あなたの(多分)知らないゲームの世界 Vol.3 140

あなたの(多分)知らないゲームの世界 Vol.3 140

ミル☆吉村
ミル☆吉村 (ID215) 公認maker 2014/12/02
0

 サンフランシスコからこんにちは。ミル☆吉村です。前回に引き続き、何かクリエイティブの刺激になりそうなゲームを紹介します。
 今回紹介するのは、Jeppe Carlsen氏による『140』。この前書いた『Thomas Was Alone』と見た目がちょっと似ている、抽象的な図形を操作してプレイするアクションアドベンチャーゲームです。

http://vimeo.com/59001919

 グラフィック的には『Thomas Was Alone』よりもうちょっとドット絵趣味も取り込んだ感じなんですが、ストーリーテリングという部分ではかなり異なります。『Thomas Was Alone』の場合は抽象的なアートスタイルを採用することにより、プレイヤーの心の中にキャラクターたちの奮闘を描いていましたが(詳細は前回の記事でどうぞ)、本作は明確なストーリーが存在しない、更に実験的なゲームになっています。

●一見ハードなシーンがBGMにノると解ける不思議な構造

 このゲームが面白いのは、テクノなどのダンスミュージックを知っていると、一見ハードに見えるシーンも簡単になるという点です。一定周期で床が消えたり、触れたら死亡のノイズ模様が動いたりするんですが、これがBGMとして流れているサウンドの特定の音とシンクロしてるんですね。「3拍目と7拍目のクラップに合わせて床の配置が切り替わる」とか「この音色のシンセがビキビキ鳴るのに合わせて一個ずつブロックが出現する」とか。

 だから単にアクションゲームとして見ると「ココどうやって進むんだよ!」ってパニックになりそうなシーンでも、ダンスミュージックにノりながら見直せば「あ、このリフが鳴ってる間は通れる」、「次にあのサンプルが鳴ったところでジャンプすればイケるな」というのが自然とわかる。DTMで打ち込みやったことがある人なら、特にわかりやすいかと思います。

 こういった「今だ!」って瞬間がわかる感覚って、アクションゲームに慣れてる人なら自然に身についてると思うんです。グラフィックなどから「この床がこれぐらいの位置を通った時に飛べば乗れるな」とか「今はダメージを受ける壁が出てるけど、これが2回点滅した所で飛べばノーダメージで先に行けるぞ」っていうのを見抜いているんですね。これは、普通はそういった仕掛けのあるゲームで死にまくって習得していくものなんだけども、本作ではBGMがガイドになって教えてくれるというワケです。
 しかも「正解」を見つけ出した時って、当然のことながら音楽とアクションのタイミングがバッチリだし、ゲーム的にも即死トラップを超絶技巧ですり抜けている感じだしで、これが超気持ちいい。あえて言い切ってしまえば、本作において曲こそがステージそのものであり、ただのバックグラウンド・ミュージックではなく、ゲームの楽しさを生む構造の一形態として設計されています。

http://youtu.be/MV_-8LZDydI

そんなわけで『Thomas Was Alone』を知った後で『140』の画面だけを見せられるとコピーゲームっぽく感じるかもしれませんが、抽象的なグラフィックのアクションゲームという部分こそ同じでも、これはこれでコンセプトの方向性が異なる別物です。

 ダンスミュージックとゲームの融合と言うと、VJっぽいサイケデリックな映像体験と音ゲーっぽい要素が融合していたり、かの名作『Rez』や『ビブリボン』、ちょっとマニアックな所では『Audiosurf』のように、音と視覚やゲーム要素が連動する共感覚を狙ったものなど、さまざまな試みがあります。
 本作の場合はそういったものを踏まえつつも、もっとダンスミュージックそのものの視覚化というか、シーケンサーのピアノロールなんかのアクションゲームへの変換というか、意味を削ぎ落したミニマリズムの美を追求したゲームだと言えるでしょう。明確なストーリーがないのも当然で、そこにはダンスミュージックらしく具体的な意味は消失し、音楽にシンクロする快感と、サウンドから伝わる抽象的な感情だけが浮かんでいる。

 全体で3ステージと、各ステージの終わりにあるボスバトル含めて1時間程度でクリアーできるほど短いゲームなんですが、クラバーな人にはこっそりオススメしたい一作ですね。あ、ちなみに気がついた人も多いと思いますけど、『140』ってタイトルの本作、ステージに使われてる曲のBPM(1分間の拍数)が大体140です。

『140』プラットフォーム:PC/Mac/Linux 開発:Carlsen Games 販売:Carlsen Games 公式サイト:http://game140.com/ 公式サイトほかSteam(http://store.steampowered.com/app/242820/)などで販売中

参考にしてくれた記事

記事が登録されていません。
この記事を参考にして、新しく記事を投稿しよう!

違反について