3Dプリンターでカスタマイズ可能なカメラレンズを作ってみた

3Dプリンターでカスタマイズ可能なカメラレンズを作ってみた

YOKOITO
YOKOITO (ID3537) 2015/05/19
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はじめまして、YOKOITOの髙松です。
株式会社YOKOITOは、デジタルファブリケーションを活用して様々な人のアイデアから製品を作ることを目指して活動している学生ベンチャーです。
今回は、プロダクトデザイナーの鈴木雄貴さん、グラフィックデザイナーの深地宏昌さんと、京都のFABスペース「fagora」やDMM.make AKIBAで3Dプリンターやレーザーカッターを使ってレンズ交換式カメラに装着可能なカメラレンズ「FAB-LENS」を作ったのでご紹介します。

3Dプリント用データを作る

 3Dプリンターでカメラレンズの外装を製作しました。データの作成は、CADソフトRhinocerosで行いました。
 今回は、パーツ毎に分解できて、ユーザーが自由に組み替えることが出来る構造にしたかったので、ネジ式を採用しました。ヘリカルカーブを使い1.5mmピッチでネジを切りたかったのですが、どうしてもブール差演算に失敗してしまい途方に暮れていたところ、DMM.make AKIBA 10Fのスタッフの方に教えていただき解決しました。ありがとうございました。
 マウント部はひとまずEFマウント互換で作ります。

 とりあえずパーツをひと通り、フード、レンズモジュール、ジョイント、ネジ、マウント押さえパーツ、マウント土台、と作りました。ネジ径さえ合わせれば後から形の違うパーツを作ってもつけられるようになっています。
 製作中は噛み合わせの問題などでパーツのサイズがかなり重要になってくるので、3Dプリンターを傍らにおいて確認しながら製作しました。

 パーツを全部並べるとこんな感じになります。レンズモジュールは2つのパーツで挟み込んでレンズを固定してます。今のところレンズは既製品ですが、CNC切削マシンを使ってレンズを作る実験をしているので、今後オリジナルでレンズも開発していきたいと思っています。

レーザーカッターで絞り・パッケージを作る

 次にレーザーカッターを使って絞りとパッケージを作ります。
 絞りは黒の気包紙を切ったものをレンズとネジの間に挟みこむようにして取り付けて、様々な形のものに交換可能になるようにしようと思います。パッケージの方は展開図の形に厚紙を切って、加工はDMM.make AKIBAのトロテックで行いました。

 絞りを変えるときは、一度ジョイント部を外して絞りの紙ごと替えます。この方法であれば絞りの形も自由に変えられるため、トイカメラ的な遊びもできます。

 ハート型の絞りならハート型のボケが出ます。

 青と黒の紙を重ねて写りへの影響の少ないカラフル絞りも作れます。逆に絞りを青にして青みがかった写りにすることも出来ます。
 パッケージのロゴは、彫刻でも良かったのですが時間がかかりすぎたのでレーザーカッターでスタンプを作って押すことにしました。

見た目と作例

 カスタマイズできるので、当然違う色の素材でプリントすれば見た目も色々と変えられます。パーツの種類をもっとたくさん作れば色々楽しめると思います。以下に色違いやレンズをつけたカメラでの作例をいくつかご紹介します。

 35mmのフィルムカメラEOS10QDでの撮影。星形の絞りでボケも星形になっています。

同じくEOS10QDで撮影。レンズは現状1枚しかなく、ピント調節機能もないので、合ったところだけシャープに写り、まわりは流れた感じになります。

こちらの3枚はEOS 5D markⅡで撮影した秋葉原です。フルサイズで大体67mmくらいの焦点距離です。

FDM式3Dプリンターで作る意味

 ここまでFDM式の3Dプリンターで作ったカメラレンズの紹介をしてきました。私たちはこれを製品として発表、販売を開始しています。

 3Dプリントで製品を作ると話すとよく言われるのは、3Dプリント品はコストの点で生産に向かない、FDM式は積層痕が粗く見た目が悪い、といった点です。
 FDM式の3Dプリンターは現在ターニングポイントに来ていると私自身は思っていて、少し前まで言われていた、一家に一台、という時代はこのままだと来ないでしょう。むしろ家庭にプリンターを置いて何するの? といった感じの論調になってきています。データが作れないことには確かに活用の幅は限られます。
 更にほとんどのFDM式では少ない種類の樹脂しかプリント出来ないし、射出成形品に比べて生産性も耐久性も劣ります。
 一方で、データがあれば1個から、その場ですぐ作ることができる、という大きなメリットもあります。
 今回3Dプリント物を製品化したのは、少数生産での製品化を目指す私たちの方針があっただけでなく、その1個からすぐ作ることができるという点などで、カメラというジャンルと3Dプリンターとの相性がすごく良い、と感じたからです。

 現在新しいレンズ(標準や広角寄り)や機能を持ったパーツを追加すべく開発を進めていますが、今回のレンズのデータは全てオープンソースで、Thingiverseに公開しています。
http://www.thingiverse.com/thing:803018
 是非ダウンロードしてみてください。CC継承・非営利となっているので、フードなどのパーツの形状を変えたデータをThingiverseなどに再公開してもらっても構いません。
 こうしたところで、FAB-LENSをきっかけに個人が自宅やFABスペースの3Dプリンターを使ってレンズのパーツを作ってシェアしたり、それが派生していったりするようなコミュニティを作りたいと思っています。

 製品はまだまだ発展途上なので改善点が沢山あります。ご意見お待ちしています。現在テストユーザーも募集していますのでそちらも是非ご参加ください。
FAB-LENSページ
http://www.yokoito.co.jp/fab-lens
YOKOITOfacebook
https://www.facebook.com/Yokoito.japan

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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