スケルトニクス(2)「ロボットハードウェアベンチャーで飯を食う」

スケルトニクス(2)「ロボットハードウェアベンチャーで飯を食う」

白久レイエス樹
白久レイエス樹 (ID265) 公認maker 2014/10/02
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第一回コラムでは、僕たちが開発したスケルトニクスについて紹介させていただいた。現在僕らは、スケルトニクスで商売をしている、いわゆるロボットハードウェアベンチャーである。「ロボットベンチャーやってます」と言うと、大抵の人に「なぜ会社を立ち上げようと思ったの?」と聞かれる。今回は、ロボットベンチャーを立ち上げようと思ったきっかけから会社設立に至るまでの経緯をお話したいと思う。

1. 最初は趣味だった

スケルトニクスを作っていた時、僕を始め開発者仲間全員は母校である沖縄高専に在籍していた。高専には工場があり、旋盤、ボール盤その他製作機械が使いたい放題だったので興味の赴くままにスケルトニクスを作ることができた。難しいことを考えずに、ただ自分たちが作りたかったものをひたすら追求した。スケルトニクスが完成し、動画を作ってニコニコ動画にupすると、予想以上の反響を得ることができて嬉しかったのを覚えている。また、メディアへの露出やイベントへの出演依頼もいただくようになった。

2. 趣味できる場所がない in 東京

時は過ぎ、僕らは沖縄高専を卒業し、僕と阿嘉は進学のため東京へ出てきた。それでもなお、ありがたいことにスケルトニクスに関する問い合わせは定期的にきていた。東京のイベントに出演するため、そして開発を続けるため、スケルトニクスも東京に持ってきた。しかし、母校と違って出入り自由の工場もなければ保管場所もない。最初は阿嘉の家に置いていたが、組み立てると3m超、分解してもアタッシュケース8個分と場所を取り過ぎること、またワンルームでは大規模な開発ができないこともあって東京で保管、開発ができそうなところを探した。しかし、二人とも学生なので当然お金はなく、ほぼ無料に近い形じゃないと難しい。無料の工場なんて東京にはなかった。善意で場所を提供すると仰ってくださる方が現れることもあったが、予想以上に実物が大きいためか、最終的に「何かアクシデントがあった場合に責任がとれないのでやはり無理だ」と断られてしまうことも多々あった。会社でも教育機関でもないロボットハードウェア開発団体はお金無しで活動をすることはほぼ不可能だと実感させられた。逆に、会社という責任を負うことのできる団体であれば、場所を借りたり交渉することは容易なように思えた。この時初めて起業というキーワードが頭の中に浮かんだ。

3.僕たちはビジネスの世界で通用するのか(技術・コミュニケーション編)

 起業を思いついたが、それを実行するにはまだ知らないこと、確かめたいことがたくさんあった。一つは、自分たちの技術を商売として成り立たせることができるのか、ということだ。ロボコンで優勝したこともあり、腕に自信はあった。しかし自分たちで考えたものを作ることと、他人の要望を作るのは違う。他人の要望を具現化するには、彼らの頭の中にあるものを引き出し、自分たちの持ってる技術でできるか、また予算内でできるかを擦り合わせていかなければならない。今まで自分たちの作りたいものしか作ってこなかった僕たちにとって、結構な難問のように思えた。幸い知人から仕事をもらうことができたので、これらのことを実践した。もちろん、全力でやった。結果として、顧客からは良い評価をいただくことができた。商品を作るだけでなく、金銭的な交渉をしたことも、趣味時代と大きく違うことだった。正直言って疲れたが、実際にビジネスの流れを経験することで、起業後の光景を少し想像することができるようになった。

4. 僕たちはビジネスの世界で通用するのか(企画編)

 技術に自信を得たとはいえ、すぐに起業はしなかった。起業に関するノウハウを何も持っていなかったからだ。そこで、僕は本を読んで勉強したり、大学院の「アントレプレナー道場」という起業するための講座を受講したりして知識を得た。道場では、実際に起業した先輩から話を聞いたり、チームを組んでビジネスプランを考えたりする。僕はスケルトニクスを主体としたビジネスプランを提案し、チーム全体でプランを練った。講座には経営学を始めとした様々な分野の人たちがおり、そんな中で行うディスカッションは大変ためになった。最後の授業ではチームごとに考えたビジネスプランを発表し、順位を決めるのだが、僕らのチームは準優勝だった。アプリ系の開発が全盛期のこのご時世に、ハードウェアでのプランで準優勝できたのはとても大きな自信になった。様々な視点からスケルトニクスを考えてくれたそのときのメンバーにはとても感謝している。

写真1:ビジネスプランで表彰を受けたとき

5. スケルトニクス株式会社設立

このような経緯があり、2013年10月に会社を設立した。言ってしまえば趣味の延長なのだが、好きなことを仕事にできてラッキーだと思う。不況が長引く影響で最近の若者は安定志向だというが、僕たちは真反対の道を歩んでいる。確かにベンチャーは大変だ。儲かるかどうかもわからない分野はなおさら。けれども、起業するきっかけがあり、運よく起業できたので力尽きるまではベンチャーをやってみようと思ってる。会社をやっていると慣れない事務作業も多く、それで疲れてしまう日も多い。やはり僕は部屋に篭って物を作ることが好きなのだと実感させられる、それでも、スケルトニクスに留まらず、次に作りたいものも決まっているのでその開発場所と資金がほしい。お金をかけずに趣味をしたい(というか普通のお父さんのお小遣いじゃこの趣味をすることは難しい)ので、僕たちは趣味でお金を生み出すことにした。まだまだこれからだけど、これからも頑張ろうと思う。

写真2:会社を設立した日、法務局前で。

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