超音波の話をしよう(2)「集束超音波で遊んでみた」

超音波の話をしよう(2)「集束超音波で遊んでみた」

星貴之
星貴之 (ID1529) 公認maker 2014/09/25
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こんにちは。超音波研究者をやっている、名古屋工業大学の星です。

前回は最初の記事ということで、自己紹介として「三次元音響浮遊」「非接触触覚提示」そしてそれらを実現する「超音波集束装置」の研究動画を紹介しました。

超音波集束装置はもちろん研究のために製作したわけですが、時間が空いたときにはそれを使って遊んでみたりもしています。今回は、そうやって撮った小ネタ動画をふたつ紹介します。

バレンタイン企画

2013年2月14日に公開した動画です。

http://youtu.be/s5v-WLc9hoM

「集束超音波をチョコレートに当ててみた」

集束超音波を水面に当てるとバチャバチャ飛び散ったり泡立ったりしてしまうのですが、ハチミツの表面に当てると静かにスッと凹むことに、この年の1月に気付きました。ハチミツの粘性が、ローパスフィルタとしていい感じに働くようです。また押し込まれたあとの戻りも遅いので、超音波焦点を動かすと残像のように軌跡が残るのも面白かったりします。

ところでこの話は、ハチミツ以外にも粘性のある液体なら何でも、例えば溶かしたチョコレートでも成り立つはずです。このことに気付いたのが、折しも全国規模のチョコレート祭りのちょっと前であるという巡り合わせ。これはやるしかないでしょう!!ということでやってみたわけです。自腹です。使用したチョコレートはスタッフがおいしくいただきました。

細かいところですが、ハートを描くために使った関数をそのまま走らせると尖った部分に差し掛かったとき急に減速し、超音波焦点が長時間滞在してそこだけ深くなってしまいました。そこで出来るだけ毎フレーム等間隔に移動させるため、プログラム中で現在の焦点位置から次の移動先までの距離を計算し、装置の空間解像度である0.25 mmを超えるまで媒介変数をインクリメントする、という方式を採りました。

超音波砲

世の中には、ギターやピアノなど普通の楽器でなく
HDD( http://www.nicovideo.jp/watch/sm17259927 )や
FDD( http://www.nicovideo.jp/watch/sm20728355 )を使って
名曲only my railgunを演奏してみた方々がいらっしゃるようです。
装置の動作音を操れたらonly my railgunを演奏するのが作法らしい。

そういえば僕の超音波集束装置からも動作音が出る。。。

http://youtu.be/SQ2ghZdzv-Y

「超音波集束装置で only my railgun を演奏してみた」

人間の触覚は、静的に押されるより振動のほうが感じやすいことが知られています。集束超音波を使って触覚を感じさせるときも、しばしば超音波をON/OFFすることで振動にします。このとき、超音波(40 kHz)自体は耳に聞こえないのですが、ON/OFFの周波数(50 Hzとか200 Hzとか)が聞こえてうるさい、という問題があります。触覚では1 kHzまでしか感じられないのに対し、聴覚は20 kHzまで聞こえてしまうので、この「触覚だけでなく耳にも聞こえてしまう」という問題は触覚技術の宿命と言えます。

超音波から可聴音が出てくる現象は、「音のスポットライト」「超指向性スピーカ」とも呼ばれるパラメトリック・スピーカと同じ原理です※。本格的な製品もありますが、アマチュア的には秋月のキットのほうがお馴染みかと思います。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-02617/
ちなみにこのキットでは周波数変調を採用しています。一方、先ほど述べたON/OFFは振幅変調です。若干違うのですが、どちらでも可聴音は出ます。

※ 数式によるパラメトリック・スピーカの説明
http://star.web.nitech.ac.jp/pdf/120324doc.pdf

撮影にあたっては、触覚を対象として1 kHzまでしか用意してなかった変調周波数を、必要な音階が出せるように2 kHzまで拡張しました。装置を二台使って、ピアノ用楽譜の右手パートと左手パートのそれぞれ一番上の音符だけ鳴らしました。

ということで、今回は遊びで撮影・公開した集束超音波の動画について紹介しました。勢いでやったものなので、改めて見るとやや恥ずかしいです/// 次回は真面目な研究の話にしようと思います。それではまた☆彡

これまでの連載:星貴之

超音波の話をしよう(1)「不触(さわらず)の誓い」
https://media.dmm-make.com/item/1577/

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