「HMD二号機」研究者からMakerへ(3)

「HMD二号機」研究者からMakerへ(3)

塚本昌彦
塚本昌彦 (ID1097) 公認maker 2014/10/28
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前回はディスプレイを外した初号機の話でした。
これらの反省点を踏まえ、数か月後に二号機を作りました。

二号機を作る

今度はパソコンには手を加えず、専用のバッグを作りパソコンを入れて装着する事にしました。
パソコン用のカバンは当時も市販品が売られていたのですが、肩にかけたまま使うというようなものはもちろんありませんでした。
ディスプレイと本体をカバンに入れるというよりは、肩から掛けたまま開いて使える画板のようなものに取り付ける形にしました。
キーボードがむき出しになっているわけではないので、いくつかのハンディ入力デバイスをマジックテープでカバンに取りつけておいて使う事にしました。
パソコンはカシオのCassiopeia FIVA。コンパクトフラッシュスロットにPinCompactというPHSのデータ通信カードを差し、いつでもどこでもインターネットが利用できるようになりました。

塚本のウェラアブルコンピュータ二号機(2001年5月ごろ)



実際ディスプレイを外さなかったのは正解で、大学で使用していたデスクトップのパソコンより低パワーであったにも関わらず、メールやWebの検索はほぼこのマシンを使って利用するようになりました。
ただこの装置には大きな問題がありました。
パソコン本体のディスプレイがそのままついているので、「HMDを見なくてもパソコンのディスプレイを見ればいいじゃないか」と言われてしまうことです。まあ、それはごく当たり前の意見です。肩から掛けた状態でパソコンを開くと、立ったままHMDなしでもパソコンが使えてしまうのでHMDの優位性を示すということにはならないわけです。
とは言え、これはこれで便利だという知見を得たので、数年後に同じような形の立って使えるPCバッグをいろいろと作ってブランドとして発表するまでに至りました。

もう一つ重要なポイントはインターネット接続でした。
PHSを用いてデータ通信ができるようになったことで、本当に「いつでも、どこでも」メールやWebが使えるようになりました。本来はHMD装着のためのスタイルだったわけですが、いつでも繋がっている状態というのは本当に便利で、アウトドアで頻繁にメールを活用するようになりました。
そうやって利用の頻度が増えると、道や駅などでメールを確認した時に、返事を打つのに挨拶文など書くのは結構めんどうになってきました。(グループで使えるショートメッセージサービスがあれば楽なのに…)そんなことを考えながら文字を打っていました。
随分後になってTwitterが出てきたとき、(まさに私が必要だと考えていたのはこれだ!)と思ったものでした。

どんなことでも、自分自身で不便を感じて(あったらいいな)と思いついたものは、自分だけではなく多くの人の不便を解消するものかもしれません。ですから不便を感じたら、まずは作って人に見せる事が大事なのではないかと思います。
これは私がシャープ時代に取得した特許のひとつです。

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シャープではザウルスというPDAの開発に携わっていました。高校生の頃から小さなコンピュータに興味を持っていた私は、いずれすべての人が街の中で小さなコンピュータを利用するようになると思っていたので、簡単に入力できる機能は重要だと思っていました。いろいろ考えたもの中のひとつで、装置自体を振って操作するというものです。
シャープでは商品化には至りませんでしたが、随分後になって振る機能が搭載された携帯電話が他の会社から発表されました。
そんなこともあって、私はますます街角でパソコンを利用する世の中が来ると確信しました。

街角でパソコンを利用する世の中が来る

1999年に描いた未来図

この絵も15年以上前に想像で描いたものですが、「道でよそ見するなんて危険だしこんなことはあり得ない」と笑われたものでした。しかし、形は多少違いましたが、携帯電話が普及してこの光景はごく当たり前になりました。

ですから13年前私がHMDを装着しはじめた時に「絶対流行らない」と言った人もいずれHMDを装着するようになると信じているのです。そしてその日もいよいよ近づいてきたのです。

2003年に描いたHMDのある未来。胸にディスプレイを付けている人も。



次回はHMD三号機の話に続くのですが、このペースで紹介していると連載が終わりそうにありませんので、これまで装着したHMDの変遷を一挙大公開しようと写真を探しているところです。お楽しみに。

これまでの連載:研究者からMakerへ

「いよいよやって来ましたウェアラブルの時代」研究者からMakerへ(2)
https://media.dmm-make.com/item/1849/

「スーパーポジティブで行こう」研究者からMakerへ(1)
https://media.dmm-make.com/item/1533/

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