研究者が研究者にインタビュー(1)「僕がMakeしてきたもの」

研究者が研究者にインタビュー(1)「僕がMakeしてきたもの」

佐藤未知
佐藤未知 (ID279) 公認maker 2014/04/24
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こんにちは!佐藤未知です。
あのなんかおかしい研究しか出て来ないことで有名な電気通信大学で博士課程の学生をやってます。
このたびDMM.makeの公認Makerとして記事を書いていくことになりました。よろしくおねがいします!

Makerな感じの話

今回は自己紹介的な内容にしようと思うのですが、僕も“Maker”という立ち位置でこちらに書かせてもらってるので、本業の話の前にちょっとMakeな感じのものを紹介しようと思います。

以前は趣味でVJ(注)もやってました。これはBonsajoというユニットで細金卓矢監督( http://hsgn.tk/ )と宮本拓馬先生( http://gupon.jp/ ) と3人でやってたんですが、現場で使うMIDIコントローラーを自作したりということを担当していました。
(注:VJとはクラブで音に合わせて映像を出す人。モテるのはDJ。モテないのがVJ。)

魚焼き器VJ

https://vimeo.com/19930012

西友で買ってきた魚焼き器を改造してMIDIコントローラーにしました。まばゆいイルミネーションはすべて手動で色を変えなければならず、イルミネーションの色をコントロールするためだけのツマミを6個備えています。Arduinoやレーザーカッターが大活躍しています。

鉄騎コントローラーVJ

https://vimeo.com/15095798

「鉄騎コントローラー」というのはXboxのロボット操縦ゲーム「鉄騎」のためだけに作られた大変高価なコントローラーで、そのあまりに血が騒ぐビジュアルと、家庭用ゲームとして異端すぎるサイズ・コストから今でもレジェンドの名をほしいままにしています。この鉄騎コントローラーをハックしてVJコントローラーにしたところ、ものすごくカッコ良かったしものすごく運搬が困難という事がわかりました。

研究者な感じの話

さてやっと本業の話です。僕の本業は研究者なので、当然僕の記事では最新の研究・技術をメインに取り扱っていきたいと思っています。で、研究者研究者言うけど、そもそもインタビュアーの記者はどんな研究やってんのよ?ということで今回は記者のやってきた研究とかものつくりをざっくりと紹介していきます。

触覚電話

今ではすっかり映像通話が当たり前の世の中になりました。国をまたぐような就職面接ではSkypeで面接、というのもよくある話ですね。ちなみに世界最初のテレビ電話の研究は1930年頃のベル研究所(AT&T)が開発していたものと言われています。半世紀以上たってやっと普及というのもロマンがあるというか、研究者的にはちょっと絶望(自分が生きているうちに日の目を見ない…)なところもありますが。

よし、音声・映像が届くようになった!次は何だ!ということで今もっとも実用化に近いと言われるのが「触覚」です。つまり離れたところで触れ合えるということですね。こう聞くと遠隔イチャイチャ、と脳内変換する人も多いと思いますが、それもたしかに超大事です。しかしその他にも遠隔セラピー、バーチャル旅行などにも応用できる、可能性に溢れた分野なのです。

遠隔キス

http://youtu.be/PspagsTFvlg

前置きが長くなりましたが僕も4年くらい前から遠隔触覚コミュニケーションの研究をしています。その一つが遠隔キスです。この研究の紹介動画はYoutubeでバズってしまい、日本語英語合わせて300万再生を超えてむしろこっちが驚きました。これは賛否両論どころか批判の方が多いんですが、この研究に関しては後々また触れていくつもりです。

テレ・ソファ

ソファに座っている時、隣にも人が座るとシートが凹んだりソファが軋んだりして凄い存在感があるんですよね。これは目を瞑っても耳を塞いでもクリアに感じるほど強いものです。これを遠隔で再現したら、離れたところでもまるでお互い隣に座ってるかのように感じることができる!かもしれない!ということでソファを無理やり凹ませる装置を作っています。

離れたところに住んでいてなかなか逢えない孫が、ソファの上で飛び跳ねてる様子が、まるでその場に居るかのように感じられる。そんなソファを全国のおばあちゃんに届けたいですね。

上の2つはいずれもニコニコ学会で発表したことがあるのでそちらの動画をみてもらうとわかりやすいです。

ニコニコ学会の動画はこちら! http://live.nicovideo.jp/watch/lv89954863#03:54:23

ハンガー反射の研究

http://youtu.be/on22yoI40TI

ハンガーを頭にかぶり続けた7年間

頭にハンガーをかぶると、頭が勝手に回りだすという現象があります。メディアで時折見かける小ネタなので、テレビで観て頭にハンガーをかぶったことのある人は多いのではないでしょうか。この現象を真面目に何年も研究して学位までとってる研究者が僕です。僕の所属している研究室で「ハンガー反射」とそのままな感じで名付けられたこの現象、実は学問的にも謎の現象で、お医者様もなんで頭が回るかわかりません。

このハンガー反射をもしコントロールできるようになれば、人の頭の向きが自由自在に操れるかもしれない!ということで2007年に始まったこの研究ですが、最初はわりとまじめに「あっち向いてホイに延々に負け続けられる装置」をつくろうとしてました。しかもわりと完成しました。それが上の動画です。

ていうか気づけば7年もハンガーをかぶっていますね。僕の20代のほとんどはハンガーとともにありました。。

まさかの医療応用

装置の見た目もアレなのでちょいちょいテレビとか新聞とかに出たんですが、その縁でなんと現在は医療研究に発展してしまいました。前述のとおりハンガーをかぶると顔が横を向いてしまうわけですが、逆に最初から顔が横を向きっぱなしになってしまう痙性斜頸(a.k.a. 頸部ジストニア)という病気があるんです。もうわかりますね?その患者さんにハンガーをかぶってもらったところ症状が改善するケースがあるということで、今は大まじめに臨床研究をしています。

この研究、正直なところ所属研究室内では今まで「最も人の役に立つとは思わなかった研究」でしたが、気づいたら今では「最も人の役に立っている研究」となっています。変な研究をしているとよく「それ何の役に立つの?」と言われることも多いですが、これがひとつの答えになるといいなと思っています。

ハンガー反射の研究に関して詳しくはこちら( http://kaji-lab.jp/ja/index.php?rsearch%2Fhanger )となっていますので興味があったらどうぞ!あと興味を持っていただける患者様も募集してます!

この連載でやりたいこと「研究者が研究者にインタビュー!」って?

最後にこの記事のタイトル、「研究者が研究者にインタビュー!」について解説していきます。
基本的には僕の記事では最新研究やら最新技術を取り扱っていくのですが、ただ単に最新技術を紹介していくだけじゃ(僕が)つまらない!ということで研究者による研究者へのインタビューを僕の記事のメインシリーズとしてやっていこうと思います。

最新の研究・ガジェット紹介記事は巷にもたくさんありますが、それを紹介しつつ実際に研究者・開発者へのインタビューもしたものって意外に多くないんですよね。なのでこのシリーズでは必ず紹介するテーマの研究者にインタビューしていこう。ということでこのタイトルにしました。
あとインタビュアーの僕がそもそも研究者なので、同業者だからこそできるような、赤裸々極まりない感じの、そんな質問をぶつけていけるのではないかということで「研究者が研究者にインタビュー!」となってるわけです。 

僕の専門が触覚と工学なので、主にそういう方面で面白い研究・研究者を紹介していきたいと思います。おたのしみに!

以上、ひと通り紹介してしまったので今後ネタに困ったときに自分の話をして繋ぐというのができなくなった。という回でした。
今後ともよろしくお願いします!

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