クジラさんモビール製作記(1)「作ってみなけりゃわからない編」

クジラさんモビール製作記(1)「作ってみなけりゃわからない編」

かないてつお
かないてつお (ID1773) 公認maker 2014/10/02
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https://www.youtube.com/watch?v=i7wpVeUQWDY&list=UU9J3sMvDWYfeU6QMiadcOsA

パッシブ方式は難しい

 クジラが泳ぐモビールを作りたいと思いついたのは、もう何年も前のことだった。とにかく、ふわりふわりとクジラが空中で泳ぐ姿を思い浮かべたのだけど、あれこれ想像しているだけでは考えがまとまらず、とにかくなんでもいいから作ってみようと手を動かし始めたところから、方向性が見えてきた。

 最初に作ったのは、弥次郎兵衛のように重力で自然に動く方式。波の伝達の実験に使う装置があるけど、その原理を使って、5つに分割したクジラの体を波打たせようと考えた。その実証実験のために作った装置の再現版が下のムービーだ。
 こういうものを作るときは、あり合わせの材料をホットグルーでつなぎ合わせるのが早くて楽だね。ホットグルーは高速プロトタイピングの必需品だ。
 6本の竹ヒゴの端に短く切った塩ビパイプをホットグルーで直角に固定して、そのパイプに金属棒を通した。短い方の端に粘土で重りを付けてバランスを取ると、指で押すとゆっくりと上下運動する。
 6本の竹ヒゴの支点に近い部分を糸でつなぐと、ひとつの上下運動が隣の竹棒に伝搬し、竹ヒゴの先端は波打つように動く。そこに紙で作ったクジラを吊り下げてやればクジラは泳ぐ……はずだった。

https://www.youtube.com/watch?v=VweQ4lKbIhM&list=UU9J3sMvDWYfeU6QMiadcOsA
https://www.youtube.com/watch?v=B1ZeJKolSMw&list=UU9J3sMvDWYfeU6QMiadcOsA

↑最初に作った波動式クジラの実証モデルを復元したもの

 ところがどっこい、クジラを取り付けみると動きが美しくないし、すぐに止まってしまう。
 考えられる原因は、サイズが小さすぎて慣性の力が弱いこと。もっと大きくすれば、ゆっくりゆったり動くかもしれない。
 ヒモを引くと羽ばたく鳥のモビールがあるでしょ? あれ、3回ぐらいで止まっちゃうんだよね。うんと重くすれば慣性の力でもう何回か動くかも知れないけど、頭の上に吊すものだから、あんまり重いと危なくて仕方ない。
 もうひとつ、止まってしまう原因は、波の反射だ。理科室にある波動の実験装置でもそうだけど、端から伝わった動きは、反対側の端でと反射する。それが新しく頭から始まった波と中間でぶつかって打ち消し合ってしまうのだ。
 この方法でうまく動いたとしても、最初に頭の棒を引っ張るなりして、頭から動くようにアクションを加えないとダメというのも面倒だ。しかも尻尾から動かすと逆の動きになってしまう。
 ああ、やってみないとわからない。あれやこれやで、波動方式はボツとなった。

アクティブ方式へ変更

https://www.youtube.com/watch?v=oR4yREYiA0U&list=UU9J3sMvDWYfeU6QMiadcOsA

 そこで、動力を使ってアクティブに駆動させる方法に切り替えた。でも、電気で動かすのは野暮だ。王様のアイデアみたいになってしまう。
 やっぱり風力がエレガントだ。風車を回してクジラを泳がせる。それならモビールらしい。
 回転運動でクジラを泳がせる方式は、じつは一度作っていた。雑誌 『MAKE:』( http://www.oreilly.co.jp/books/9784873115566/ )の翻訳をしているボクは、「動く針金のクランクトイ」 (日本語版Vol12) という記事を翻訳して針金細工にはまった時期があった。そのころに泳ぐクジラのオートマタを作ったのだけど、それをモビールに応用しようと考えたのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=ir9Vh1UDCs4&list=UU9J3sMvDWYfeU6QMiadcOsA

↑針金で作ったクジラのオートマタ。なんだかドルフィンキックのボラみたいだが。

 では何でどう作るか?  最初は針金細工でやってみようと思った。しかし、風車は高速で回転するので、減速してやる必要がある。それには歯車かベルトがいる。しかし、それをどう作るかだ。経験上、針金細工で歯車のような精密なものを作るのは厳しいとわかっている。見た目には可愛いが、ハードルが高すぎる。ベルト駆動にしても同じだ。
 できるだけ簡単に、しかも正確にやりたい。イテーレション (試行錯誤の繰り返し) を考えると、工作に手間をかけたくない。
 てなわけで、歯車をレーザーカットすることに決めた。文明の利器を使わなければ。
 歯車の作り方は、ボクが翻訳した 『Making Things Move』( http://www.oreilly.co.jp/books/9784873115368/ ) という本で解説されていたので、それに従った。これはメカニズム工作の基本を教える本で、理論から実践まで丁寧に、しかもダイナミックな (というかぶっちゃけ大ざっぱな) スタイルで解説している良書です (と宣伝)。
 ここで紹介されていたのは、フリーソフトの 『Inkscape』 に付属している歯車を作るツールだ。これを使うと、歯数、円ピッチ、圧力角を入力するだけで歯車が作られる。これに合わせる歯車は、円ピッチと圧力角を同じにして歯数を変えるだけでいい。
 ボクは適当なギヤ比で適当な大きさの歯車を作り、2つの歯車の中心距離をもとに全体をデザインした。とにかく、一度作ってみないとわからないからね。
 そうしてできたのが下のムービーの実証試験機1号。

https://www.youtube.com/watch?v=ZNAGWNHl1rM

↑風車は0.5mm厚PET樹脂をレーザーカットして熱をかけて捻った。


 ここでも作ってみて学ぶことが多かった。まあ、ともかく動くべき部分が動いた。これで第一歩だ。
 さて、この先、このプロジェクトのチャレンジングな要素となるのは、歯車、風車、クランク、クジラ本体、フレーム(あれ、全部か)なんだけど、それぞれに学ぶべき点があり面白かったので、今後、つらつらとお話ししたいと思う。

 ではまた次回。ごきげんよう。

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