FAB AND CRAFT(4) 今すぐはじめられる、ローカルなものづくり

FAB AND CRAFT(4) 今すぐはじめられる、ローカルなものづくり

ホームセンター、画材店、服飾用品店。自分で何かモノを作ろうと思ったとき、まずふつうは、何をどう作ろうか考えて、いろいろなお店に材料を買いに行くというところからスタートするものではないかと思います。しかし、いつもいつも何かを作るために、何処の生まれとも分からない、整えられたまっさらな規格品の材料をお店で買うことに何となく飽きたので、この夏は「自分の手で拾った素材でものをつくる」という試みをしてみました。

例えば、古くなった物に新たな価値を見出して再び製品に作り変える「Upcycle(アップサイクル)」という言葉が生まれてしばらく経ち、企業から排出される廃材を活用した商品開発がニュースなどでも取り上げられるようになりました。あるいは、自らの手で木を伐採するところから木工でモノを作るところまでの一貫した流れを体験できるFUJIMOCK(ちょうど今年の参加者を募集されてますね)のようなワークショップも生まれています。どちらも個人的にはとても好きな取り組みなので、自分自身、Upcycleの商品を購入した経験もありますし、FUJIMOCKへも2年前参加しました。
こういった活動に近い取り組みを、日常的な自分個人のものづくりでもできないものだろうか。そういった気持ちが常々あったことがきっかけでした。

いざ、鎌倉。

行先をあれこれ考えたのですが、夏が近くて単純に「海が見たい」という理由もあり、材料探しは鎌倉へ行くことに決めました。電車に揺られて鎌倉駅へ向かい、さらに江ノ電に乗り換えて七里ヶ浜駅へ。住宅街を抜けて砂浜に出てからは、じっと足下を見つめながら、ゆっくり2時間ほどかけて鎌倉高校前駅まで歩いていきます。

念願の海。
盛夏ともなると海の家が建ち並んでしまうので、初夏に行くことをオススメします。

そうして拾い集めたのが、たくさんのガラスや陶器そして貝殻の欠片です。「そんなにたくさん落ちてるものなの?」と度々訊かれましたが、注意して目を配ると、案外そこいらじゅうに落ちているので、玉石混交の中からきれいなものを選り集めても、2時間で両手いっぱいくらいの量になります。波で削られて丸みを帯びたガラスや陶器といった人工物の欠片は、ひとつひとつ模様や色が違い、独特な表情を持ったものばかり。大小さまざまな貝殻の破片は、薄桃色・薄茶の水玉模様・紫色など想像以上にカラフルで、あるいは螺鈿細工やパールのような美しい輝きを持った欠片も見かけられます。

拾い集めたものたち。こうして見てみると、何かのお菓子みたいですね…

拾いモノから、作品へ。

持ち帰ってから、まず水洗い。海辺にいるあいだは潮風のせいで気付きませんが、海から離れたところで取り出してみると、なかなか磯の香りが強いです。イヤリングを作ることにしたので、組み合わせをいろいろと試して考えていきます。「すべてが一点モノ」状態の個性的な材料ですが、こうして量を集めてみると、ぴったりくるペアが見つかるというのが不思議なところ。

穴開けはリューターを使って。ビットに詰まった削りかすを洗い流すために、また、削った粉が舞うのを防ぐために、作業は水に浸しながら進めます。貝殻にはすんなり穴が開きますが、ガラスや陶器などの硬質なものには、ゆっくり気長にリューターを当てていきます。

開いた穴に丸環を通すだけでも可愛らしものが出来上がりますが、もう少し表情を与えたくて、様々な色のミシン糸とつぶし玉・丸環でイヤリング/ピアスの金具とつなぐデザインにしました。

出来上がったものは、御徒町のモノマチ、デザインフェスタ、HandMade in Japan Fesなど、ハンドメイド中心のイベントで販売しました。普段も会場では「どうやって作っているのか」「どうしてこういうデザインになったのか」といった話題で盛り上がりますが、材料にも「土地性」の物語があるので自分に近いものとして考えられる、という声もありました。「この前私もここの海岸行きました!」とか「うちの近所でやるんだったら、こういう材料で…」とか、自分の個人的な体験をみなさん自然に話しはじめる姿が印象的でした。

土地に根差した特別な名産品を使うデザインコンペや、廃材をUpcycleする大きなプロジェクトも数多くあるので、それらに参加するのも1つの手段です。その一方で、個人がモノを作り、個人として売るための環境が整いつつある今ならば、そういったコンセプトに興味を持ったら、まず一人ででも小さくでも何か作りはじめてみる、というのも選択肢です。

「自分が暮らすこの街なら、何を使って作るかなぁ」
明日、学校や職場へ向かう道すがら、そんなことを考えてみると楽しいかもしれません。

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