対談「『makers』の実態・抱える課題とは」

対談「『makers』の実態・抱える課題とは」

DMM.make
DMM.make (ID217) 公認maker 2014/09/05
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ハードウェアスタートアップを目指す人たちの実態、「makers」が抱える課題とは?
ハードウェアスタートアップ支援プログラムを開始したJENESIS (株式会社ジェネシスホールディングス)代表取締役CEO 藤岡 淳一氏と、同じくものづくりのコンサルタントとして活躍している株式会社プロメテウス代表市村慶信氏、クラウドファンディング「Makuake」を運営する株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング取締役 木内文昭氏の対談をお届け!

ハードウェアスタートアップを目指す人は増えているのか

――藤岡さんはハードウェアスタートアップを目指す人たちを集め始めたところだと思いますが、すでにクラウドファンディングを運営する木内さんのもとには、やはりハードウェアスタートアップの話も増えているのでしょうか?

木内文昭(以下、木内)
クラウドファンディングを運営していて、ハードウェアベンチャーを目指す人は増えていると感じています。エンジニア、デザイナー、企画が出来る人など、さまざまなレイヤーの方がいて、個々人で目的やゴールが異なるかなとも思いますが。

――企画ができる人、というとどのような人ですか?

木内
大きくタイプとしては3つで、自ら企画して製品をつくられる方、ハッカソンなどのイベントでよいものができてそれをなんとか製品化しようとする方、あとは企業などに属していて企業内外で製品化に向け動いている方でしょうか。


市村慶信氏(以下、市村)
クラウドファンディングも、そういった企画に強い人たちが、資金調達というよりニーズ調査のために利用していることが多いですよね。

木内
そうですね。ニーズ調査に役立った実例として、最近Makuakeで達成したヴイストン株式会社のロボットアームでは、想定していなかった業界から多くお問い合わせを頂くなど、マーケティングにも有効活用できたのではないかと思います。

藤岡 淳一氏(以下、藤岡)
クラウドファンディングは最初に資金があまり必要ではないので、利用しやすくていいですよね。ただ、ニーズ調査をしなくても本気で売れると思っているのであれば、最初から量産してしまう方法もいいと思います。最初にプロトタイプではなくお金をかけた1号機を製造することで、本気度を感じて投資してくれる人やパートナーができたり…という事例もあります。

ハードウェアスタートアップが抱える課題

――市村さんは、普段そういったmakersのコンサルタントを日本でされていますよね。一番の課題は何だと感じていますか?

市村
今のmakerは製造側に対して調整や交渉が出来ていないのが大きな課題です。相談に乗っているmakerから工場からの納期や見積などのやり取りを見せてもらうと、信じられない数字であることがよくあります。makerがまだ製造や量産のプロセスに詳しくないため、工場からそのような見積や納期を出されても妥当かどうかの判断が適切にできません。最初はアイデアと勢いで乗り出せますが…、その後の彼らと製造との溝を埋める仕事が必要だと感じ、今の仕事をしています。Makerも工場と交渉できるような最低限の知識を身につけていく必要があります。

木内
ハードウェアスタートアップでも試作と量産ができる、というのが日本の生態系からは足りなかったですよね。そういう意味で、JENESISさんの新プラットフォームは素晴らしいですね。

市村
JENESISさんは、量産を前提にした設計というところももちろんですが、ホワイトボードからでも、設計、スケジュール、こういうファンクションが必要だよ、を教えながらスタートアップを支援するというところがポイントですね。

藤岡
まさにそうです。

木内
いくつか本当にご相談してもよいでしょうか?(笑)

藤岡
もちろんです!
また、製造できることだけでなく、ハードウェアベンチャーがビジネスとして成り立たせていく必要があります。たまに、ベンチャーキャピタルからの資金を食いつぶすようなやり方も見かけますが、ベンチャーキャピタルと言っても人様のお金なので、何か貢献しないといけませんよね。こういった「ビジネスにしていく」というところも課題だと思います。


――「ビジネスにしていく」というのは、本人たちだけではなく業界全体の課題ですよね?

藤岡
そもそも「makers」自体、誰かがちゃんとやらないとブームで終わってしまうと思います。いくつかステージを用意してあげて、自分の可能性を感じられる人を集めないといけません。


木内
今、可能性とやる気がある人が海外に行こう、となってしまうのが悔しいです。日本からあっと思えるものが出てきた!としたいですね。

藤岡
おっしゃる通りですね。中国にいると強く感じるのですが、やはり日本人にはものづくりの血が流れているのだと思います。今、ものづくりの血を絶やしてはいけないと強く思います。
世の中のプレイヤーをもっと増やして、みんなで手を取り合って手伝って、そのプレイヤーに仕事をまわして…みたいな世界を目指していきたいです。

「Maker」から「メーカー」を目指す人たちへ

--最後にこれから目指す人たちに、メッセージをお願いします。

木内
クラウドファンディングやJENESISさんの新プラットフォームなど、日本でもハードウェアを作りたい人が、事業として成功できる/成長できるインフラが日本でもやっと整ってきたと思います。すぐに海外でチャレンジもよいのですが、製品のデリバリーや届いた後の反応、万が一クレームが起こった際の対応等も考えた場合、自分のコネクションがある程度使えて応援も得られる日本でまずはチャレンジしてみる、という人が増えたらいいなと思います。


市村
EMSはつくりたいものをインプットすれば作ってくれるという魔法のようなサービスではないですが、JENESISさんのような取り組みもあるので趣味で電子工作を楽しんでいる人にもビジネスしたいと思う人がどんどん出てきて欲しいです。
それによってきっと面白い製品やサービスの幅が広がると思います。

藤岡
最近は日本でもスタートアップを支援する制度がありますが、会社を辞めて自分で起業というのは、バンジージャンプみたいなところがあります。こういう文化が、日本でmakersが盛り上がりにくい理由の1つだと思います。結果的にアイデアがアイデアで終わってしまうことが多い。逆に言うと、最初から企業する必要もないと思います。会社に勤めながら、うまくいきそうになったら起業するとかでもいいし、その方が冷静に判断できると思います。スタートアップ=企業しました、でなくていいのです。
私達は非公開でもご相談を受けられますし、レベニューシェアというやり方もあります。ぜひ私達を使って、自分の可能性を広げてもらいたいです。

--みなさん、ありがとうございました!

藤岡・市村・木内
ありがとうございました!



ハードウェアスタートアップを目指す人に加え、資金集めのサポートをする人、製造との溝を埋めてあげる人、製造そのものをサポートする人…と色々な人が手を取り合っていくことで「Makers」が出来上がっていくというのが感じられた。さらに色々な人や作用が加わっていくことで、盛り上がっていくのが楽しみだ。

(文・インタビュー 水草亜友)

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