ものづくり#2 「Makers College イチから始める3Dプリント講座」

ものづくり#2 「Makers College イチから始める3Dプリント講座」

DMM.make AKIBA
DMM.make AKIBA (ID4043) 公認maker 2016/10/26
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DMM.make AKIBAで『ものづくり』

DMM.make AKIBAでは、幅広い『モノの作り方』を学び、本格的なモノづくりへの第一歩を踏み出すための様々な取組みを行なっています。このコーナーでは、「本格的なモノづくり」を体験できるAKIBAのワークショップや講座の様子をご紹介していきます。(文・杉山周二)

「イチから始める3Dプリント講座」とは?

DMM.make AKIBA『Makers College』の第一弾、「イチから始める3Dプリント講座」が開講しました。1日完結型のワークショップとは違い、「目的に応じた3Dデータの作り方と、3Dプリンターを活用したラピッドプロトタイピング」を実践を通して身に付けられるのが特徴です。

全6回の講座の中で、前半3回で3Dプリンターについての総合的なノウハウ(3Dプリンタの仕組み・素材の違い・操作方法)や、3Dデータの作り方(無料ダウンロードサイトの活用、CADソフトの操作学習、各種3Dスキャナーの操作方法)を習得し、後半3回で「自分が作りたいモノを作る」ことに挑戦します!
3Dプリンターでのモノづくりを熟知したスタッフによる非常に分かりやすいレクチャーでデータの作り方を身につけられるので、初心者だけではなく「3Dプリンターブームに乗じて買ってみたはいいものの、データ作成で挫折して使いこなせていなかった・・・」なんていう方にもオススメです。

実際に第一期生の中には、最終的に紛失してしまったカメラパーツを3Dプリンターでオリジナルで生まれ変わらせた人や、職場のシーンで使用できるガジェットを作ったり、実際の仕事上で革命を起こす(かもしれない!)試作品を完成させる強者も出現!
「3Dプリンターを日常のモノづくりに最大限活用できるようになる」本講座の魅力について、制作例を踏まえてご紹介していきます。

第1~2回 3Dプリンターについて学ぶ・CADでの3Dデータを作ってみる

初回から自己紹介もほどほどに、さっそく3Dプリントしてみるところまで学習します。
まずは3Dプリンターについての座学です。3Dプリンター開発から普及に至るまでの歴史と未来について、プリンターによって異なる造形方式(熱で溶かした素材を積層させるFFF方式や、粉末状の素材をレーザー焼結させるSLS方式など)や、出力できる素材についての理解を深めます。

さて、3Dプリンターについて一通り学んだところで気付く、深く大きな落とし穴があります。
それは、「3Dプリンターは、出力したい3Dデータがないと何の役にも立たない!」ということです。当たり前といえば当たり前のことですが、このハードルの「乗り越え方」をひとつひとつ習得することが、この講座の大きな目的であり、3Dプリンター活用のカギを握っています。

ところで3Dデータを用意するにはいくつか手段があり、必ずしも「ゼロからデータを作成しなければいけない」という訳ではないのはご存知ですか?3Dスキャナーを駆使して見本となる実物からデータを取得するのもひとつの方法であり、また3Dデータを無料ダウンロードできるウェブサイトも数多く存在します。第1回ではDMM.make 3Dプリント公式ストアで無料データをダウンロードし、実際に3Dプリントしてみます。(3Dスキャナーについては後述)

DMM.make 3Dプリント公式ストア⇒ http://make.dmm.com/shop/137018

そして第2回ではモデリングを集中的に学びます。冒頭、受講者同士で「私はモデリングでこんなものを作ります!」と宣言してもらいます。スケッチや寸法メモを交え、イメージも夢も脹らんでいきますが・・・千里の道も一歩から。

本講座では、基本的に無料ダウンロードでき、活用の幅も広いCADソフト"Fusion360"を使ってモデリングしていきます。CADの基本操作(スケッチの押出しやモデルの足し引き・掛け算)を学び、基本操作を組み合わせて「自分の考えたモノ」のモデリングに挑戦!講師の手ほどきを受けつつ、完成したデータを3Dプリントして、基礎の習得は完了です。

"Fusion360"体験版⇒ http://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/try-buy

第3回 3Dスキャナーの活用方法を習得する

講座で扱い方を学ぶおもな機材達。
(写真上部右)全6回の講座間ずっと使用する熱溶融積層方式の3Dプリンター"AFINIA H480"。
(写真上部中央)穴埋めなどデータ修正をスムーズにしてくれるペン型3次元モデラ―
(写真上部右・写真下部)据置きタイプ・ハンディタイプの各種3Dスキャナー

第3回目は、「3Dスキャナーを使って3Dデータを取得する方法」を学びます。
リバースエンジニアリングの現場でも活躍する3Dスキャナーは、「作りたい実物が手元にあればそれをスキャンすることで、イチからのデータ作成が不要になる」という優れたツールです。受講者がそれぞれ持ち込んだスキャンしてみたいモノで体験してみます。サイズ・色・形状によってはうまくスキャンできないものもありますが、失敗も経験して学びます。

DMM.make AKIBAにある、据置きタイプ3種・ハンディタイプ1種を全部使ってみて、機種別の特徴も学びます。機材詳細については、過去の紹介記事をぜひご参照ください。
『どうぐばこ#1「3Dスキャナー編」』⇒https://media.dmm-make.com/item/3825/

ひと通り3Dスキャンを体験したら、次にスキャンデータの修正方法を学びます。"Meshmixer"というソフト(ブレンドツール)を使って、データ上に点々と空いてしまっている穴を埋めたり、3D出力に適したデータの調整を行います。修正が完了したら3Dプリントして、第3回目は終了。

次回からはいよいよ卒業製作に向けて動き出します!

けん玉を3Dスキャンし、穴埋めなどのデータ修正を経て3Dプリントしてみたもの

第4~5回 作りたいモノを作る

いよいよ講座も折り返し地点。第4回目の前半は、Mesh、Surface、Solidという各データ方式の違いについて学び、"Meshmixer"を使ってスキャンしたデータとCADデータを合成する方法を学びます。

そして後半はついに卒業制作のアイデア出しです!
「日常生活や仕事上での不便に感じていること」「こんなものがあったらいいな」といった視点で考えたアイデアを元に、これまで学んだことを駆使して作品にしていきます。30分程で描き上げたアイデアを発表し、「一番うまく行きそうなデータの作り方」を講師と一緒に確認した後、個別作業に入ります。なかにはカメラのリングパーツの寸法確認のために、カメラ本体の3Dスキャンから始める人もいたり、外装を3D出力するために、中に入れる基板と電子部品の細かい採寸から始める人も。

入念なデータ作成も大事ですが、一発で3Dプリントがうまくいくということはまずありません。一度出力してみると、パーツ同士のはまり具合がきつ過ぎたり、逆に甘かったり・・・
「空いているべき穴が空いていなかった」といった構造の間違いなど、様々な改善点が見つかります。これらの改善点を自分で見つけて「どこを・どう修正するか」を講師と一緒に考えて修正していきます。トライアル&エラーを繰り返すことで、どんどん作品の精度が上がっていきます。手間がかかりますが、こうしたラピッドプロトタイピングを繰り返すことで、データを作る力がメキメキと上達していくのです。

第6回 成果発表!

最後に駆け込みで3Dプリントしたり、造形物の仕上げ処理などをして、いよいよ卒業制作の作品発表!
様々なバックグラウンドを持つ受講者の方々のアイデアにより、「日常生活や仕事での不便を解決してくれたり、あったら楽しいなと思えるもの」がカタチになりました。そんな卒業制作の作品達をご紹介します!

①不便なドアのサムターンロックを自動で開錠してくれるガジェット
とあるオフィスで実際に設置されているドアのサムターンを自動開錠してくれるツール。使用方法として、まず黄色い円盤の中心の穴をサムターンにはめ合わせます。littlebitsで制御したモーターが緑の円盤を回転させ、両円盤をつなぐテグス(透明な糸)から動力が黄色い円盤に伝わることにより、サムターンが開錠される仕組み。実際オフィスのドアに設置してみたら、うまく作動したとのことです。


②POPなカメラレンズリング
こちらは、カメラ(RICOH GR DIGITAL)の携行中にいつの間にか外れてなくなってしまったレンズリングを3Dプリンターで生まれ変わらせたもの。
3Dプリンターの特性を活かしたカラー&デザインバリエーションでPOPな仕上がりに。講座第5回まではリングとカメラ本体のはまり具合が悪かったものの、ラピッドプロトタイピングを繰り返すうちにピッタリとはまるようになりました。こちらの受講者の方は、本講座で使用した3DプリンターのABS素材だけではなく、DMM.make 3Dプリントサービス内にあるナイロン素材での出力も試されていました。もともとご自身の職場にも3Dプリンタがあるとのことなので、今回習得ことをバネに、今後もより一層の「3Dプリンタを活用したモノづくり」の深化が期待されます!

(写真右)講座4回目ではまだ嵌め合わせがうまく行かなかった。
(写真中央)改良を重ねカメラ本体にリングがピッタリはまるようになった。
(写真右)DMM.make 3Dプリントサービスを利用し、ナイロン素材で出力したもの
DMM.make 3Dプリントサービス⇒ http://make.dmm.com/print/;jsessionid=653157E5E7FE46A990C90661CA354B59.web02


③mbed基板ケース
こちらの受講者の方が作られたのは、mbedと電子パーツがピッタリ収まるケース。壁に設置できるようにしたかったとのこと。やはりこちらの方も、何度かの3Dプリント試作を重ねて、最終的に基板がピッタリ収まり、上下向きを逆さまにしても基板が落下しないようジャストフィットするまで精度を上げていました。どこまでこだわるかは個々人のモチベーションにもよりますが、こちらは粘り強く改良を重ねて勘合精度の高めた、まさに模範的な卒業制作と言えそうです。

(写真左)第4回目での出力ではまだ嵌め合わせが甘かった。
(写真中央・右)第6回での出力までにピッタリの嵌り具合になるまで改良された


④小型カメラの焦点合わせ用アタッチメント
ごく小さなカメラのアタッチメント。小さいため焦点合わせの微調節が難しかったところを、円周の大きい3Dプリントパーツを取り付けることで、細かい調節をカンタンに行えるようにしたもの。こちらは実際に職場で使われているカメラだそうで、明日からさっそく「仕事に役立つ」作品となりました!

(写真左)もともと小さい歯車と大きい歯車で調節する機構だった。
(写真中央・右)改良を重ねて一体型機構へと進化を遂げた様子。


⑤GMMエキサイタ―
こちらはGMMエキサイタ―(本体に接触する対象を振動板として利用して音を出すことができる音響機器)で、その外装を3Dプリントされたもの。スピーカーとは異なり、3Dプリントした外装部分が接触する「机や壁自体」が振動してスピーカーになる、というものです。
「外装部分が容器としての機能だけでなく、音響的な機能を兼ね備えている」というモノを作るアイデアが、随一の輝きを放っていた作品です。

(写真左)GMMエキサイタ―。3Dプリントした外装自体が音響上の機能を持ち合わせている。
(写真右)実際に机に耳をあてがって「机スピーカー」から音楽を聴いているスタッフ。


⑥カラフル&POPなミニカーの立体駐車場
こちらは市場に出回っている製品としては味気ない透明なアクリル製品しか見当たらない中、カラフルでPOPに仕上げたミニカーの立体駐車場です。身の回りで「ありそうでなかったモノ」を探し出し、自分で作り改良を重ねられるところも3Dプリンターでのモノづくりの魅力です。


⑦双眼鏡用防雨・防風アクセサリ
こちらの受講者も「ありそうでなかったモノ」を制作されました。望遠鏡用の防雨・防風アクセサリは市場に出回っているものの、双眼鏡用のこうしたアクセサリーはほとんど見かけないのだとか。屋外でのスポーツ観戦などのシーンでさっそく役立ちそうですね。


⑧消防車の放水口アタッチメント
こちらの受講者は、消防車の放水ホースに取付け可能なアタッチメントの開発をされていました。手元で諸々の調節ができるようにするためのモノだそうです。(発明に近い内容が含まれるかもしれないため、詳細は伏せさせて頂きます。)
ご自身でも3Dプリンター購入を検討されているそうで、今後の試作改良の先に、現場でイノベーションを起こす製品が生まれてくるかもしれませんね!

(上記写真 左)ネジ切り構造のはまり具合をマジックインクでマークすることで、きつい部分・甘い部分を見極めている
(写真中央)3Dプリントパーツと基板を組み合わせたもの
(写真右)最終的に放水口と組み合わせたモックアップ

全6回を終えて

全6回の講座を終えて、みごとに各々の受講者が「日常生活や仕事上で役立ち、もしあったら生活が少し楽しくなるもの」を具現化できていました!

また受講後の皆様の感想として、
・色々な機材に触れながら勉強できたのが良かった。
・とても面白かったので、次回講座も参加してみたい。
・Fusion360のコマンドの有効活用法をもっと知りたい。
・Fudsion360でのTスプラインモデルの作成にチャレンジしたい。
・Fusion360以外のCADソフトや、他の3Dプリンターや素材について学ぶ補習を受けたい。
・駆動系や歯車など、もっと難しいお題にチャレンジしてみたい。
など、「よりモノづくりを極めていきたい!」という前のめりなご意見を多数頂きました。

どの方も始めは3Dプリンターのことを詳しく知らず、3Dデータの作り方も初めて学んだ方ばかりです。「3Dプリンターでのモノづくり」は一度習得したのち、トライアル&エラーを繰り返していけば、おのずと上達していきます。卒業生の方々は、今後も3Dプリンターを駆使して思い思いのモノを作りだしてゆかれることでしょう。

今やハードウェアの開発に欠かせないツールともなった3Dプリンター。その使い方をはじめの一歩からしっかりと学べるのが、DMM.make AKIBAの「イチからはじめる3Dプリント講座」です。

「世の中にないモノ」を自分なりに作り始めたい方は、ぜひ下記よりお申込みを!
Makers College イチから始める3Dプリント講座
https://akiba.dmm-make.com/about/eventDetail/174

(編集・境 理恵)

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