クジラさんモビール製作記(2)「風車は奥が深すぎた編」 初めての3Dプリントに挑戦の巻

クジラさんモビール製作記(2)「風車は奥が深すぎた編」 初めての3Dプリントに挑戦の巻

かないてつお
かないてつお (ID1773) 公認maker 2014/10/23
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https://www.youtube.com/watch?v=i7wpVeUQWDY&list=UU9J3sMvDWYfeU6QMiadcOsA

どーやって羽根を45度に取り付けるのさ?

 このプロジェクトでもっとも重要なのは動力だ。メカニズムが動かなければ話にならない。しかし、風車の知識が乏しいボクは、風車を甘く見ていた。回ればいいと思ってた。羽根を軸に対して45度に傾けて、適当な大きさで、6枚も羽根があれば十分だと思っていた。
 それよりも、羽根を軸に固定するハブの設計が難しいので、最初はそちらにばかり頭が行っていた。
 全体のフレームはアクリル板をレーザーカットで作る。羽根は0.5mm厚のPET樹脂を使用 (安価な塩ビシートを使おうとしたが、塩ビは過熱すると有毒ガスが出るからレーザーカットできないと言われた)。問題は、どうやって羽根を45度に傾けるかだ。
 レーザーカットでは面に対して直角にしか切れない。そぎ切りのように斜めに切れ目を入れることは不可能なのだ。直角カットだけで作れる方法をあれこれ考えた。レーザーカットにこだわらなくてもいいんだけど、木材を手で削って作るとなると精度が落ちる。高速回転するものだから、ちょっとでもブレるとまずい。
 そして作ったのが、5mm厚のアクリル板のハブに直角に0.5mmのスリットを入れて、そこに直角に羽根を差し込むというもの。羽根は熱して45度に捻るのだ。しかし、実際にやってみるときれいに曲げられず美しくない。角度を正確に揃えるのも難しい。

↑お湯をかけてPET樹脂の羽根を曲げたので、不揃いでぼこぼこした感じになってしまった。

 次に作ったのは、5mm厚アクリル板のハブの周囲に幅5mmの切れ目を6つ入れたもの。ここに羽根を斜めに入れ、同じ5mm厚アクリル板から切り出した二等辺直角三角柱で上と下から挟む。これで羽根はほぼ45度に保持される。これらをエポキシで固めた。
 しかし、エポキシで固めるってところがやっかいだ。昔から接着剤を使うと指がべとべとになるぶきっちょ野郎なので、どうにも美しくない。強度的にも問題があり、羽根が後から取れることもあった。

こんな風に羽根を挟み込んでエポキシで固めたんだけどぉ……。

↑レーザーカット版ハブの改良型。3mm厚アクリル板3枚重ね式だけど、結局使わなかった。

今こそ3Dプリントを試すとき!

 そんなことをしているうちに、メイキング世界はどんどん進歩し、それまでお殿様ぐらいしか使わないだろうと思っていた3Dプリントサービスがうんと身近になっていた。
 ここはひとつ試してみるしかないと、ボクはオートデスクが無料で提供しているウェブアプリ『Tinkercad』( https://tinkercad.com/ )という子ども向けの3Dモデリングソフトでハブを設計した。

↑Tinkercad の画面。単純な幾何学的モデルを作るにはこれで十分、というか非常にわかりやすい。

 最初、円筒に羽根を差し込むスリットを入れたものを作り、個人向けに小口のプリントをしてくれる日本のDMMとアメリカのShapwaysの両方から見積もりをとった。
 そうしたら、どちらも目玉が飛び出すほどの値段だった。高すぎる! 3Dプリントはまだお殿様のツールなのか?
 いやいや、調べてみてわかったのだが、直径8cm、厚さ3cmの中身が詰まった円筒形では、それなりの価格になるのだ。ボクはこれを厚さ2mmの板状の部材で作り直し、直径も3cmと小型化した。そうしたら、がくんと安くなった。Shapewaysならひと5ドルだ。安い! DMMは送料込みで2300円。ただしShapewaysは送料が25ドル。つまり合計すればどちらも同じってわけだ。うまくできてるねー。

Shapeways対DMMの対決

 というわけで、せっかくだから両方で同じモデルをプリントしてもらうことにした。ただし、Shapewaysは素材がアクリル。DMMはナイロンだ。
 その当時、といっても数カ月前だけど、プリントにはデータの確認が完了してプリント可能となってから届くまでに2週間ほどかかった。どちらかと言えば、データの確認はShapewaysがほぼ瞬間的に行われ、プリント工程も細かく知らせてくれるという親切サービスだったのに対して、DMMはデータ確認にやや時間がっかり、工程はわからなかった。なので、やっぱり本家アメリカが勝っているのかと思った(しかし、次に頼んだときは、本の数週間で状況が変わっていた。DMMにもう一度発注したところ、なんとプリントを依頼してから1週間以内に届いた。これには驚いた。その後も、小さなものなら1週間だ。データ確認も早くなった気がするので、今はDMMを利用している)。
 こうして斜め45度のスリットが8つ(せっかくなので8枚羽根に設計変更)入ったハブができあがった。

↑左がアクリル、右がナイロン。どちらもやや縮む傾向があるが、誤差は零点数ミリの世界。

 Shapewaysのアクリル製プリントのほうがナイロン製よりも仕上がりは美しいが、脆いという欠点があった。全体にほんの少しデータよりも縮む傾向があり、0.5mmで設定したスリットに0.5mm厚のPET樹脂の羽根を押し込んだらハブの一部が割れてしまった。
 ナイロンはスリットの内側など細かい部分にバリが残っていたが、柔軟性があるので多少の無理が利く。
 何事もやってみないとわからない。これでボクも3Dプリントユーザーとなったわけだ。
 で、肝心の風車だけど、もちろんブレることなくよく回る。よく回るには回るが、回ってみて、回るだけじゃダメなんだってことがわかった。
 そのお話は次回。おたのしみに!

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