スライドの傷の影響を低減して細胞を撮影する照明法

スライドの傷の影響を低減して細胞を撮影する照明法

山椒魚
山椒魚 (ID3679) 2016/03/25
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USB顕微鏡で細胞を撮影・計数する際の問題点

現在、USB顕微鏡を使って細胞計数装置を作ろうとしています。

単純なプログラムで細胞が計数できることはわかっています。

ですが、安価なUSB顕微鏡で画像を撮影するときに問題がでました。


組織観察用の位相差顕微鏡(高価)で撮影した画像なら、簡単なプログラムで細胞を数えることができます。(多少誤差はありますが。)

↑ 位相差顕微鏡で撮影した画像中の細胞を数えた例。
 多少の照明ムラがあってもなんとかなる。

ですが、USB顕微鏡で、使いふるして傷がたくさんついたCell Counting Chamber Slides(https://www.thermofisher.com/order/catalog/product/C10228 ) にのせた細胞を数えようとするとこうなります。↓の画像

(※もともとこのスライドは使い捨てを前提としていますが、結構高いので、大切に何回も使います。)

↑ 使いふるしのCell counting chamber slide で、USB顕微鏡を使って計数しようとした例

 見るからに画像が汚いですね。 だいたいは、サンプルをのせたスライドの「傷」の乱反射です。


 ① 乱反射の白い部分に細胞が埋没してしまい、カウントできなくなる。
 ② 画像中にたくさんある傷を誤ってカウントしてしまう

 このような理由で、精度が下がるといった問題がありました。

 今回は、照明方法を変えて、撮影時に傷が写り込まないように工夫をしたというお話。
 

照明法の変更

従来: カメラ→試料 方向への白色LEDの直接照射(順光)

変更後: カメラ→ 試料 ←|拡散板|←白色LED
     試料背景から、拡散板ごしに白色光を照射した。(逆光)

・使用した機材
 USB顕微鏡:https://media.dmm-make.com/item/3667/ ここで使っているのと同じもの。
 拡散板: NIKON SW-12 http://shop.nikon-image.com/front/ProductFXA10364.do?cid=JDDAL706934
 USB接続式の白色LEDライト(600円ぐらい。型番不明)

↑ 左半分: 従来法  、 右半分:拡散板ごしの逆光  (同一視野を撮影して比較した。)

 拡散板ごしにLEDを、試料の背景から照射した場合、従来の照射方法に比べて大きくスライド表面の傷から生じていた乱反射が抑制できたことがわかると思う。

結果

↓照明変更前

↓照明変更後

スライドの傷に由来する乱反射を大きく低減することができました。
細胞の輪郭がぼやけていますが、数えられないこともないので、ImageJのTemplate Matching Plugin(Create Template)で数えてみた。(下画像)

↑ カウント結果のスクリーンショット。

 右上の大きなゴミも誤って数えられているが、画像中の9割以上は正確に数えられていると思われる。
 照明法の変更によって、画像中のノイズ(傷)を低減し、細胞計数の精度が向上した。

【感想】
 市販されている顕微鏡で、対物レンズ側から試料に照明を当てているのを見ないので、試料の背景から照明を当てるのってその手の人たちにとってあたりまえのことだったりするのだろうか。。。。
 

今後の予定

 顕微鏡の筐体でも、CAD使って設計しようかなと。

謝辞

 照明法の変更にあたってはDMM.makeのものづくり相談会で、プログレステクノロジーズ株式会社の方々にご相談にのっていただき、画像のノイズを低減するためのアドバイスをいただけたことに感謝します。

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