫刻家の頭痛の原因です。1万ピース以上に及ぶパーツを作る人もいないと思うので……。

この作品は表面が凸凹になっています。しかも立体感が反転している(実際の彫刻で手前に出ている部分は奥に、奥まっている部分が手前になっている)ので複雑な構成に。さらに色と長さの組み合わせは8×8で64通り。それを材料の切り出しから、表面処理、塗装、組み立てを一人でやりました……。

2、準備するもの

・GIMPというフリーの画像編集ツール(http://www.gimp.org/downloads/
今回は誰にでも再現できるようにフリーソフトを使って解説します。

・変換元になる画像(今回はLa Marseillaiseの画像)
変換元に使用する画像は、イラストよりも実際の風景や人物、物体を撮影した物の方が使いやすいです。

以上

3、作業内容

作業内容は以下の通り
1、画像の解像度を落とす。
2、輪郭を描く
3、ポスタリゼーション
4、グラデーションを作る
5、色塗り
6、微調整


1、画像の解像度を落とす。

まず、元画像ファイルをGIMPで開きます。

次に画像の縮小を行います。ここでは高さを150pxにしました。どれぐらいの粗さのドット絵にしたいかによってこの数値は変わるので試行錯誤してみてください。
「画像 」→「 画像の拡大縮小 ]

画像の解像度が下がりました。ちょっとドット絵っぽくなりましたね。

2、輪郭を描く

ツールウィンドウから「鉛筆で描画」を選択し、ツールオプションにあるブラシサイズを1にし、描画色を黒にして描いてください。この作業は多少センスが必要ですが、頑張りましょう。慣れると簡単です。

「新しいレイヤーの追加」をして輪郭を描くことをオススメします。その次に、輪郭より外部分の背景部分を消しますが、面倒くさいので簡単に消す方法を紹介します。
まず、先ほどの輪郭線のレイヤーを右クリックし「レイヤーの複製」をします。次に複製されたレイヤーをアクティブレイヤーに変更し、ツールウィンドウの「塗りつぶし」を使って輪郭の内側を黒く塗りつぶしてください。

次に、その黒く塗りつぶした部分をツールウィンドウから「ファジー選択」を使って選択します。「色域を選択」でも良いです。

選択出来たら、画面のどこでもいいので右クリックをし、「選択」→「選択範囲の反転」を使い黒く〈塗りつぶされた部分以外〉を選択します。

その状態でアクティブレイヤーを低解像度化した元の画像レイヤーに変更し、不必要な部分を大きめの消しゴムツールで消してください。

これで必要な部分だけが残されました。

3、ポスタリゼーション
ポスタリゼーション(階調変更)とは、簡単に言うと色数を減らすことで、イラストやアニメ塗りのような色調に画像を変換できます。

まずは画像のコントラストを調節して、強くはっきりさせる事で、ポスタリゼーションの効果が強めます。
劇的な光の演出をすることで、彫刻の視覚効果を強める方法はアートの世界でも用いられます。リアル路線のドット絵も視覚的な立体感を表現しているので、コントラストを強くした表現した方が、より立体的に見えます。

「アポロンとダフネ」(ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ)
出典- http://Wikipedia.org/wiki/ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ

画面上部の「色」→「レベル」を選択し、プレビューを参照しながら良い具合に数値を変更してください。他にも「明るさ-コントラスト」、「トーンカーブ」などでも調節できます。これもセンスが多少問われます。頑張れ。

コントラストが調節できたら「色」→「ポスタリゼーション」を選択し、調節します。ここでは3~4ほどにすると良いでしょう。

このコントラストとポスタリゼーションの調節を、好みの状態になるまで試行錯誤してみてください。また、自分で撮影した写真を使う場合は、撮影の段階で光の演出をした画像を使うことでより良くなります。
今回はポスタリゼーションレベルを4に調節しました。

4、グラデーションを作る
ドット絵はコンピュータが今ほど高性能ではなかったため、限られた条件の中で作られてきました。そのため、無制限に色数を使わない方が、ドット絵らしさが出ると思います。

今回は画像が複雑なため少し特殊な操作をして、9色を7色に絞っています。この操作は、「実際のドット絵彫刻を作る際に出来る限り少ない色で作りたい(材料費かかるし)……でもポスタリゼーションレベルが低いと上手く立体感が出せない……」という彫刻家特有の現実問題が関係しています。

まず、最初の色と最期の色を決めて、間の色を調節します。ここもセンスの見せどころですね。

まず、パレットウィンドウの上で右クリックをし、「新しいパレット」を選択して、次にツールウィンドウの一番下にある現在の描画色をクリックし、必要な色に調節します。
色が決まったら、先ほど作ったパレットをダブルクリックすると、パレットエディターを
いう新しいウィンドウが開くので、その右上にある三角形の矢印をクリックし、「パレットメニュー」→「描画色でエントリーを追加」と操作すると現在の描画色がそのパレットに追加されます。この操作を繰り返してパレットを作ってください。

5、色塗り
先ほどのポスタリゼーション処理をしたレイヤーをアクティブレイヤーに選択し、ツールウィンドウの「色域を選択」を使って、9色それぞれに、作ったグラデーションの色を当てはめていきます。
「色域を選択」ツールは選択した色に近い色の部分を自動選択してくれるツールです。この時、ツールオプションウィンドウの「しきい値」を0にすると、選択した色と完全に同一の色のみ選択されるようになるので0に設定してください。

色のグラデーションが暗くなっていくように先ほど作ったグラデーションの色を当てはめます。今回は7色に絞っているので、幾つかの色をひとつにまとめることで色を減らしています。

Ⅰ、ポスタリゼーションで色分けされたレイヤーを「色域を選択」ツールを使って白色部分を選択。
Ⅱ、「新しいレイヤーの追加」→色の名前を付け、アクティブレイヤーに設定。
Ⅲ、グラデーションの1番目の色を描画色に設定し、大きめのサイズの「鉛筆で描画」ツールで選択された部分に色を塗りつぶしていく。

以下、Ⅰ~Ⅲの操作をそれぞれの色で行う。
それぞれの色でレイヤーを変更すると失敗しても修正しやすいと思います。
ドット絵っぽいですね。

6、微調整
先ほどの状態で完成としても良いですが、この図案は実際に立体化することもあり、多くの人物が重なっているため視認性がやや悪いです。そのため、少しだけ各人物の輪郭を黒で描写してみました。

4、完成

さて長々と解説してきましたが以上で完成です!

簡単な立体感のある物の写真ならば応用で作ることが出来ます。ぜひチャレンジしてみてください。でも大きい彫刻を作るのはチャレンジしないでください。僕の存在意義が薄れるので。やめろ。

自分のSNSなどのアイコンをドット絵風にしてみるのもいいかもしれませんね。

これは普通の写真を低解像度化しただけですが、これだけでもドット絵っぽいですね。

もし分かりづらければ、ニコニコ動画にも解説動画を投稿しているので、参考にしてみてください。

コミュニティ「零太郎の零次元。」
http://com.nicovideo.jp/community/co2410999

解説動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23873151

今回のレオ君スナップ写真

囲炉裏を囲む。

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