イベントレポート「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」(後編)

イベントレポート「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」(後編)

DMM.make
DMM.make (ID217) 公認maker 2014/09/26
0

2014年7月19日(土)にイベントスペース「東京カルチャーカルチャー」にて開催された、「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」。その模様を前・後編に分けてレポート。

イベントレポート「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン) 」(前編)
http://media.dmm-make.com/item/1945/

後編では奇想天外なロボットたちが文字通りぶつかり合った、試合の模様をお届けする。

出場できずに敗退となった参加者

大会にエントリーしたのは、全国から我こそはと集った技術力が低い32人。しかし、そのうちの1人は会場に向かう道中の電車に大事なロボットを置き忘れ、出場することなく敗退となった。もはや技術力とかそういうレベルの話ですらない。

会場では、置き忘れたロボットを探しにわざわざ小田原駅まで行って途方に暮れた出場者の、餃子を食べているfacebook投稿が大写しにされた。果たしてその後、ロボットは見つかったのだろうか。

第一回戦

トーナメント方式の大会、第一回戦は一組ずつのタイマン勝負。
ここで全ての出場者が順々に登場したのだが、戦いの様子はまるで低い技術力の見本市。どのロボットも、制作者ですら予想することのできなかった動きを披露し観客を沸かした。

一戦一戦がそれこそハイライトだったのだが、いくつか印象に残った試合を振り返ってみる。

チリトリーマアム v.s. アキラ1号

レポート前編で紹介した、チリトリにラジコン2台をくっつけたロボット「チリトリーマアム」とタミヤのキット感丸出しのロボット「アキラ1号」の戦い。

対面している様子を見るだけで、力の差は歴然。象に仔犬が戦いを挑んでいるかのような絶望感が漂っている。
戦いの火蓋が切られると、チリトリーマアムはフィールドからはみでぬよう慎重に歩を進める。アキラ1号は操縦が不可能なので、ただ前へ前へと進むのみ。衝突は避けられない。

じりじりと互いに距離を縮め、ついに激突。アキラ1号は必死によじ上ろうとするが、馬力の差でなす術無く場外へと押し出され、転倒した。ゆっくりと迫り来る様子が緊張感を感じさせる、良い戦いだった。

ちなみにアキラ1号はその制作者、アキラ2号の兄という設定らしい。

コピーロボット v.s. ストライカー木魚

奇しくも音を録音するテープレコーダーと、音を発する木魚の戦いになったこのマッチ。見た目的には因縁の対決のようだが、ロボット相撲である今大会において”音”はとくに必要でなければ、試合の中で勝敗を決する要素として表れてくることもなかった。

「コピーロボット」には一切の動力が備わっていないので、制作者が”位置エネルギーエンジン”と呼ぶ、斜めに傾けた板の上を滑らせて走らせる。その後は操縦不可能。スタートがそのまま勝敗の分かれ目となる。

試合開始と同時に「ストライカー木魚」に取り付けられた木魚が打ち鳴らされ「ポクッ!」という小気味よい音が会場内に響いた。それと同時にコピーロボットは位置エネルギーを速度エネルギーに変換し、一直線に相手めがけて突進していく。決着は一瞬のうちについた。

木魚の音を合図に前進を始めたストライカー木魚に、コピーロボットが真正面から体当たり。バランスを崩したストライカー木魚はそのまま後方に倒れていった。

ヘボコンの勝負に技術力は関係ない。どんなにアナログなロボットでも勢いさえあれば勝つこともできる。そう思い知らされた一戦だった。

amazing quick floor v.s. 陸グソク

ミニ四駆2台をフィールドと同じ幅のボール紙に取り付けた、その名も「amazing quick floor」。対するは、ダイオウグソクムシ型のiPhoneケースをタミヤのキットに装着した「陸グソク」。

amazing quick floorの平らなボディは、相手の足下に潜り込んで転倒させるのを狙ってのデザイン。果たしてこの作戦が功を奏すのか。

試合開始の合図とともに、amazing quick floorは猛烈な勢いで陸グソクへと向かっていく。さすがミニ四駆2台分の馬力だ。陸グソクとぶつかったところで一瞬動きが止まり拮抗状態になるが、次の瞬間、なんと陸グソクがamazing quick floorの上を登り始めた。そして何事もなかったのように乗り越していくと、敵を見失ったamazing quick floorはそのまま場外へ。策に溺れて自滅していった。

amazing quick floorには制作者である斎藤充博さんが営む、指圧院の広告がスポンサーロゴのように貼付けられているのだが、その位置はなぜか機体の裏面。ロボット同様、制作者の腰の低さが窺い知れるようだ。

Tsukubot3号(つくぼっと3号)v.s. クーちゃん零号機

ヘボコン最年少出場者、小学校5年生・9歳の前田創さんの「Tsukubot3号(つくぼっと3号)」と「クーちゃん零号機」の試合は、一回戦にして大会のなかでも最高潮の盛り上がりを見せた。

子供対大人の戦い。どうしたって「大人げない」というネガティブなワードが浮かんでしまう。しかもTsukubot3号(つくぼっと3号)は二足歩行と見せかけた四足歩行(腕の下にのびたでっぱりが前足の役割を果たす)で前進するのみなのに対し、クーちゃん零号機は目にも留まらぬ早さで連続パンチを繰り出すという、傍から見るとイカサマのような戦力差である。

この対戦組み合わせがドラマを生んだ。
クーちゃん零号機は連続パンチを繰り出しながら、Tsukubot3号(つくぼっと3号)は拙い動きで互いの距離を縮めていく。そして、クーちゃん零号機のパンチの間合いに入ると案の定、Tsukubot3号(つくぼっと3号)はボディに無数のパンチを喰らっていく。幾度となく倒れそうになるが、その度に体勢を持ち直し、相手へと向かっていくTsukubot3号(つくぼっと3号)。その姿はまるで映画「ロッキー」のスタローンのようでもあった。

相手を攻撃する術をもたないTsukubot3号(つくぼっと3号)は、ただただパンチを受けながら前進していくのみ。勝負の行方は分からぬまま、試合制限時間は残り僅かに。
ある一瞬、クーちゃん零号機がバランスを崩しかけたところにTsukubot3号(つくぼっと3号)がとどめの一押しを加えた。するとそのままクーちゃん零号機はダウンし、胴体から離れた頭がフィールドを転げていった。朗然たる完全勝利だ。

終止緊迫した空気が流れていた試合が思いも寄らぬ劇的な最後を迎え、観客からは大きな歓声が沸き上がった。前田さんが今大会のヒーローとなった瞬間だった。

第二回戦

二回戦は、一回戦の2倍の広さのフィールドに4体のロボットが並び、最後の1体になるまで戦うというデスマッチ形式。一回戦で相手ロボットの性能が分かっているので、それに合わせて対策をとった頭脳戦が繰り広げられるかと思いきや、そこはヘボコン、あまりフィードバックの成果は見られないロボット同士のぶつかり合いとなった。

4体も集まると賑やかである。

決勝戦

二回戦の勝者4体が三回線で一騎打ちをし、さらに勝ち残った2体による決勝戦。
ここまで勝ち残るロボットは、さすがにヘボさは寡少になるが、連戦を勝ち抜いてきた独特なオーラをまとっている。

かめたろう1号

ボディの大きさと、ベニヤを素材として使用したがゆえに備えた重さで勝ち残ってきた、かめたろうさん制作の「かめたろう1号」。2回戦以後、ロボットからロボットへ受け継がれてきた「NABE」の人参パーツが角のようにそびえ立っている。

突撃パンダさん

エントリーされたロボットの情報が事前公開されたヘボコン。その情報をもとに、みゆさんが全出場ロボットの特徴をパクりまくって制作した「突撃パンダさん」。試合を重ねている間にもパーツは付け足され続け、かなりデコラティブに仕上がっている。

この2体がぶつかり合う決勝戦。果たして勝負の行方やいかに。

どちらも重量級。激突するも、互いに譲らない。

膠着状態が制限時間いっぱいまで続き、勝敗は審判の判定に委ねられることに。

移動距離がより長かったとして、かめたろう1号が「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」の初代グランプリに輝いた。

ヘボコンを終えて

「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」
ここでいう技術力とは、本来のロボコンに出場するために必要な、専門知識や電子工作のスキルのことをさすのであろう。

しかし、そんなものがなくてもロボットは作れる。
とりあえず作ってみれば、不格好でも形にはなる。

そんな風に、全てのクリエイターを勇気づけるような大会だったように思える。

今回の出場者がこれからどのように成長していくのか、
第2回、第3回のヘボコンではどのようなロボットが集まるのだろうか、
今後が非常に楽しみだ。


撮影:ただ(ゆかい)

参考にしてくれた記事

記事が登録されていません。
この記事を参考にして、新しく記事を投稿しよう!

違反について