ニコ技のツボ(7)「初音ミクを現実世界に召還して踊らせたい!

ニコ技のツボ(7)「初音ミクを現実世界に召還して踊らせたい!

akira_you
akira_you (ID197) 公認maker 2014/10/27
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人気のあるニコニコ技術部動画から、akira_youが「ここがツボだよね」というポイントを紹介します。ニコニコ技術部はニコニコ動画に自然発生した自分で開発したモノを動画紹介している人達です。高い技術力を自慢するだけでなく、チープな技術で笑いを取ったり、動画サイトで流行しているネタに乗ったりと様々な人が様々に楽しんでいます。

今回紹介するのは、初音ミクを現実世界に召喚して踊らせたいと努力する。そんな動画たちです。ミクの召還はニコニコ技術部でちょっとした定番になっていて、様々なタイプが開発されています。今回は所謂ポリッドスクリーンと呼ばれる透明なスクリーンをつかって空中にミクを表示する動画を紹介します。

ポリッドスクリーンでできること

夜の電車で車窓をみていると、ガラスに反射した車内の様子と車外の風景が合成されたかのように見える事ありますよね。車外の風景がライブステージで車内でミクが踊っていれば、ライブステージでミクが踊っているように見えるはずです。

(写真: 山手線の車窓 http://www.fphoto.info/JI-016.html)

プロジェクタをつかって現実空間での風景合成を、自分の好きな場所で作ろうというのがポリッドスクリーン系の技術です。kame氏の動画ではポリッドスクリーンの設置の仕方が丁寧に解説されています。みんなもやってみましょう。
(今回の記事は↓の動画を紹介してポリッドスクリーンの布教したかっただけといっても過言じゃないです)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm24559998

実はこのようにステージに存在しないはずのものをリアルに合成するという試みの歴史は古く、有名な所では「ダークスのファンタスマゴリア」(1862)までに遡ります。
( ダークスのファンタスマゴリアの説明[Wikipedia])

ダークスの活躍した19世紀初頭は非常に明るいランプが発明された時期で幻灯機(アナログなプロジェクタ)を用いた映像表現が様々に行われていました。ダークスのファンタマゴリアも大きくて平らなガラスと、強力な明るさをもつランプが出来た事で実現された技術でした。
(ファンタスマゴリア一般の説明[Wikipedia])

ポリッドスクリーンの仕組み

とにかくステージに本当は存在しないものを存在させたいというテーマは150年以上続く人間の欲望なのです。その欲望を実現するための技術がポリッドスクリーン系の技術です。技術的にはガラスの反射を用いるダークスのファンタマゴリアとは違って、ファンダマゴリアの枠組みで説明すると「幻灯機によって、壁、煙、半透明の幕に画像を映写した。」という説明中の半透明の膜への投影にあたります。
この二つの技術は利用している現象にガラスでの「反射」or幕での「散乱」という違いがあります。その違いから出てくる特徴はは以下の動画中で説明しています。(液晶版が反射、プロジェクタ版が散乱です)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1550536

液晶版は見る角度が限られるが映像が高精細であるのに対して、プロジェクタ版は映像は多少ぼんやりするものの見る角度(=プロジェクタの設置角度)に対しての制限が緩いというのが特徴です。

そして散乱を用いた専用スクリーンが商用に存在していて、DILADスクリーンと呼ばれています。DILADスクリーンは高いので網戸で代用しようとしたのが「アミッドスクリーン」(byアミッドP)で農業用ビニールで実現するのが「ポリッドスクリーン」(by あおめさん)です。
(アミッドスクリーンの説明[ニコニコ百科])
( ポリッドスクリーンの説明[ニコニコ百科]])
アミッド・ポリッドに限らず、スクリーンの奥が見えるもので適度に散乱してくれれば良いので、農業用の紗幕なんかも使われています。

ツボまとめ

今回は紹介したい事が多すぎて前置きが長くなりましたが、私がツボだなぁ思うニコ技のツボをさくっと紹介したいと思います。

ツボ1:150年の欲望を今。

ミクをステージで踊らせたい。これは確かにミクが出てからの欲望です。しかし視点を広げてステージに存在しないものを立たせ、演技させたいという意味では150年の欲望を実現するべく藻掻いているのです。ニコ技でよくある「ネタのタダノリ。」そのものですね。150年の欲望はなかなか途絶えることはありません。今からでもチャレンジできるアツい分野です。

ツボ2:技術の「必然」を捕まえろ!

ダークスのファンタマゴリアは明るいランプが登場して初めて実現できた技術でした。同様にポリッドスクリーン系の技術も安価なプロジェクタ、そしてMMD(ミクミクダンス:ミクにダンスさせる映像を作るソフト)文化があったからこそでしょう。極論を言えばほっとけばそのうち「誰か」がやりそうな事。でもそれを最初にやるのは「コレをやるべきだ」という嗅覚のある人、そしてまだ道が無い所に道筋を付けるだけの体力のある人です。最初にやっちゃう人は偉いのです。

さぁ、みんなも次の技術の「必然」を捕まえに行こう!!ニコ技らしいスピード勝負の世界ですよ。そのスピード感がニコ技動画の醍醐味ですね。

ツボ3:SFと技術のゆりかごに揺られろ!

「必然」は技術だけではないです。今回の「バーチャルアイドルを空中に」というアイディア、改めて文章にしてみると既視感ありますよね。特に30代の人はマクロスプラスのシャロン・アップルを思い出すんじゃないでしょうか?
シャロン・アップルの説明[ニコニコ百科] )

引用:マクロスプラス公式サイト(http://www.macross.co.jp/index.html)より シャロン・アップル


「2001年宇宙の旅」のHAL9000も作中で歌いますが、ベル研究所での音声合成デモを見て着想を得たと言われています。その後HAL9000に触発されて多く人工知能研究者や音声合成の研究者が生まれたのは容易に想像できます。1980年代半ばには歌うパソコンが発売され歌声音声合成が一般に広く認知され、ニューロ&ファジィなどのAIブームと共にバーチャルアイドルやロボットアイドルネタのSF作品も出てきました。
(HAL9000の説明[Wikipedia])

つまり少なくとも近代の技術には以下のループがあるのです。

新しい技術が生まれる
 ⇒その技術が成熟した未来をSFが描く
  ⇒技術者がSFに憧れて技術を開発する
   ⇒繰り返し・・・・

ニコニコで起きているネタの連鎖も、コレに似たものがあります。このビッグウェーブに乗らない手はないでしょう!

他にも・・・

ファンタスマゴリア繋がりでニコニコ関連の作品を独断でピックアップして紹介します。
フォグスクリーン等のプロジェクタを使った作品だけじゃなくて、タブレット等の小型液晶端末も活躍してます。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm22592534
https://www.youtube.com/watch?v=u02OhMNd-9Y
http://www.nicovideo.jp/watch/sm24076991
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23006468

これまでの連載:ニコ技のツボ

ニコ技のツボ(6) ニコ技のはじまり
https://media.dmm-make.com/item/2261/

ニコ技のツボ(5) 愛すべき馬鹿になろう
https://media.dmm-make.com/item/2005/

「“心が折れる動画”たち」ニコ技のツボ(4)
https://media.dmm-make.com/item/1603/

ReadyToCreate ニコ技のツボ3
https://media.dmm-make.com/item/1535/

ニコ技のツボ(2)「生体情報可視化やってみた」
https://media.dmm-make.com/item/935/

「バーチャルリアリティFPSシステムを作ってみた」ニコ技のツボ(1)
https://media.dmm-make.com/item/279/

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