VOCALOOPのコンセプト・デザイン

VOCALOOPのコンセプト・デザイン

VOCALOOP
VOCALOOP (ID1543) 公認maker 2015/01/26
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VOCALOOPのコンセプト・デザイン

こんにちは。VOCALOOPプロジェクトのデザイン担当の内田亮太です。
第1回目の記事では「VOCALOOPとは何なのか?」について書きましたが、今回はこのプロジェクトが発足した経緯や、VOCALOOPのコンセプト・デザインについて触れてみたいと思います。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm19311582

プロジェクトが動き出す発端として、メンバーの加々見が2012年冬にニコニコ動画にアップした「YUKKURI CHICAGO」というガジェットの存在があります。
これはArduinoと3Dプリンターを用いて制作した「ゆっくりボイスで話すフレーズをシカゴハウスのように連打して再生できる」ガジェットなのですが、このプロダクトを量産できるような、より完成度の高いものに進化させたいという思いを持った加々見から、ちょうど1年頃前に声をかけてもらいました。デザインのみならず、クラブカルチャーや日本文化のオタク的側面に興味を持っていた私は、このプロダクトがまさにそれらの交差点に位置するものと捉え、すぐプロジェクトに関わらせてもらうことになりました。最初は2人でコンセプトやハードウェアとしての基本骨格の検討・深堀りを行い、最終的にはゆっくりボイスではなくVOCALOIDを搭載することが決まりました。これらの基本骨格が決まった時点でハードウェア・ソフトウェアのメンバーが加わり、今のメンバー構成でのプロジェクトに至ります。

VOCALOOPを制作するにあたり、重要なのが「ハードウェア」であることです。VOCALOIDボイスをループで再生させるだけならソフトウェア上でも可能なのですが(実際にeVY1シールドを接続すれば使える体験版アプリを配布しています)私たちが作りたいものはあくまでもハードウェアとしての「楽器」です。クラブなどの現場で他の機材と接続して、即興で音を出して遊べることが必要不可欠ですし、スマートフォンのアプリやPCのソフトではそれを立ち上げるために時間や手間がかかりますが、ハードウェアならいつでも手軽にVOCALOIDの音で遊べる点もハードウェアのメリットです。

今の電卓のような外観とUIに落ち着いた経緯としては、4×4のボタン配置がテクノをはじめとするクラブミュージックと親和性が高いことが挙げられます。テクノは基本構成が16ビートのシーケンスで構成されていますし、AKAIのサンプラーをはじめとするパッド系のインタフェースも4×4の配置が多いですね。日本語を入力するLEDも16ビートシーケンスに対応した表示になっています。そしてテクノで電卓と言えば、テクノポップの元祖ことKraftwerkの名曲「電卓」のようなガジェットが作りたいという思いがあります。

https://www.youtube.com/watch?v=naOG7CRtlHg

まさに「ボクハオンガクカ、デンタクカタテニ」ボカロのボイスをループして、作曲することができるのです!

チップチューン

VOCALOOPの外観にはもう一つのメッセージが含まれています。実は、VOCALOOPの本体の幅・奥行・高さは初代ゲームボーイとほぼ完全に一致するのです。
テクノシーンにおけるゲームボーイと言えば、チップチューンというジャンルが存在します。

https://www.youtube.com/watch?v=D0tXMo_VaOs

VOCALOOPもゲームボーイのように手に持って遊べる愛機・相棒と呼べる存在になって欲しい、チップチューンのようにVOCALOIDの音楽を再定義・再発見できる存在になって欲しいという思いを込めています。

プロトタイプの筐体が白のボディにピンクのボタンで構成されていることにも意味を持たせています。
「ハードウェアとしてのVOCALOOPの存在はいったい何なのか?」という問いに対して、私たちの中で出した答えが「女の子属性のガジェットであること」です。初音ミクに代表されるようにVOCALOIDは女性的なイメージが強いのではないでしょうか?黒くてエッジが立った男性的なイメージのものがほとんどを占めるクラブ向けガジェットの中で、ひときわ特別な存在感を放つ女性的な存在にしたかったという思いがあります。アクセントカラーとして4連ファンクションボタンにピンクをあしらったのは、eVY1の元になった日本語女声ライブラリ「VY1」のイメージカラーがピンクであることに起因しています。

ちなみに女性的なメカとして参考にしたのがPixerの映画「WALL-E」に登場するヒロインロボット「EVE」です。箱型ながら丸みを帯びた白い筐体とLCDディスプレイの組み合わせが、何となく顔っぽく見えるようにバランスを詰めています。EVEのデザインについては、Appleのデザイングループ担当のジョナサン・アイブがコンセプトデザインの段階でアドバイスをしており、「iPodがロボットになったような美しさ」とコメントしているというエピソードもあるそうです。

このような思いを込めながら使う人にワクワクしてもらえる、相棒のようなガジェットになることを信じてプロトタイプを制作を続け、試作第1号機が今年8月に完成しました。そして先日発表された2014アジアデジタルアート大賞のエンターテインメント(産業応用)部門(リンク)にて入賞を果たしました!これを励みに今後もより多くの人に手に取ってもらえる機会をつくっていきたいと考えておりますので、今後の展開に引き続きご期待ください!


*VOCALOID(ボーカロイド)は、ヤマハ株式会社の登録商標です
*ゲームボーイは、任天堂株式会社の登録商標です
*iPodはApple Inc.の登録商標です

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