なかのひと#2「テックリーダー 山口潤」

なかのひと#2「テックリーダー 山口潤」

DMM.make AKIBA
DMM.make AKIBA (ID4043) 公認maker 2016/06/29
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DMM.make AKIBAの『なかのひと』。このコーナーでは、昼夜AKIBAでモノづくりする人々を陰から支えるスタッフの存在にスポットをあて、隠れたエピソードを交えご紹介!(文・杉山周二)

テックリーダー、山口潤(やまぐち じゅん)。34歳。
DMM.make AKIBAの立上げメンバーであり、DMM.make AKIBA Studio(以下Studio)を統括するリーダーでもある。日々、目まぐるしく飛び交う案件や施設運営について、現場のスタッフをまとめながら推進している。

いまや毎日、世界各国から人が訪れるようになったDMM.make AKIBA。
特にStudioでは所狭しと並ぶ高額機材に息をのむ見学者も多いが、実際には『手を動かしてモノを作る人』にとって使いやすいよう、至る所に工夫が凝らされている。

ここでは、立上げメンバーでもある山口氏に立上げ当時の様子や、印象深かったエピソードを聞きながら、これから施設が向かう未来にかける情熱について、彼の人となりや来歴を交えてご紹介できればと思う。

周りの声

まずは、彼の人となりを知るべく、普段から彼と接しているスタッフから話を聞いてみた。

運営スタッフH(男性)「いつも笑顔がズルいですね」
運営スタッフH(女性)「自分がカワイイと自覚しているフシがありますね。ちょっとあざといです(笑)」

テックスタッフS「なにやら実家に20tコンテナがあって、その中にデカい工作機械を所有しているらしいです」
テックスタッフN「家に遊びに行ったことがあります。部屋の押入れは古着でいっぱい、好きで集めたバイクパーツが玄関にちらほら。あと、昔アクセサリーブランドを自分で立ち上げたことがあるとか、ないとか」

プロデューサーS「人間力」

テックリーダーとして重責を負いつつも、34歳の素顔はバイクやヴィンテージ物の蒐集など、趣味を愛する人といった印象だ。デカい工作機械を個人所有しているという噂の真相は、のちほど。

少年時代

山口は、母親がアパレル技術者、父親が看板制作業(イベント会場や店舗の看板、ビルの建設案内板などの制作)というモノづくり一家に生まれ育った。
実家は、築100年以上の元寺子屋を改装した造り。昔"いろり"があった名残で天井が黒くすすけているような中にあって、父親の部屋は、横尾忠則やサルバドール・ダリのポスターが所狭しと貼られたモダンなしつらえ。

父親に似ず、絵は大の苦手だったが、小さい頃から立体的なモノづくりは大の得意。新旧の文化が入り混じった環境で育った山口少年は、自然とデザインやモノづくりの方向を目指すようになる。

来歴

バンド演奏(ドラム担当)にのめり込んだ中学時代を経て、森林科学科のある地元の高校へ。
今の仕事からは想像もつかない進路だが、測量やダムの設計、はてはニワトリのさばき方なども学んだそうだ。

高校卒業後は、かねてより憧れていたプロダクトデザイナーの道を進むべく、都内のデザイン専門学校へ。日中はバイトにあけくれ、学費を貯めながら夜間に通う苦学生だった。
レゴのようにシンプルだが飽きがこない、洗練されたプロダクトや柳宗理やイサムノグチの手掛けるファニチャーなど「きちんとデザインに意味があるもの」を作りたいと思っていたそうだ。

二年間で、図面の引き方、ものの作り方、コンセプトから作り上げる工程を学び、卒業制作で作成した『デザイン消火器』がとあるデザイン設計事務所の代表の目に留まり、声をかけられる。しかし、小さい頃から絵が苦手だったため、デザイナーには必須となるデッサンが描けず、挫折してしまう。

結局、その事務所から紹介された工業デザインモデル製作会社に就職。
一眼レフカメラ等の光学機器類から、自動販売機や業務用複写機など工業製品のデザイン検討用モックの製作に携わる。3D−CAD/CAMを駆使した加工データ作成および切削プログラム組み・CNCや汎用機による切削加工・手加工による表面仕上げまでを手掛けていた。

職人として腕を磨き続ける日々だったが、3Dプリント技術の躍進による業績の急速な悪化などの諸事情により、2014年3月同社は解散。フリーとなった山口は、再びデザイン設計事務所からの誘いもあったが、断った。時を同じくして、「DMM.comが手掛けるものづくりの全てが揃った施設の立上げに参加しないか?」という誘いがあったからだ。
ずっと抱えてきた『設計だけではなく、企画・設計・実装と、モノづくりの川上から川下までトータルで関わりたい』という思いのもと、DMM.make AKIBAの立上げに参画。そこから怒涛の日々が始まった。

仕事へのこだわり(施設立上げ~現在の仕事)

ハードウェアスタートアップの拠点、DMM.make AKIBAの立上げ。Studioに関していえば、工場を一から立ち上げるような大きな仕事。もちろんそんな経験はない。想像をはるかに超える予想外の出来事が毎日起こるが、10月のプレオープンまでに何とか形にしなければいけない。2014年11月11日にはグランドオープンが控えていた。

与えられた短い準備期間のなか、近年注目を浴びているポートランドの工房や、海外の活版印刷工場などの重厚かつ洗練された雰囲気を参考にしつつ、建築デザイナーや施工業者と意見を闘わせながら、山口が守ってきた考えがある。
それは『実際に手を動かしてモノを作る人にとって使いやすい』場所である、ということ。

例えば、作業スペースとして一番大きな部屋であるWorksに併置された作業台。ブロック木材の組み合わせでデザイン製作されているため元々凹凸があったが、平滑さを出すために丁寧なカンナがけを依頼。
Studioの廊下は雰囲気も重視して電球色の照明を採用しているが、作業スペースでは『作業のしやすさ』を最優先し昼白色の照明で統一していたり。水回りでは、両手が塞がった状態でもコックを肘でひねることが出来るタイプの蛇口を採用していたり。

使う人にとっての利便性を考え抜いた山口の気遣いが、Studioの随所に息づいている。今も『会員にとって使いやすい環境とは何か?』を試行錯誤しながら、365日24時間、運営は続く。

今までとこれから

オープンからおよそ一年半。
山口に『この一年半の間でとくに印象深かった仕事は何か?』と訊いてみた。

すると、テックスタッフの総力をあげて取り組んだジュニパーネットワークス社との開発案件や、初期の段階から試作やモックアップをサポートしてきたno new fork studioのスマートシューズ『Orphe』が実際に世に出て大きな反響を呼んでいるということが、とても感慨深いと言う。

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ジュニパーネットワークス社の次世代データセンター向けハイパフォーマンススイッチ「QFX10002」。その精密なモックアップ(実物大モデル)をDMM.make AKIBAと共同で作り上げるプロジェクト。
http://forums.juniper.net/t5/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/bg-p/japan-blog/label-name/dmm.make%20x%20juniper

https://www.youtube.com/watch?v=9wzYunGFPLE

2016年6月22日よりついに一般予約販売が開始されたスマートシューズOrphe。
ファッションを拡張する自由なプラットフォームとしての靴が、今世界中から注目を浴びている。
http://orphe.shoes/

企業の受託案件から、スタートアップのモノづくりサポートまで。
山口は今まさに、昔から思い描いていた『企画・設計・実装、とモノづくりの川上から川下まで』トータルで関わる仕事をしている。

今後はより一層スタートアップのモノづくりのスピードを加速させられるようなサポート体制を整えていきたい。また、バックグラウンドが全く異なるメイカー達が集まっても、互助しあって、新たな価値を生み出していける『場』として育てていきたい、と語る。

『一家に一台、当たり前にあるもの』がこの施設の会員が生み出してくれる、そんな近い未来を思い描きながら。

思い入れのあるものたち

最後に、モノづくりに携わり続ける山口が、ずっと大切にしているものをご紹介したい。

以下①~③は学生時代に制作したモックアップ(写真左から順に)
①designed fire extinguisher
『景観を損ねないデザイン』をコンセプトにした消火器。

②パーム型デジタルカメラ+デジタルフォトフレーム
15年前の当時はコンセプトとしては斬新だった、コンパクトに手中に収まるビジネスユースを想定したデジタルカメラと、セット置きできるデジタルフォトフレーム。

③デザイン栓抜き
テコの原理を用いて、片手でもビンと栓抜きを持って開栓できる、デザイン栓抜き。

④親から譲り受けた万力
ヴィンテージの万力。おそらく1960~70年代物。長年使用していたものを譲り受け、愛用中。

⑤自作の真鍮アクセサリー
『CARVING NUTS』というブランド名で、前々職の退職前後に作り始めた作品群。
ロゴデザインやパッケージ、真鍮のエイジング加工に至るまで全てを一人で手掛けていた。

⑥サカザキマシナリー製 3軸CNC
門型CNC。おそらく1980年代のもの。実家の20ftコンテナ内に今もなお眠っている。剛性があり、アルミや軽金属の切削加工は問題なく行える。一般人が所有するには手に余るような大物。前職の工業デザインモデル製作会社が解散した際、退職金代わりに譲り受けたものらしい。

DMM.make AKIBAより一言
様々な局面を満面の笑顔で乗り切る男、テックリーダー山口潤。その笑顔がずるいと言われながらも、抜群の人間力でスタッフや会員さんに愛されています。そう書くと、笑顔だけが取り柄のようですが、決してそんなことはありません。DMM.make AKIBAの礎を築き、情熱と意志を持って現場を率い、満面の笑顔でStudioの空気を和ませる男です。
そんな山口氏と一緒に働いてみたい方は、ぜひDMM.make AKIBAにご応募ください!
(編集・境 理恵)

DMM.make AKIBA 採用情報
(契約社員※社員登用有)http://www.dmm.com/recruit/other/3dprint_tech.html
(アルバイト)http://www.dmm.com/recruit/other/techstaff_parttime.html

『なかのひと』前の記事⇒なかのひと #1 「テック技術顧問 阿部潔」

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