「猫トイレ用のスコップをつくりたいのですが」(3)DMM3Dプリントをつかったプロトタイピング

「猫トイレ用のスコップをつくりたいのですが」(3)DMM3Dプリントをつかったプロトタイピング

西村拓紀
西村拓紀 (ID117) 公認maker 2014/10/23
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3Dプリントサービスを利用すれば、早く・安く・上手く試作を作る事ができます。見極めの為の「効率的プロトタイピング」で開発時間を大幅に短縮でき、開発にかかるトータルコストを抑える事が可能になります。

【プロダクトデザインに於ける試作モデルの意味】

持ちやすいハンドル形状をデザインしようとした時、スケッチや図面をどんなに描いても目的の持ちやすいデザインに到達する事は難しいです。なぜならば触って使用する道具は最終的に人間が触ってみないと良し悪しが分からないからです。
長い時間をかけて何十枚も描いたスケッチより、たった一つのプロトタイプがプロジェクトを先に進める事ができるので、良さそうなアイデアをいくつか作ってしまった方が開発期間を圧縮でき、人件費含めたトータルコストを抑える事ができます。

プロダクトデザインのプロセスでは目的に即したモデル制作が存在します。大きく括ると3タイプに分類できます。

【サイズモックアップ】
初期段階でのサイズ感の確認に適しています。紙箱で制作し直接書き込んだりできるようにすれば、内部デバイスのレイアウト検討にも使えます。リアルスケールで作れない大きなものは、スケールモデルという縮尺を変更したタイプで作成する事もあります。

【プロトタイプ】
初期段階で可動部の確認やデバイスの動作確認に適しています。従来は樹脂を削り出してパーツを作成するのが一般的でしたが、スピードやコスト面で3Dプリンターでの制作が増えています。見極める必要がある部分のみを制作する「部分モデル」制作でとどまる場合もあります。

【外観モデル】
形状とマテリアルを最終仕様で盛り込んだモデル。手に持つものであれば実際の重量や重心位置などもコントロールし、製品説明やカタログ用の写真撮影にも使用できます。

特にプロトタイプを要する開発フェーズでは、図面と関連づいた立体物調整が必要になるので、
3Dプリント利用はスピードとコスト面で適していると考えます。

3Dプリントでプロトタイプを作成するメリット

プロダクト試作は結構な値段がします。一番高いのは前項で記載した外観モデルですが、例えば腕時計の外観モデルを制作したらちょっとした車が買えちゃうぐらいでしょうか。形状や使い勝手を見るプロトタイプですらABS樹脂の切削加工だと高価です。条件に依りますが3Dプリントで作成すればモデル費用が1/5程度に抑えられると感じます。もちろん従来の切削加工は表面精度も高く塗装もキレイに仕上がる等のメリットがあるのでケースバイケースで使い分けをします。同じ比較ですと制作時間は同等です。

DMM.MAKEの3Dプリントを利用したモデルを作成

スケッチ検討でCGを作成しましたが、このデータをそのまま3Dプリント用のデータとして利用できます。テクスチャーなしの場合3Dデータは「STL、OBJ、3DS、STEP、IGES、PLY、VRML・WRML、3DP」形式で対応しています。今回はメッシュデータのSTL形式にて誤差1/1000mmで書き出しました。

DMM3DPRINTにデータをアップロードすると出る画面です。データに不備が無ければ「造形・出品可能」にチェックが入り、注文に進むことができます。

素材は「ナイロン(ポリアミド)」を選択しました。実使用検証に耐えうる強度があるので適しています。素材によって価格がだいぶ違いますね。

注文から10日ほどで3Dプリントモデルが届きました。総額は30万強かかりましたが、外注制作での相場と比較すると大変リーズナブルだと感じます。

キレイなモデルが出来上がってきました。ナイロンの表面はザラザラですが積層目は殆ど気にならない程度です。いくつか寸法を確認してみましたが1/100mm程度の誤差しかありませんでした。
機能部品を制作する際は1/10mm程度の公差を見ておけば良いのではないでしょうか。

ハンドルの持ちやすさを検証するモデルです。持ちやすさなどを検証する際の対人精度としては1/10mmあれば十分なので全く問題ありません。

実際に砂をすくった際に手が痛くないかなどを見極める必要がある為にスコップ部も必要ですが、ハンドルを交換できるタイプにしてあります。
これだけで試作費を更に10万円程度抑える事ができました。このモデルは何を見極める為のものであるかという事を念頭に進めていけば、必要十分なプロトタイプを最低限のコストで作成する事が可能になってきます。

ハンドル交換モデル_装着前

ハンドル交換モデル_装着後

3Dプリントを利用したモデル作成ポイント

「何を見極めるモデルなのか」という考え方に基づき、後の検証方法も加味したプロトタイプとしての全体設計が重要です。カット&トライで1個づつ作成する時間があれば良いのですが、ほとんどのプロジェクトが短期間での最善解を低コストで実現する事が求められてきます。低価格な3Dプリントのメリットを活かし、質の高いデザインを人件費を含めたトータルコストを抑えながら実現しましょう。

3Dプリントは良くも悪くも“そのまま”出来てきます。使いづらいものは使いづらく、美しいものは美しく出来上がってきます。だからこそデザインの確認や改善ベースとして機能します。一旦、注文するとお金と時間が発生しますので、失敗や不足が無い様にデザインデータ作成は拘り抜いてじっくりと創りこむ事が良い商品への近道です。

次回は出来上がったモデルをどの様な評価軸で考察していくかの具体論を紹介していきます。

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