なかのひと #3 「テックスタッフ 千葉亜沙斗」

なかのひと #3 「テックスタッフ 千葉亜沙斗」

DMM.make AKIBA
DMM.make AKIBA (ID4043) 公認maker 2016/09/28
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DMM.make AKIBAの『なかのひと』。このコーナーでは、昼夜AKIBAでものづくりする人々を陰から支えるスタッフにスポットを当て、隠れたエピソードを交えご紹介!(文・杉山周二)

テックスタッフ・千葉亜沙斗(ちば あさと)、25歳。
一度見たら忘れられないインパクトの強い髪型をした名物アルバイトスタッフだ。ものづくりに挑むスタートアップベンチャーを見守り、ときには自ら率先して効率的な作り方などをレクチャーする。教えることが大好きな「もの作りの水先案内人」である。

彼の髪型は生まれもっての「天然パーマ」で、科学実験の果ての爆発によるものではないとのこと

一緒に働くAKIBAのスタッフに彼のエピソードを聞いてみると、「自分のやりたいことができないから大学を飛び出した」「DMM.make AKIBAで働く前は大学を休学して起業したらしい」「今はクリエイターが集まるシェアハウスに住んでいるらしい」……など、若干25歳ながら人生経験が豊富な印象だ。DMM.make AKIBAで働くに至るまでの紆余曲折や、現在の仕事のやりがい、将来の展望などを訊いてみた。

2014年8月頃より、千葉氏はwebエンジニアや、PRプランナーなどのクリエイターが集うシェアハウス「TOLABL」に住む(http://www.tolabl.com/) 。1Fのシェアスペースには、千葉氏が自費で揃えた、常磐、ボール盤、旋盤、フライス盤、バンドソー、3Dプリンターなどの機材がズラリ。壁一面には機材の使用方法がびっしりと書き込まれている。

少年時代

人に教えることが好きな千葉少年。彼はどのようにして育ったのか――
幼少の頃、物心ついた時から壊れた家電はとりあえず解体したり、豆電球を燃やしたり、生き物を突っつきまわしたりと、かなり好奇心旺盛。しかし、学校の成績表はビリに近かった。

転機は、小学3年生の時。担任の先生が子どもの個性をノビノビ伸ばす人物で、理科の実験の際に「何でこうなるんだろう?」「僕は、こう思う」など、数多くの疑問や考えを持つ千葉少年の意見を大切にして感性を引き出してくれる人だった。すると、1、2年次に伸び悩んでいた理科と国語の成績が良くなっていった。他人の興味や解決したいことに目を向けて、そっと手を差し伸べるという、今の千葉氏の仕事のスタンスは、どうやらこの体験が大きく影響している。

その後も、小学校高学年時代は親にねだって買って貰ったイミダス(辞典)で色々と調べつくし、中学生時代は小遣いを貯めて買ったサラシ粉で様々な化学反応をさせて楽しんだ。バッテリーを分解して硫酸銅の結晶を作り、果てはジャンク品のパソコンを買って動くように改造するなど、とにかく好奇心の赴くままに少年は突き進んだ。

好きなことはとことん追求する千葉少年であったが、高校に入ると部活動でも授業でも「やりたいことができない」というジレンマを抱えて、ついには家出をしてしまう。長野県でのサマーキャンプを通じて、子どもに自然科学系の学びを伝えるプログラムに身を投じる( http://www.kodomomura.jp/volunteer/vsummer/ )。そこで、既存の学校教育の枠に留まらない、個人の学びや気づきを重視した教育を体験した。

そして高校3年次に自分の進路を考えた際、理科系への関心と、ものづくりへの尽きない興味から、千葉工業大学に進むことを決心する。

大学時代(中退、そして起業)

晴れて千葉工業大学・工学部機械サイエンス学科に入学した千葉青年。しかしやはり、大学に進んでも彼の好奇心を満たすのは常に教室外のこと。座学中心の授業に出席しつつも、興味は課外活動へと次第にシフトし、サークル活動を転々とする日々を過ごした。

まず、1年次はロボットサークルに入部。コースを認識して自走するマシンを制作し、学祭で発表を行なった。Arduinoがまだ一般に普及する前に、AVRマイコンに直接C言語でプログラムを書いて過ごした。また有志チームでラジコン飛行機の制作に没頭し、「全日本学生飛行ロボットコンテスト」に出場するも、惜しくも予選敗退して涙を飲んだ。

2年次には、航空系のサークルに所属。動画撮影用のスマホを搭載したロケットを伊豆大島で打ち上げる計画を実行に移した。ロケットの製作では、大学生の千葉青年たちが高校生に作り方を教えるチーム編成が特徴。ロケットは無事に300mの高度まで打ち上がった。しかしパラシュート開閉機構のバッテリ切れによって弾道落下してしまう。搭載されていたスマホはものの見事に砕け散って地上の星と化し、千葉青年はまたも涙を飲んだ。

左:ロケットエンジンの燃焼実験。転火からエンジンパワーの推移を計測するテスト
右:打ち上げ後、上空300mまで打ち上がり落下して砕け散った夢のロケット

3年次に進級する頃、千葉青年はある悩みを抱えていた。それは「デジタルファブリケ―ションに関する研究を行いたいが、大学のゼミに受入れ先が見当たらない」というもの。

一方で、彼が中心となり仲間と続けていた活動が華を咲かせた。「老若男女に向けた自作電子工作キットを用いた電子工作教室」が、みごと習志野市の理工学教室事業(理工学教室実行委員会)に採択されたのだ。「これは事業としていけるかもしれない……!」。青年は一念発起し、大学中退と同時に起業。しかし、法人登記して事業計画を推し進めているその最中に悲劇は訪れた……。

習志野市の事業として採択された理工学教室の様子。液体窒素を使った科学実験、光の三原色の実験、電子工作、航空系の知識をふんだんに盛り込んだワークショップなどを行い、徐々に軌道に乗りつつあった
当時はまだ頭部がコンパクトである

そして、DMM.make AKIBAへ

在学中から2年間続けた教室事業で起業して事業計画を立てていくうちに、中核メンバー内で意見の衝突が起きた。大学を辞めた自分と、大学に籍を置きながら運営に関わる仲間との間に生じた深い溝。結果、チームの方向性が定まらずに空中分解してしまう。

「これからどうやって生きていこう.……」。計画が白紙に戻り、途方に暮れる千葉青年。
そんな折、ふと「デジタルファブリケーションだけでなく様々な機材が揃った環境で、起業家のものづくりを支援する場所が秋葉原にできた」という情報を得た。知人から紹介を受けたその場所が、DMM.make AKIBAだった。

もともと、ものづくりと人に教えることに興味があり、デジタルファブリケーションによって広がる可能性を追求したかった千葉青年。テックスタッフ募集の案内を見つけ、迷わず応募。無事採用され、現在まで1年半勤続し、いまではテックチーフとして責任のある立場となった。

DMM.make AKIBAにおける千葉氏の活躍は、まさに八面六臂だ。一通りの機材の使い方やメンテナンス方法を習得しており、特にマイコンと周辺回路を用いた基板設計・電子工作、それらを収納する外装設計・製作までを一気通貫でレクチャーできる。
最近ではStudio会員の様子を見守りながら「こうした方が失敗が少なく効率的な作り方ですよ」「この加工だったらこのスタッフに訊いてみるとよいですよ」という、Studio会員が目指す成果物へのベストな提案を行えるようになった。

そんな千葉氏には、ふたつの大きなモチベーションがある。
ひとつは、上記のように「ものづくりに挑戦する人たちの背中を押したい」というもの。テックスタッフとしてのみならず、実際にいくつかのスタートアップにメンバーの一員として参加し、設計や実装に関わるほどの熱量がある。
もうひとつは「世の中のものづくりのハードルをどんどん下げていきたい」というものだ。こちらはDMM.makeの情報発信メディア「モノづくりログ」にて、施設内の色々な機材の紹介や、ちょっとした便利ワザを教える記事を日々投稿して、積極的に情報発信している。

「モノづくりログ」での千葉氏のアカウントはこちら。
https://media.dmm-make.com/maker/3521/

多方面に活躍する千葉氏が語る、DMM.make AKIBAの良い点は「手ぶらで施設に来ても困らない機材の揃いの良さや、Studio会員の抱えるものづくりでの問題が、テックスタッフの裁量によるアシストで解決に繋がることが多い点」だそうだ。

これからのこと

そして、今後の展望についても尋ねてみた。
「“Fab”というものづくりの方法が、日常の問題を解決する身近な手段として定着するに貢献したい。例えば小腹が空いたから冷蔵庫から見繕って料理しよう、というくらいのフットワークで取り組めたり。また、”ものを作る人”が”車を運転できる人”ぐらいの割合まで増えてほしい」そうだ。

普段はサポート役に回っているが、ワークショップの企画立案することにも積極的だ。
「ワークショップで作られたものが、きちんと日常で活用されるまで繋がる企画をやってみたい。例えば、自作した箸やぐい飲みを使って、食べ比べや飲み比べを行う一日掛かりのワークショップ。他には、メガネフレームをアクリルから切り出して磨いて形状を作って、最後に身につけるまでのワークショップ。全然違う発想ですが、実際に対面しないメンバー同士が、図面やネットのやり取りのみで開発に挑戦するイベントもやってみたいです」

ハードウェアスタートアップの問題解決にそっと手を差し伸べ、ものづくりの敷居を下げる情報発信に心を砕く千葉氏。好奇心の赴くままに走り続けたあの時の少年は、いまも教室の枠には留まらず、人々にものづくりの面白さを伝え続けている。

DMM.make AKIBAより一言

寝ても醒めてもモノづくり。多分、死ぬまでモノづくり。人生を懸けてモノづくりに挑み続ける男。Studio機材に精通し、回路から外装までという守備範囲の広さで会員さんやスタッフの信頼を集める千葉くんですが、柔らかな物腰と人当たりの良さでも定評があります。色々と聞いてみたいし何よりあのヘアスタイルが気になる!という方は是非、気軽に話しかけてみてください。きっと、千葉スマイルに癒されることでしょう・・・。そして仲良くなるとふわふわヘアを触らせてくれます。(たぶん。)
そんな千葉氏と一緒に働いてみたい方は、ぜひDMM.make AKIBAにご応募ください!

DMM.make AKIBA 採用情報
・契約社員(※社員登用有)http://www.dmm.com/recruit/other/3dprint_tech.html
・アルバイト http://www.dmm.com/recruit/other/techstaff_parttime.html

(編集・境 理恵)

『なかのひと』前の記事⇒なかのひと#2「テックリーダー 山口潤」

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