タンパク質でORIGAMI の巻

タンパク質でORIGAMI の巻

山椒魚
山椒魚 (ID3679) 2017/12/19
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https://adventar.org/calendars/2468 こちらの「今年読んだ一番好きな論文2017 Advent Calendar 2017」への参加

紹介する論文はこちら
Design of coiled-coil protein-origami cages that self-assemble in vitro and in vivo
Ajasja Ljubetic et al. Nature Biotechnology (2017) ,35, 1094–1101

タンパク質をつかってIn vitro(試験管内)のみならず、In vivo(生体内)で折りたたまれる(自己組織化?)タンパク質オリガミをつくったというもの。(DNAをつかったオリガミもあるよ!)
 

タンパク質って?

 20種類のアミノ酸(L型)アミノ酸がたくさん、直鎖状に重合して繋がったもの(ポリペプチド)で、そのアミノ酸の配列によって様々な構造をとります。
 例えば下図のような、剛直で曲がりにくい螺旋状のαヘリックス構造や、まっすぐなβストランドなどです。
 今回は主にαヘリックス構造をとるポリペプチドについて説明します。

 このαヘリックスが二本並んでいる時に、 正電荷をもったアミノ酸側鎖と負電荷をもったアミノ酸側鎖のペアが下図のように近接している時、電磁気的な引力が働いて引き合います。この引力によって二本のαヘリックスはくっつきます。

2本のαヘリックスをくっつけるためには、アミノ酸側鎖の正電荷・負電荷の配置が対応していなければいけないので、簡単には、下図みたいな感じでαヘリックスがA1(- +)、A2(+ -)、B1(- -)、B2(+ +)と4本あった場合、電荷の位置を調整することで、特定のαヘリックス同士をくっつけて、目的外のαヘリックスとはくっつけないようにするといったことができます。

 今回紹介する論文は、特定のペアを組むαヘリックスを複数(6ペア以上)利用して、タンパク質オリガミで正四面体などの多面体を作ったというものです。

αヘリックスでオリガミが作れます。

Design of coiled-coil protein-origami cages that self-assemble in vitro and in vivo 
https://www.nature.com/articles/nbt.3994
この論文では、αヘリックス状の構造をとったポリペプチドのペアを利用して、四面体、ピラミッドと三角柱などのタンパク質オリガミを作っています。αヘリックスの間は曲がる4~5個のアミノ酸で連結されています。

 ここでポイントとなるのは、正確に折りたたまれて立体化するように、複数のαヘリックスを連結する順番を考慮してやることです。
 通常の球状タンパク質などはその内部が詰まっているため、疎水性相互作用で構造が安定に保たれるのですが、今回作りたい正四面体、ピラミッド型と三角柱型のタンパク質オリガミは内部が空洞であるため、疎水性相互作用が弱く、目的の形状に折りたたまれることが難しいと予想されていました。

 初期の設計(正四面体)では、タンパク質全体の電荷が-9であり、大腸菌内でうまく作らせることができませんでした(不溶性画分に発現)。

 しかし、ポリペプチドの配列を変更して電荷を多く持たせるようにした結果、電荷を-33もつTET12SやTET12SN(電荷-47)は安定性が向上して、大腸菌内で目的の四面体構造に折りたたまれていることが確認されました(CDスペクトルやSAXS(X線小角散乱法 )で構造が確認されています。)。

 その他にも、筆者らはこれらのタンパク質オリガミ(Coiled-Coil based Protein Origami(CCPO))の製作を自動化するツールを作り、ピラミッド型の構造体や三角柱型の構造体を作りました。これらも大腸菌内で問題なく発現して、目的の構造をとっています。

 正四面体型のタンパク質オリガミについては、動物細胞、マウス体内でも目的の構造に折りたたまれていたことが確認されていて、タンパク分子を利用した薬物の体内への送達、ナノマシン、センサー、機能性材料などに使えるのではないかと考えられます。
 

では、実際にタンパク質オリガミを作ってみる

以下、論文の内容ほとんど関係なくなります。
 
面白そうなので、論文に掲載されているアミノ酸配列を基に、正四面体型のタンパク質オリガミを作ってみました。

まず、論文のSupporting Information Table S3から、TET12のアミノ酸配列をとってきます。
DiscoveryStudioに入力して、αヘリックス上のポリペプチド(全長約476アミノ酸)を作ってPDB形式で保存します。

Foldit standaloneバージョンで保存したPDBファイルを開きます。
https://www.rosettacommons.org/software/license-and-download
この辺の古いアーカイブからダウンロード。新しい方には無いです(担当者が卒業したらしく、2年ほど前からStandaloneVersionの更新は停止しているらしい)。)

58-61
95-98
135-38
216-219
253-256
285-288
322-325
359-362
396-399
436-439
上記の区間を選択後、Lボタンをおして残基の二次構造を「loop」に設定します。
ダブルクリックして、αヘリックスの部分のみを、凍結します。
これを、右クリックで伸ばしたバンドを使って、半手動で折りたたんでいくことで正四面体のProtein origamiの3Dモデル(PDB)が作れます。

 本格的にやると長くなるので、折りたたまれていく過程は動画を御覧ください。 12分ぐらいから正四面体になっています。
 (実はTake2。 Take1は反平行にするするべきαヘリックスのペアまちがえて失敗した。)

https://youtu.be/7nxKcwIID_A?t=12m39s

完成したPDBファイルを見たい方は下からどうぞ
(まぁ、完成したと言っても、相互作用するヘリックスの角度合わせ(ものすごく時間かかる)ていないので、肝心の水素結合が形成されていませんが。)

 

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参考文献、関連する研究

・Folditが使われている研究の例
Crystal structure of a monomeric retroviral protease solved by protein folding game players
Firas Khatib, Frank DiMaio, Foldit Contenders Group, Foldit Void Crushers Group, Seth Cooper, Maciej Kazmierczyk, Miroslaw Gilski, Szymon Krzywda, Helena Zabranska, Iva Pichova, James Thompson, Zoran Popović, Mariusz Jaskolski & David Baker
Nature Structural & Molecular Biology 18, 1175–1177 (2011)
https://www.nature.com/articles/nsmb.2119


・生体分子の代表格DNAによるオリガミもあるよ!
 Biotechnological mass production of DNA origami
Florian Praetorius, Benjamin Kick, Karl L. Behler, Maximilian N. Honemann, Dirk Weuster-Botz & Hendrik Dietz
Nature 552, 84–87 (07 December 2017)
https://www.nature.com/articles/nature24650

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