ゲームのデザイン(1) 「遊び、おもちゃ、ゲーム」

ゲームのデザイン(1) 「遊び、おもちゃ、ゲーム」

簗瀬 洋平
簗瀬 洋平 (ID203) 公認maker 2014/04/24
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ゲームは多くの人にプレイされていますが、そもそもゲームってなんでしょう? おもちゃとゲーム、遊びの違いを説明できますか?

こんにちは、ゲームデザイン研究者の簗瀬です。
皆さんはゲームをプレイされるでしょうか??ここで「ゲーム」と言っても非常に幅が広いですね。

私はセガサターンやプレイステーションなどのゲームソフト開発に長年携わってきました。代表的なものを上げると「ワンダと巨像」「Folks Soul 失われた伝承」「魔人と失われた王国」など、いわゆるコンソールゲームというカテゴリのもので、テレビにハードウェアをつなげコントローラーを使ってプレイするというタイプが一般的です。

「ゲームデザイナー」と言われると多くの方はグラフィックデザイナーなど、絵で表現する職業を思い浮かべるかも知れませんが、ゲームデザイナーはゲーム全体で表現をします。つまり、ゲームを設計する人と持っていただけると良いでしょう。

ゲームに限らず、あらゆるデザインは何らかの問題を解決するためにあります。例えば私のデザインするゲームは「ゲームが上手ではないので十分に楽しめない」人が楽しめるように設計されています。

こんな時、普通は上手ではない人が楽しめるように難易度が下げればいい、と思うかも知れませんが難易度を下げる事は達成感の減少にもつながります。「難易度は下げる、でも達成感は下げない」こういった問題を解決するのがデザインです。例えばこんな方法があるわけです。

https://www.youtube.com/watch?v=Ch7xv0zbEIE

これは研究用のデモですが、実際に発売されている「魔人と失われた王国」では、怪力と魔法的な力を持ったパートナーである魔人と一緒に戦う事によって非力な主人公でも活躍出来るように設計しています。上手なプレイヤーは自分が積極的に戦い、戦いに自信のないプレイヤーは一歩下がって魔人をサポートすればゲームを進めていく事が出来ます。戦闘能力は高いけれども(コンピューターの思考能力に限界があるので)あまり賢くないパートナーと、戦闘能力は低いけれども(プレイヤーが頭を使うので)賢く立ち回れる主人公によって対等な関係が築けるというところもポイントです。

https://www.youtube.com/watch?v=Za3hYdbMHYY

さて、ゲームとは「遊ぶ」ものです。「遊ぶ」ために使われるものとして、他に何が思い浮かぶでしょう?

例えば私は子供の頃、よくトミカで遊んでいました。皆さんご存じの小さなミニカーですね。このトミカを傾斜をつけた板の上から転がしてみたり、駐車場のように並べて遊んだりするわけです。
これらとゲームの違いはなんでしょう?
そもそも遊びってなんでしょう?

まず、遊びとは、生きるために必要な行動とは別に心の満足のために為される行為の事ですね。
遊びそのものは、手ぶらでも可能です。例えば休日に人と会ったり一緒に行動したりする事を遊ぶという事もありますね。おもちゃとは、遊びに使う道具です。遊びに使う道具、という点では例えば野球のバットなども同様ですが、こちらは飛んでくるボールを打ち返すという明確な目的がありますね。そういう意味で、おもちゃとは目的のない遊びに使う道具と言えるかも知れません。おもちゃとのインタラクションが遊びになります。

おもちゃは好きに遊べるものですが、ただ戯れているとそのうち飽きてしまいます。そんな時に、ルールを付け加えたりしませんか?

例えばボールをただ転がしているだけでは飽きてしまいますが、壁に向かって転がし、跳ね返って自分のところに戻って来るように転がすというチャレンジをするとうまくできるようになるまで楽しめる時間が延びますね。

うまくできるようになったら、次は何回連続で出来るか、というような遊び方をする事が出来ます。これでまた、目標達成するまで飽きずに遊べる可能性が高くなります。

そのままだと、いかに自分が正確な動作をするか、というところがポイントになります。自分が一歩も動かなければやがて正確な動作が出来るようになって、次はどれだけ長くその状態を保てるかという疲労との戦いになりますね。

そこで、ただ同じ動作を繰り返すのではなく、毎回シチュエーションを変えて臨機応変にボールを転がす、というような事をすれば毎回のトライが新鮮になります。

そのためにいちばん簡単なのは、邪魔してくれる相手を入れる事です。邪魔する側とボールを転がす側の勝負、という形です。しかし、二つの行為には隔たりがあり、優劣をつける事は難しい。

ですが、お互いに転がす、邪魔するといった行動を交互に行ってどれだけ成功したかを競えば条件は対等になり、勝敗といった概念が生まれます。


そう、これがゲームです。目標があり、成功と失敗がある遊びです。相手がいれば、自然と駆け引きも生まれます。

ゲーム機や、カードやコマがなかったとしても、ちょっとしたゴールとルールを付け加えれば遊びはゲームになります。

遊びでない何か、例えば単純な作業も加えられたゴールとルール次第で遊びになり得ます。

それがゲームデザインというものなのです。

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