【AKIBAの中の人 岡島が気になったIoTな話題】5月号

【AKIBAの中の人 岡島が気になったIoTな話題】5月号

DMM.make AKIBA
DMM.make AKIBA (ID4043) 公認maker 2017/06/21
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DMM.make AKIBAのエヴァンジェリスト岡島康憲がFacebookページで毎週月曜日に配信している、【AKIBAの中の人 岡島が気になった今週のIoTな話題】の月間アーカイブです。
気になるハードウェア話をイッキ読み!(文・岡島康憲)

【1日】ジェームズ ダイソン アワード2017の募集が始まりました

どうも、DMM.make AKIBAの中の人の岡島です。

「問題解決のアイデア」をテーマにしたコンテストであるジェームズ ダイソン アワードが今年も始まります。ジェームズ ダイソン アワードはこれまで日本からも多くの応募を集めているコンテストです。
http://www.jamesdysonfoundation.jp/news/jda2017entry_opens/

これまでジェームズ ダイソン アワードでは筋電義手「handiii」を開発したexiiiが国際準優秀賞を受賞し、高齢者向けのインテリジェンスな杖である「Communication Stick」を開発した三枝友仁氏は国内最優秀賞を受賞しました。2016年度のコンテストの国際優秀賞はリサイクル可能な折り畳み式ヘルメット「EcoHelmet」。開発チームは賞金を活用して製品化したそうです。

ダイソン ジェームズ アワード国際最優秀賞者には30,000ポンド(約435万円)が与えられます。応募方法や申込みはこちらから。
https://jamesdysonaward.org/ja/the-brief/

【15日】MRがもっと手軽になりそう〜Acer×Microsoft「MRも対応するVRゴーグル」

今メジャーなMRデバイスと言えばMicrosoftのHoloLensですが、その廉価版になりそうなシステムが発表されました。値段は$300から。すごく安いです。HoloLensとの違いも気になります。わかりやすくまとまっている記事はこちら。
http://www.gizmodo.jp/2017/05/acer-microsoft-vr-headset.html

そもそもMR(Mixed Reality)というのは現実空間とコンピュータによって生成されたオブジェクトを重ねて(Mixして)表示する技術全般のこと。似た概念としてAR(Augmented Reality)がありますが、ユーザーが体験できるコンテンツとしては似ています。乱暴ですが、MRとARと似たものと考えていいでしょう。
(一昔前だと、HMDに搭載されたカメラでコンピュータに取り込んだ現実風景に対し、バーチャルなオブジェクトを合成、もしくは現実空間に存在するものを削除し、その映像をユーザーに見せるという手法をMRとする傾向がありましたが今はARとMRの定義が曖昧になっている印象です)

で、そのMRコンテンツの利用や開発のためにMicrosoftが製造販売しているのがHoloLens。シースルーのスクリーンを搭載した、頭でかぶるコンピュータです。まだまだ開発社向けキットというレベルなので、一般消費者向けにたくさん売れるというものではありませんが、今後発展するであろうMRコンテンツを開発するためにはとても重要なデバイスです。
https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens

ただこのHoloLens、33万円します。ちょっとMRのコンテンツ作るかー、というには高い。そこで今回の「廉価版HoloLensの出番。今回発表されたデバイスとHoloLensの大きな違いは3つです。

1)Oculus RiftやHTC VIVEのように視野全体をスクリーンで覆うHMDの形状をしている。(シースルーではない)
2)HoloLensはそれ自体にPCが内蔵されているためそれ単体で動作するが、廉価版はWindow PCに接続して動作する。
3)予定販売価格は$300から。

ユーザー体験がHoloLensとどの程度異なるかは実際に試さないとわかりませんが、MRコンテンツがより手軽に開発できるというのは開発者の裾野を広げる点で面白そうです。こちらがMicrosoftのブログ記事です。
https://blogs.windows.com/windowsexperience/2017/03/01/windows-mixed-reality-dev-kits-shipping-month/#cHiJdjs6G3rKCDt3.97

【22日】メモリの進化がウェアラブルデバイスの形を変えるかも〜インテル不揮発性メインメモリ

インテルが、不揮発性メモリの技術を活用した製品をリリースしました。パッと見、何がすごいのかよくわかりませんが実は結構すごいです。
https://itpeernetwork.intel.com/new-breakthrough-persistent-memory-first-public-demo/

少しわかりやすい日本語の解説はこちら。
http://www.publickey1.jp/blog/17/intel_persistent_memory2018xeoncascade_lake.html

一般的なPCやスマホは動作の際に二種類の記憶装置を使い分けています。一つがハードディスクやSSD、USBメモリに代表されるストレージ、もう一つがメインメモリです。
ストレージには、PCやスマホで動作するアプリ本体のファイルやセーブデータのようなものが保存されます。一方のメモリには、アプリ内での計算処理で一時的に必要な計算結果が保存されます。
ざっくり言うと処理結果のデータが保存されるのがストレージ、処理途中のデータが保存されるのがメインメモリという感じです。

メインメモリを「主記憶装置」、ストレージを「補助記憶装置」と言ったりもします。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%BB%E8%A8%98%E6%86%B6%E8%A3%85%E7%BD%AE

これまでのPCやスマホでは、メインメモリに「データの読み書きは早いけど電源供給が途絶えるとデータが消える」性質をもつ揮発性メモリが使われていました。一方ストレージには「データの読み書きはやや遅いけど電源供給が途絶えてもデータは消えない」性質をもつ不揮発性メモリが使われていました。
揮発性メモリと不揮発性メモリ、それぞれの技術をメインメモリとストレージにうまく活用する事で、PCやスマホが設計されています。

現在、メインメモリはDRAMを使うケースがほとんどです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Dynamic_Random_Access_Memory

で、ここからが今回インテルが発表した技術の話。今回インテルが製品化したのは「データの読み書きも早いし電源供給が途絶えてもデータが消えないメインメモリ」。これまでの揮発性メモリと不揮発性メモリのいいとこどりの技術を活用したメインメモリを開発したわけです。
これにより、電源供給が計算処理の途中で止まってもメインメモリから処理途中のデータが消えず、電源供給が再開されれば何事もなかったように計算処理も再開される。といったことが可能になります。

今回の技術はIoT系製品、特に小型である事を求められる製品の設計に影響を与える可能性があります。例えばウェアラブル機器の開発を通じてよく議論されるのがバッテリと給電の設計。
これまでのようにメインメモリに揮発性メモリのみを使用する場合、ソフトウェアが動作する間、常に給電する必要がありました。しかし、不揮発性メモリを主記憶装置に使えるようになると、状況に応じて処理途中にこまめに電源を切ることで消費電力を抑え、結果としてバッテリーを小型化させることが可能になります。

今回の不揮発性メモリをメインメモリに活用する技術はウェアラブルデバイスのような小型のIoT機器の設計に影響を与える可能性が大きいです。この技術がより低価格になり普及すれば、身の回りの機器の形もだいぶ変わるかもしれません。

【29日】センサーと機械学習は相性が良い〜カーネギーメロン大学「SYNTHETIC SENSORS」

https://www.youtube.com/watch?v=aqbKrrru2co

温度センサーや音センサー(つまりマイク)などなど、センサーから収集したデータをうまく活用することで店舗内のお客さんの動きから赤ちゃんの機嫌まで様々な事がわかるわけですが、家の中のあらゆる出来事を一つのデバイスで検出しようという研究がカーネギーメロン大学から発表されました。
http://www.gierad.com/projects/supersensor/

カーネギーメロン大学が発表した「SYNTHETIC SENSORS」は一つのデバイスで家(やオフィス)の中の様々なイベント、例えば冷蔵庫の開け閉めやオフィスの入退場などを検出できるシステムです。
最近では「スマート◯◯」というジャンルで照明のオンオフや、鍵の状況をスマートフォンから確認できるデバイスが製品化されていますが、「そのためにいちいち照明や鍵を買い換えるのはしんどい」というのも事実。
SYNTHETIC SENSORSを使うと一つのデバイスを部屋の中に設置するだけで、家やオフィスの様々なイベントを検出して、水の利用量からガスコンロのつけっぱなし、照明のつけっぱなしを知ることができます。
わかりやすい紹介動画はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=aqbKrrru2co

SYNTHETIC SENSORSのポイントはセンサーと機械学習にあります。デバイスの中にはマイクや温度湿度センサ、加速度センサから人感センサまで、カメラ以外の様々なセンサーが搭載されています。ここまではよくあるデバイスです。
違いはここから。それらのデータをクラウドで分析し「リビングの照明がついてる時のパターン」「キッチンの照明がついてる時のパターン」「洗面台の蛇口から水が出ている時のパターン」などと照合し、特定のパターンと合致した場合は該当するイベントをユーザーに通知します。
キモとなるデータのパターンは事前に行われる機械学習によって生成済みのもので、特殊なイベントでなければユーザーはこのデバイスを家のどこかに取り付けるだけで、様々なイベントを検知できるそうです。(「取り付けるだけでOK」というのはやや眉唾ですが…)
特殊なイベントについても、デバイスを動作した状態で実際に「水を流す」「電子レンジの電源を入れて動作させる」といった憶えさせたいイベントを実演することで、デバイスが自動でイベントとその時に発生するデータのパターンを学習し、対応できるそうです。

SYNTHETIC SENSORSは研究段階のようですが、デバイスと機械学習の組み合わせは様々な可能性があるでしょう。デバイスやアルゴリズムの概要はこちらの論文にて。(せめてアブストだけでも)
http://www.gierad.com/assets/supersensor/supersensor.pdf

(編集・境 理恵)

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