「ホワイトボードに書いたアイデアでもいい」 ハードウェア設計・製造のJENESIS代表インタビュー

「ホワイトボードに書いたアイデアでもいい」 ハードウェア設計・製造のJENESIS代表インタビュー

DMM.make
DMM.make (ID217) 公認maker 2014/09/05
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「ホワイトボードのアイデアからでもいい。」

スタートアップ支援への熱い思いを語るのは、JENESIS(株式会社ジェネシスホールディングス)代表取締役CEO 藤岡 淳一氏。JENESISは、日本(東京・宮崎)と中国の深圳でハードウェアの設計、製造、保守までをワンストップで受託製造しており、特にタブレット端末中心に、最近ではイオンスマホ第二弾「FXC-5A」を担当した。

藤岡氏はもともと大手メーカー工場の派遣スタッフとしてキャリアをスタート、日本で中国を中心としたファブレスの製造会社を経験後、現在のJENESISを立ち上げたという経歴を持ち、ものづくりに熱い想いを持った人物だ。

そんなJENESISが、2014年8月からハードウェアのスタートアップベンチャーを支援するプラットフォームを開始した。アイデアから相談可能で、ロボット、Bluetoothなど各専門知識を持ったメンバーが参加し、プロトタイプ制作や量産を前提にした設計のサポート、量産は小ロットからでも受け付けてくれるとのことだ。

http://jenesis.jp/hw_platform.html

ファブレスではなく中国で工場を持つこと

JENESISは中国・深圳(シンセン)に工場を構え、部品や外装などの製造は深圳の他工場で、自社工場では組み立て、検証、箱詰めまでを行っている。深圳といえば、様々な工場が並び、短いサイクルで次々とものが製造されていく都市だ。

――そんな場所にいるのであれば、ファブレスで、現地に数多ある工場で行う方が経営的によいのではないでしょうか?

「もちろん、経営的にはファブレスの方がいいです。ただし、ロット数、納期、品質要求ともに現地の工場の協力が得られない場合も多く、安定的に納品するためには自社で工場を持つことが必要でした。たとえば付属品などは、深圳のたいていの工場ではランダムでしか検証しないが、JENESISでは全てを検証しています。

「日本では当たり前だが中国では難しいこと、例えば箱詰めで髪や虫などが入らないようにすること、箱を足で移動するのではなく手で丁寧に扱うことなどについて、従業員教育を徹底し、ジャパンクオリティを保っています。」

確かに、編集部が深圳の現地リサーチで見た深圳の工場では、日本では当たり前の、静電気対策やクリーンな環境での作業は見かけなかった。そういった点で、JENESISの工場はかなり日本的であり、中国だからこそ必要な高品質へのこだわりが垣間見える。

なぜスタートアップ支援を開始したのか

「誰かがちゃんと取り組まないと、makersはただのブームで終わってしまいます。」
と藤岡氏は熱く語る。

クラウドファンディングの登場や3Dプリンターなどデジタルファブリケーションの普及により、大手メーカーではなく、個人や少人数のチームで製品をつくりメーカーになるという流れが注目されており、ハードウェアスタートアップを目指す人が少しずつ現れてきている。ただし、たとえば試作まではできるが量産化ができない、工場にかけあってもミニマム製造ロットが大き過ぎて事業計画に合わない、工場との詳細な仕様書や図面などのやり取りがうまくいかないなどの課題を抱えている。

JENESISのスタートアップベンチャー支援プラットフォームは、そんな課題を解決するために開始したそうだ。プラットフォームには、ロボット、Bluetooth、量産設計、マテリアルなど、それぞれの専門分野を得意とするメンバーが参加している。スタートアップから相談されたつくりたいものに合わせて、必要なメンバーが手助けをし、設計、量産計画をサポートしてくれるという。

――短期的に利益が得られるようなモデルではないですよね。なぜそうまでしてやるのでしょうか?

「誰かがちゃんと取り組まないと、makersはただのブームで終わってしまいます。自分の可能性を広げられるようなステージが用意される必要があります。そして私達には、量産を前提にした設計も、自社工場での安定的な小ロット製造も、FOXCONN(フォックスコン)との提携による大量ロット製造も行うことができます。やりたい人がいたら、ぜひ私達を使って欲しいのです。そもそも私達は自分たちだけでは何もできません。作りたい人と手を取り合うことで、はじめてものづくりができます。」

「そして、やはり日本人にはものづくりの血が流れているのだと思います。製造業、今の日本をつくってきたのは、我々の親世代です。せっかくあるはずのものづくりの血を絶やしてはいけないと強く思います。そのために私達ができることだと考えています。」

ホワイトボードのアイデアでもいい。ただし本気の人に来てほしい。

――どれぐらいのレベルで相談してよいのですか?

「究極的には、プロトタイプもいらないです。アイデアを書いたホワイトボードからでもいいです。私達は普段から、お客様から口頭やホワイトボードでアイデアをお聞きし、例えばGPSが入っている靴を作りたい、といった内容から、量産を前提に設計や見積へと進めます。新プラットフォームは、今までBtoBでやらせて頂いてきたことを、間口を広げただけのことで、私達にとって特別なことではないのです。」

さらに、最初に用意できる資金に合わせた相談にも応じてくれるとのこと。
例えば、最初にあまり用意ができないのであれば、CNC(切削加工)でプロトタイプを10万円などで制作し、本人がクラウドファンディングに出したり、付き合いがあるメーカーにアイデアを紹介するなどもあり得る。もしくは、最初の10万円すら容易できない人には、JENESISで製造してレベニューシェアもあり得るとのこと。

――そこまで手厚い支援となると、判断基準はどこにあるのですか?

「その人の目を見ます。本気な人であれば、例えばホワイトボードのアイデアしかなく、私が頭金に300万円かかると伝えても『3カ月待って下さい。なんとか稼いできます』と言うかもしれませんよね。そういう本気な人に来て欲しいです。」

――間口は広いが、人そのもののハードルは高いわけですね。

「それぐらいハードウェアをつくることは難しいのです。資金も必要ですし、時には工場に頭を下げることや、販路を用意するといった様々なことが必要になります。それをやり遂げられる覚悟、売れるという本気が必要です。これは、makerからメーカーに変わる瞬間なのです。製造物の責任を持つ瞬間です。」


「makers」というキーワードが注目され、世界でクラウドファンディングから製品が誕生し、という事象ができてきているが、そのような華やかなところだけではなく、ものづくり、つまり製造することについて、課題が共有され、手を取り合うことが必要なのかもしれない。

対談:「makers」の実態。我々が抱える課題とはでは、藤岡氏と、同じくものづくりのコンサルタントとして活躍している株式会社プロメテウス代表市村慶信氏、クラウドファンディング「Makuake」を運営する株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング取締役 木内文昭氏を交え、ハードウェアベンチャーを目指す人たちの実態や課題についてディスカッションします。

(文・インタビュー・撮影 水草亜友)

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