1. たにぐち部長の美術部3D「第一話 部長、キャンバスを貼る(前編)」

1. たにぐち部長の美術部3D「第一話 部長、キャンバスを貼る(前編)」

谷口暁彦
谷口暁彦 (ID149) 公認maker 2014/05/19
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第一話 部長、キャンバスを貼る(前編)

ここは埼玉のとある高校。そこに部員がたった2名の美術部がありました。 
部長のたにぐちと、部員のひろしがなんとなく美術の勉強をしていきます。

登場人物

高校3年生。美術に興味が無かったのに急に美大進学を目指す。ちょっと理屈っぽい。

高校2年生。チャラい。

部長、キャンバスを張る

部長〜 なに作ってんすか?それ家具かなんかっすか?テーブル?

テーブル(table)じゃなくてタブロー(tableau)だよ。お前、美術部なのにキャンバスも知らないのか。

えー!キャンバスってそうやって作るんっすか。まじ知らなかったっす。つか部長、絵とか描くんすか?

実は俺、美大を受験することにしたんだ。

うわマジっすか。え、でも今まで部長ぜんぜん絵とか描いてなかったじゃないすか。いつもパソコンでマインスイーパーしてたじゃないすか!大丈夫なんすか?

だから最近、美術の勉強をしているんだよ。

え、でも今どき絵画とかダサくないすか?パソコンでプログラミングしてインタラクティブなメディアアートとか作ったほうがモテるっしょ。

バーカバーカ。お前みたいにチャラいやつばっかりだから最近●●●●●みたいな●●●●が●●●●●されて●●●●●●●●●んだよまったく!

ちょっ。。何に対して怒ってるんすか。。

はあ… ともかく、キャンバスに描くことでもまだまだ面白い作品を作る事は出来ると思うんだ。ちょっとお前に俺の好きなアーティストの作品をいくつか見せてやるよ

いろいろなキャンバス

例えば、末永史尚さんは、「タングラムペインティング」っていう作品を制作してるんだ。タングラムっていうのは、一つの正方形をいくつかの四角形と三角形に分割したピースから出来ているパズルなんだ。それを並び替えることで様々な文字や動物のシルエットを作れる。末永さんの作品も、キャンバス(パネル)がタングラムのように分割されているから、普通のキャンバスと違って、様々な形に組み替えて展示することができるんだ。

えー面白いっすね〜

だろ?シェイプドキャンバス(矩形以外のキャンバス)と違ってタングラムだから、展示されている形だけでなく、鑑賞者が頭の中で他の形を想像することができる余地もある。あと、末永さんがデザインしたカレンダーがあって、これも面白いんだ。「komagata」って名前のカレンダーで、ページがマンガのコマのような形をしているんだ。その1コマ1コマが彩色され、カレンダーのページになってる。だから毎月ページをめくるごとに様々な色と形が構成されるようになっているんだ。

このページの重なり具合かっちょいいっすね。季節の変化とともにカレンダー自体の雰囲気が変わってくのもナイスっすね。

次に、Matt Goerzenさんの作品を見せよう。彼は実際のキャンバスに絵を描いていないんだけど、一貫してキャンバスを問題にした作品を制作しているんだ。

どういうことっすか?

例えばこの「POTENTIAL PAINTINGS」っていう作品のシリーズ、一見すると普通にいい感じの抽象絵画に見えるけど、絵じゃなくて、3Dソフトで制作したCGなんだ。

ええ!?キャンバスも3Dなんですか?

そう。わざわざ3Dソフト上でキャンバスを組み立てて、そのバーチャルなキャンバスに絵を描いているんだ。つまり、すべてコンピュータの中で制作された絵画なんだ。彼のサイトの「stretcher building」 というページにバーチャルなキャンバスを貼るプロセスがgifアニメで紹介されているよ。

????木から切り出しているんですか???コンピュータの中なのに??

本当にこんな風にバーチャルなキャンバスを作ってるわけではないよ。実際には3Dソフト上でキャンバスっぽい板を作って、そこに本物のキャンバスのテクスチャーを貼付けて作っているはずだ。これは半ば冗談みたいな作品だけど、この可笑しさの中に彼のコンセプトがすごく明快に出ていると思う。同じ手法で過去の有名な画家達の作品を3Dで再現して、パロディっぽくリミックスした作品もある。デ・クーニングの作品をモンドリアンで塗りつぶした作品とか、ニスの光沢でテカテカに光っちゃってるロスコとか(笑)

へー。CG独特のリアルさがあって変な感じがしますね。純粋に視覚情報しかないお化けみたいな。

あと、最近の 「SUPPORTING MATERIALS」っていうシリーズも面白い。

あれ?木枠や、真っ白なキャンバスが展示されてますね。

でもよく見ると、本物のキャンバスじゃないんだ。キャンバスや木枠のテクスチャが印刷されたキャンバス布を、箱形に折って作ったハリボテなんだ。つまり、さっきのバーチャルなキャンバスを作るときと同じ作業を、現実の空間で行ってるわけだ。

うわーメタメタだー。。。よく見るとなんか四方にはみ出てる場所がありますね。

そう、はみ出た部分は、そのキャンバスが壁に掛けられていたときの壁のテクスチャなんだ。壁の表面に落ちたキャンバスの影まで映っている。この作品は、キャンバスという支持体(SUPPORTING MATERIALS)自体を描いた、一種のイリュージョンとも言えるんじゃないかな。

へー。(何言ってるんかわからん)ところで、部長はどんな絵を描こうとしてるんですか?

それはね・・・

-(数日後)-

絵が出来たー!

うわー。(なんだこれ...)

次回へつづく

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