熊野MAKE日記 ー 家をつくる・4

熊野MAKE日記 ー 家をつくる・4

pha
pha (ID151) 公認maker 2014/11/11
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家の中にテントを張ってみる

5ヶ月間で5回の床張り合宿を行って、なんとか床と壁に新しい板を張り終え、家具も揃えてとりあえず生活ができる状態になったんだけど、次に直面した問題は暑さと寒さだった。

この家は2011年の水害で天井近くまで浸水して、壁や床などの板はボロボロになってしまっていた。だけど柱や梁などの重要な構造はしっかりと丈夫な感じで残っていたので、改修作業では主な構造だけ残して壊れた部分を取り除き、古くなっていた部屋の仕切りや天井も取っ払ってしまって、家の中をすっきりと広く繋げてしまったのだった。ちなみに水害前に使ってた壁板はベニヤなどの合板が多くて、合板は水に浸るとベロベロでボロボロな感じになってしまうんだけど、新しく張った板は壁も床も杉の分厚い板なので水に強くて、もしまた浸水したとしても板自体は大丈夫な予定だ(多分)。まあ、この前の水害は150年ぶりの大水害だったらしいので、僕の生きてるうちは大丈夫なんじゃないかと思っているけど。

部屋の仕切りや天井などをできるだけ取っ払って、3つの部屋と台所の合計30畳くらいのスペースを全部繋げてしまうと、家の内部がスコーンと抜けた感じになって、とても解放感があった。これは気持ちいい。

だけどその解放感の代償として、「寒さ」があった。

空間が広いと空調を効かせるのが大変だ。さらに、そもそも木造の日本家屋というのは気密性があんまりなくて隙間風だらけなものだ。冬になると家の中でも外にいるかのように滅茶苦茶に寒い。この冬の寒さにどう対応したものだろうか。

エアコンを設置してガンガンかけまくるというのも一つの解決策だけど、電気代がかかるし、DIY的にお金をかけずに自分たちで作りまくった山奥のこの家で、そういうのはなんか合わない感じがする。ということでエアコンは却下された。

薪ストーブという手も考えた。熊野の家の近くには廃校を再生したカフェがあってそこでは薪ストーブが使われているんだけど、これは熱量が強くてすごく暖かい。火を熾したり火を囲んだりするのは楽しいし、鍋を置けば料理もできるし、斧で薪を割るのも田舎的なイベントとして面白さがある。

だけど、薪ストーブを室内に置くなら、壁か屋根に穴を開けてそこに煙突を通して、煙を外に出さないといけない。壁や屋根をぶちぬくのは結構な作業なのでちょっとしんどい。もっと他の手はないか、と考えた。

(ちなみに薪ストーブは室内で使うのは諦めたけど、下の写真のような小さいのをもらったので屋外で使って煮炊きをしたりしています。煙突の効果で普通に焚き火をするよりよく燃えるので楽しい)

家が広いせいで暖めるのが難しいなら、空間を狭く区切ればいい。ただ、せっかく部屋を繋げたことで解放感が出たのに、また仕切りを作ってしまうのはもったいない。冬の間だけ一時的に空間を狭く仕切ることはできないだろうか?

そこで出た解決策が「家の中にテントを張る」だった。12畳の大きな居間の中央に、6畳の広さのテントを張ることにした。

テントも既存の物を使うのではちょっと殺風景でつまらないので、CASA PROJECT( http://casaproject.com/ )さんという、廃品の傘をリサイクルしてお洒落なプロダクトを作っている人にお願いすることにした。

「要らない傘があったらください!」と知り合いに声をかけまくって何十本もの傘を集めて、みんなで解体作業をした。傘の生地をどうやって使うかというと、下の図のような感じだ。この方法ならいろんな色の布を組み合わせながら大きな生地を作ることができる。

上の写真は傘の解体作業をしている様子。みんなでひたすら傘をバラして生地を三角形に切って、それをCASA PROJECTさんに送って縫ってもらう。そして完成したのが下のようなテントだ。

いろんな色の布が合わせられていて素敵な感じだ。入ってみると、風が来なくて寒くない。6畳の大きさがあるので結構中に入ると広いし、テントに透明の部分があるので中にいてもあまり閉塞感はない。テントの中にこたつを置いて、あとは灯油ファンヒーターを置けば、かなり暖かく過ごせるようになった。防寒はこれでバッチリだ。

テントは冬だけ張って、それ以外の季節は畳んでおけば部屋を広く使える。大きな家の暖房方法として室内テントはかなり良いと思った。

上の写真はテントを畳んだ状態。畳むとかなりコンパクトになります。

暑さ対策は難しい

冬の寒さ対策は室内テントでなんとかなったけど、夏の暑さ対策はどうしたらいいのだろうか。これはなかなか難しくて、まだ解決していない。

エアコンはあんまり好きじゃないので使いたくないんだけど、なかなかエアコンを使わないと冷やすというのは難しい。

家が暑い理由の一つは天井を取ってしまったからでもある。屋根と部屋の間に天井裏という空間があると、それが断熱効果を持つんだけど、天井がないと屋根に当たった日光の熱がそのまま部屋に来るのだ。

天井がないと頭上の空間が広くて解放感があるんだけど、その代わり暑い。「天井って大事だったんだ……」ということに自分で家を改修してみて初めて気付いた。

まだ暑さ対策は解決してないんだけど、
・屋根に水を撒き続けたらに涼しくなるんじゃないか
・ツタ的な植物を屋根とか壁に生やしまくってグリーンカーテンを作ってはどうか
・天井を張る代わりに屋根裏を大きな布で覆えば断熱効果があるんじゃないか
・壁の外側を焼き杉で覆えば断熱効果があるんじゃないか
とか、いろいろ案は出ている。まあ、こういうのを自分たちで考えるという作業が楽しいし、ちょっとずつやっていこうかと思う。

案で出た焼き杉というのは結構面白くて、分厚い杉板の表面を焼いて真っ黒にすると、断熱効果もあるし耐久性も上がるらしい。これで家の壁を覆うと黒ずくめの家って感じになって渋いかもしれない。

焼き杉は作る作業も結構面白くて、板を三枚組み合わせて立てて、中に火のついた新聞紙を入れると、煙突効果で炎が燃え上がって5分くらいで板の表面が炭になる。

詳しくは伊藤洋志くんの書いた、「新聞紙一枚で火柱があがる!焼き杉製作を見学してきました。」 地球のココロ:@nifty( http://chikyu-no-cocolo.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-4ca1.html )という記事で紹介されているのでよかったらこちらもどうぞ。

家で遊ぶのは楽しい

とりあえず家は最低限の生活ができるレベルまで直ったけれど、細かいところではまだまだ復旧していない部分が多い。

例えばまだ風呂がない。以前は灯油でボイラーを沸かしていたのだけど、水害でボイラーは壊れてしまって、今は水しか出ないのだ。夏はそれでもいいけど夏以外は水シャワーだとキツい。今のところ風呂に入りたいときは近くの温泉に行くようにしている。

温泉は温泉で良いんだけど、やっぱり家で風呂に入れると便利だ。聞いた話では、灯油のボイラーを直すと20万くらいかかって、薪で沸かすボイラーを買うと5万くらいらしい。薪で沸かすのも面白いからいいかもしれない。あと、どこかからドラム缶をもらったりできたら、庭に五右衛門風呂を作ってもいいかもしれない。

そんな風に「家をどんな風にいじって遊ぼうか」というのを考えるのは楽しい。こういうのは都会ではなかなかできない遊びだな、と思う。都会でもできなくはないけどお金がかかる。田舎だと家が余っているから、数万から数十万くらいのお金で家を借りたり買ったりできるのがいい。

だから僕らがやったみたいな「都会の人が田舎の家をいろいろ活用する」というのがもっと広まったらいいな、と思う。だけどその際にネックになるのは「よそ者がいきなり行っても田舎の家を買ったり借りたりできない」という点だろう。その理由としては、貸したり売ったりする側にあまりメリットがないからだ。田舎は住んでる人が少なくて人間の流動性もあまりないから、よそのよく知らない人が入ってくることに抵抗感があるし、貸したり売ったりしても大したお金になるわけでもない。めんどくさいことになるくらいだったら空き家のまま置いておいたほうがいい、という感じだ。

僕らの場合は現地に移住して何年も地域に関わっている人たちと仲良くなったので貸してもらえることになったんだけど、田舎の家を借りたり買ったりするには、そういうコネクションをうまく作る必要がある。だけど、誰でも友達とか親戚とかを辿っていけば、どこかにそういう田舎に繋がりがあるものだと思う。都会に住んでる人でも「田舎のお祖母ちゃんが亡くなった後の空き家があるけど使いようがなくて放置している」みたいな感じの人はよくいる。都会から田舎に帰省したり移住したりした友達がいる人もいるだろう。

なんかそんな感じでコネクションを辿っていって、田舎でうまく家を貸してもらって、友達を集めて改修して、若い人が移住したり遊びに来たりできるような場所にする、みたいな動きが日本のいろんなところでもっと起こればよいと思うし、実際に起こりつつある。それは人が減る一方の地方を活性化することにも繋がるはずだ。

とりあえずこの連載は今回で終わりなんだけど、僕の東京と熊野での二拠点生活はまだ続いていく予定です。さらに興味のある方は、ブログ「phaの日記( http://pha.hateblo.jp/ )」(あまり更新してないけど……)や、二拠点生活について書いた書籍『フルサトをつくる』(東京書籍)を見ていただければと思います。ご愛読ありがとうございました。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/448780812X/pha-22/

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