DMM.make AKIBA 3年間の軌跡とこれから - 3周年記念トークセッションレポート

DMM.make AKIBA 3年間の軌跡とこれから - 3周年記念トークセッションレポート

DMM.make AKIBA
DMM.make AKIBA (ID4043) 公認maker 2017/11/22
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モノづくり総合施設・DMM.make AKIBAは2017年11月11日に3周年を迎え、それを記念したトーク&展示イベントを開催しました。
トークセッションではfabcross編集部・越智 岳人さんをモデレーターにお迎えし、本施設の総支配人・橋場 光央さん、コミュニティマネージャー・上村 遥子さん、エヴァンジェリスト・岡島 康憲さんの3名が登壇しました。この 3年間で、モノづくり総合施設としてDMM.make AKIBAが利用された施設設備の実績データ等を初公開し、それと合わせ日本のハードウェア・スタートアップに実際にどのような動きがあったかを振り返りました。(文・田中佑佳)

DMM.make AKIBAの成り立ち

2012年、クリス・アンダーソン著「MAKERS」が世に広まったことが”メイカームーブメント”の皮切りとなりましたが、そこから2年、いわゆるIoTに関連するスタートアップが増えてきたタイミングで誕生した施設が、ここDMM.make AKIBAです。

(セッション資料から引用)

岡島さん:
2009年頃から、これまでハードウェア開発をしたことがなかった人に向けた電子工作キットなどが出始めて、その翌年以降からソフトウェアからハードウェア領域にまで踏み込んでくる企業が出てきました。そこから通信とハードウェアを活用したソリューション、いまでいうIoTに注目が集まり、だんだんとハードウェア・スタートアップも増え始めました。しかしWebサービスを作るのとはちがい、物理的なモノ、ハードウェアを作るには場所や機材が必要です。ただスタートアップにはそのような初期投資をする力がないところが多く、困っている人が増えていました。そういった人に向けて活動拠点を提供できればDMMとして将来的に大きなビジネスになるのでは、という流れでDMM.make AKIBAが生まれました。

施設利用者12,000人以上、スタートアップ100社以上

越智さんから「2014年の施設誕生以降、DMM.make AKIBAが実質日本最大級のハードウェア・スタートアップの拠点であると感じています」という言葉を受け、橋場さんがこれまでの施設利用者数と施設を利用してきたスタートアップの数を公開しました。

(セッション資料から引用)

3年の間で12,000人以上のユーザー、100以上のスタートアップが集まり、施設利用登録をしている人の8割が施設内のハードウェア開発・試作に必要な機材を取り揃えた「Studio」を利用しています。またその内の2割がHolidayプランを利用、着々とその数を増やしており、現在企業に所属しながらもモノづくり活動を積極的に行う人が増えてきている様子が感じ取れます。

またハードウェア・スタートアップとひとくちに言っても、実際にはスマートホーム、VR/ARなど多様な分野でプロダクトの開発が進められています。施設が始まった当初はエンタメ、農業が大半だったのに比べ3年間でメディカル/ヘルスケア、ロボティクス/ドローンと教育の分野が増えてきました。

(セッション資料から引用)

上村さん:
施設を利用するスタートアップをステージ別にみると、多いのはシード〜アーリー層になります。最近になり、エクスパンションやグロース、レイターにまで届くスタートアップが出始めました。ハードウェア・スタートアップは何かを契機に一気に成長する現象が多く見られるため、現在シードやアーリーのところも、1年後には上のステージまで上がっている可能性はあると感じています。

また急激な成長のなかで人材確保が間に合わず、営業やマーケティングといった役割の採用面についての相談も増えてきており、その部分においてもDMM.make AKIBAとしてサポートしています。

(セッション資料から引用)

DMM.make AKIBAならではの機材利用

施設内にある4700以上の工具や機材のなかから直近約1年間での利用時間を計測し、機材利用ランキングを公開しました。1位・3Dプリンター、2位・レーザーカッター、3位・機械学習PC、4位・PCBAルーム、5位・職業用ミシン、と広く一般的に利用されている機材から、普段あまり名前を聞かない機材までが上位にランクインしました。

(セッション資料から引用)

越智さん:
3Dプリンターを設置している施設は多いけれど、稼働でみるとそこまで多く利用されていないように感じています。その理由として3Dプリンターを使うにはきちんと設計ができる人がいなければ使えないからという面がありますが、ここでは1位なんですね。

岡島さん:
3Dプリンター、レーザーカッターはどこの施設にもあって、あまり物珍しさといったところはないかもしれません。ただ、実際どのような使われ方をしているかでみると、DMM.make AKIBAならではといったものが多いのもたしかです。レーザーカッターを使って革細工のアクセサリーをつくる、アクリルのケースをつくる、というのはよくある使われ方だと思いますが、AKIBAではハードウェアのプロトタイプを作るために利用するケースがよく見られます。

例えばメタルマスク。メタルマスクとは基板を実装する際に利用する治具で、これは一般的には専門の企業に発注するようなものなんですが、これをレーザーカッターを使って作ってしまうんです。この治具は名前のとおり金属で作られることがほとんどですが、OHPシートというフィルムを使いそれをレーザーカッターで加工することで、メタルマスクとして利用しているんです。

越智さん:
こうした治具の制作の知見も溜まっていくわけですね。Studioにはテックスタッフというサポートしてくれる人がいたと思いますが、彼らに相談できるんですか?

橋場さん:
現在テックスタッフは25人ほどいて365日24時間常駐しているので、いつでも相談可能です。それぞれ得意とする専門分野があり、受託も請け負っているのでスタートアップの方々にもよく利用いただいていますね。

岡島さん:
施設の機材利用傾向でみると、最近「恒温・恒湿槽」の利用が増えてきています。この機材は、製品が摂氏何度から何度までの幅で動作が可能なのかというものを実験する試験機材なのですが、この試験をするということはプロダクトが量産手前の段階にまで進んできている、といった意味でもあります。量産品同等のものができなければこの試験の意味がありませんし、スペックにも記載できません。
こういった状況からみても、先ほど話があったように、ステージアップしているスタートアップが増えてきているのがわかりますね。

サービスやプロダクトを作り出し成長を目指す人のプラットフォームに

DMM.make AKIBAは「革新的なサービスやプロダクトを作り出し、急激な成長を目指す人々のためのプラットフォーム」を目指し、最新のモノ・ヒトが世界中から集まる場所になるために段階にあわせて様々な取り組みをしていると、橋場さんからお話がありました。

(セッション資料から引用)

(1) スタートアップを発掘する
すでに成長し始めているスタートアップに限らず、これからを担う若手の育成と、モノづくり市場の活性化を目的として、アクセラレータープログラムと若手エンジニア支援を行なっています。

アクセラレータープログラム「DMM.make AKIBA Open Challenge」は、IoTなどの先端技術を活用した事業を行うスタートアップのプロトタイピングをサポートするものです。採択されたスタートアップとサポーター企業がタッグを組み、3ヶ月間の間にサービスやプロダクトをブラッシュアップします。
また、25歳以下のエンジニアに対し、開発拠点としてDMM.make AKIBAを提供するスカラシップ制度を展開し、開発のフォローをすると共に開発者同士のコミュニティ形成を促進しています。


(2) スタートアップの日々の開発を支える
スタートアップの開発がよりよく進むための拠点として施設の運営をすることに加え、製品化、量産、ビジネスモデルの悩みを相談できる専門家を招き、毎月無料の相談会を実施しています。また、大手企業の特徴を活かした特殊な相談会も不定期で開催、施設を中心に様々な企業・団体からのサポートを受けることが可能です。


(3) スタートアップの情報発信/事業化を支える
新たなサービスやプロダクトの発表の場として施設を活用いただいているほか、国内外の展示会と連携しスタートアップの出展サポートを行なっています。展示会に参加することでサービスやプロダクトのリーチを増やし、他のスタートアップ同士の繋がりを生み出すほか、企業や販売店との出会いにより成長のきっかけを作ります。

またDMM.make AKIBA Open Challengeでレベルアップしたサービスやプロダクトは、発表展示会「DemoDay」でプレゼンテーションおよびデモ展示を行い、ビジネスパートナーとなりえる企業や投資家に繋げています。

スタートアップを中心にDMM.make AKIBAが繋ぐもの

橋場さん:
施設を利用する方はミッションとパッションをもっており、色々な方との繋がりによって大きく飛躍することがあります。そのため、各団体と協力してスタートアップを支援していきたいと考え、様々な取り組みを行なっています。以前は「モノづくり施設をつくるにはどうしたらいいか」というお問い合わせを地方自治体からいただくことが多かったですが、最近では施設同士の連携のご相談をいただくことが増えてきました。

越智さん:
他のFab施設は競合という立ち位置にみえますが、そうではないのですか?

橋場さん:
DMM.make AKIBAの役割は「モノづくり市場を盛り上げること」だと考えています。そのため他の施設とも積極的に連携をしていきたいです。例えば今年7月にはTechShop TokyoやMaker Baseと一緒にイベントを行なっています。

また市場を盛り上げるためにも、若手の方にどんどんスタートアップしてもらいたいと考えています。それには学校との連携も欠かすことはできません。教育面で抱えているモノづくりに対する課題を解決していきたいです。いまAKIBAではスマートフォンで操作できるようにミニ四駆を改造するというワークショップを行なっていますが、そこに参加した小学生は少し練習すると半田付けできるようになるんです。スタートアップになるもっと前の段階からの育成についても、力をいれていきます。

越智さん:
多くの企業や団体がDMM.make AKIBAへ訪れているようですが、どのような関わりがあるのでしょうか?

上村さん:
スポンサー企業として関わっていただいているところは、施設を利用するスタートアップの強力なビジネスパートナーとしてご支援いただいたり、工具や資材のご提供をいただいて施設の皆さんにご利用いただいています。さらに毎月開催している交流会で、それぞれの企業が持っている技術や資材について展示や紹介をしていただいています。施設として足りていない点をスポンサードいただいている企業に補っていただくことで、施設にいるスタートアップをより強力にサポートできる体制を整えています。

岡島さん:
DMM.make AKIBA Open Challengeではこれまでに17チームが採択され、参加している大手企業サポーターとタッグを組み成果を出しています。こういった取り組みに企業が参加するのには「新規事業を始める段取りを学ぶ」という面があります。企業の中で新しい事業を始めるのはそれなりにハードルが高く、よい技術、よいネットワークがあってもそれをうまく活用することが難しい、ということが多くあると聞きます。そこで、こうしたプログラムのサポーターになりスタートアップと繋がることで、その企業にとってのイノベーション活動に繋がっていくんですね。

また、これまでハードウェアとは全く異なる業界だった企業から、そもそもIoTとはなんなのか、どういったところから取り掛かればいいのかわからないといったご相談を多く受けます。これまで都度対応してきましたが、今年にはいり企業向けIoT人材育成研修を始めました。この研修ではIoTの基本的な知識にあわせて実際に手を動かすところから、さらに1つのプロダクトを作る流れを体系的に学ぶことが可能です。そういった新しいサービスやプロダクトが生まれる土壌づくりも各企業・団体と力をあわせて行なっていきます。ちょうど10月からPwCコンサルティング合同会社さまと研修プログラム、製品開発におけるプロトタイピングのサポート提供、デジタル分野の人材育成における協業の開始を発表しました。

量産コンサルティングサービスの開始

DMM.make AKIBAは、これまでアイディアから製品化・ビジネス化までをメインにサポートを行なってきました。しかし、多くのスタートアップから量産面での相談が増え始め、今後プラットフォームとしてさらに拡大するべく、量産コンサルティングサービスを強化して行く方針について語られました。

(セッション資料から引用)

アイディアをかためプロトタイプをつくり、いざ量産という段階において、量産をふまえたパーツ選定や工場選びには知見がなくては思う通りに進めることができません。また量産にあたり、多くの企業や団体とのコミュニケーションが必要になりますが、開発に集中するスタートアップはその部分に手がまわらないことが多くあり、それが課題となっていました。
量産コンサルティングサービスを強化していくことで、1人スタートアップでも量産を可能にし、ワンストップで量産への移行が可能である施設を目指し、モノづくりにおいての課題は「DMM.make AKIBAに行けば何かできるのでは」と感じてもらえるようなプラットフォームとして成長をしていきます。

※量産コンサルティングサービスの詳細は後日別途発表予定

越智さん:
最後に、3人からそれぞれ今後の展望についてお伺いできますか?

岡島さん:
スタートアップを支援するための様々な取り組みをするためにも、売り上げを増やせる施策を増やしていかなければならないと考えています。施設に蓄積されている価値に値札をつけて、それが企業にとってメリットになるような連携を増やしていきたいです。

上村さん:
異業界だけのコラボに限らず、国を越えた取り組みも増やしていきたいです。

橋場さん:
AKIBA自身もスタートアップに近いと考えていて、まだまだ成長途中だと感じています。革新的なサービスやプロダクトを作り出し、急激な成長を目指す人々のためのプラットフォームとしてもっと拡充していきます。

最後に

3周年イベント当日は多くの企業・団体、またメディアの方にご参加いただき、スタートアップの展示も含め盛況のうちにイベントを終えました。DMM.make AKIBAに様々なお力添えをいただき、また共にスタートアップのサポートをいただき本当にありがとうございます。

これからもDMM.make AKIBAをよろしくお願い申し上げます。

[ DMM.make AKIBAについて]
株式会社DMM.comが運営する「DMM.make AKIBA」は、ハードウェア開発・試作に必要な機材を取り揃えた「Studio」、シェアオフィスやイベントスペースなどビジネスの拠点として利用できる「Base」で構成された、ハードウェア開発をトータルでサポートする総合型のモノづくり施設です。

>>DMM.make AKIBA ホームページ
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・DMM.make AKIBA Open Challenge
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