CES 2018 レポート:AKIBA発スタートアップがCES 2018でみせたもうすぐ来る新しい暮らし方

CES 2018 レポート:AKIBA発スタートアップがCES 2018でみせたもうすぐ来る新しい暮らし方

DMM.make AKIBA
DMM.make AKIBA (ID4043) 公認maker 2018/01/31
0

世界最大と言われているコンシューマーエレクトロニクス関連の見本市「CES 2018」が、2018年1月9日~12日に米ラスベガスで開催されました。最先端のエレクトロニクス技術や製品が世界中から集まるこのイベントに、DMM.make AKIBAのスタートアップも多数出展。その様子を、会場で取材したDMM.make AKIBAスタッフがレポートします。

秋葉原にあるここDMM.make AKIBAは24時間ほぼ年中無休で稼働しているが、毎年暮れの時期になると、世の中の仕事納めの雰囲気に反して夜も徹して作業をしている姿がよく見られる。こんな年の瀬に、そして年明け早々にそんなに必死に取り組んでいるのは誰なのか。それは、国際家電見本市CESへの出展を控えているスタートアップ達だ。

ラスベガスで毎年1月に行われるCESは、ここ数年でグッと日本からのスタートアップの出展が増加傾向にある。中小企業やスタートアップの出展を促進する日本貿易振興機構・ジェトロが主催しているEureka Parkエリアでのジャパン・パビリオン、またCES 2018から新設されたDesign & SourseエリアでのJAPAN TECH Projectといった取り組みにより、初出展のハードルが超えやすくなったことがその一因だ。また共同出展などを経てSands Expoエリアでの企業独自の出展も続々と増えており、革新的なプロダクトをもってして、国にとらわれずターゲットユーザーへの訴求に力を入れる世界を見すえたスタートアップそのものが生まれ、成長してきている事実もある。

100社以上のスタートアップが開発の拠点とするDMM.make AKIBAからもまた、CES 2018に出展をし、既存製品に加え新たなプロダクト、サービスを発表した企業がいる。そのうち今回が初出展となる8社を紹介しよう。

CES - The Global Stage for Innovation - CES 2018
https://www.ces.tech/

1. 生体情報を計測・解析するウェアラブルデバイス&クラウド解析ツール

日々の運動量を計測できるウェアラブルデバイスはすでに様々なものが世に出ているが、株式会社ArbletがCES 2018でプロトタイプを発表したウェアラブルデバイスは血圧を含む生体情報を複合的に常時計測しより具体的な健康状態、また本格的な解析による身体パフォーマンスの測定が可能になるものだ。

今回発表されたのはウェアラブルデバイスとそれに付随したクラウド解析ツールで、デバイスには光学・温度・加速度の3種のセンサーと電極が搭載され脈波・皮膚温度・動作・皮膚電荷の4つの生体に関する基礎情報を取得し、解析ツールによりそれらの情報を元にアルゴリズムによって呼吸数、血中酸素濃度、体感温度血糖値、自律神経バランス、乳酸値推定といった数値の取得が今後可能になるそうだ。それらの数値をもとに、ストレス状態、脱水、免疫力の増減といったこれまで感覚値でしかわかりえなかった部分が具体化されるとのこと。
解析ツールで確認することができるデータは、主に大学や企業の研究者やデータサイエンティストに向けた専門性の高いものとなるが、それらを用いて研究者が解析と検証、そしてフィードバックを繰り返すことにより一般ユーザーは自分の身体を最適な状態にコントロールするタイミングをはかることが可能になり、日々の生活や、学業・仕事に向けベストな状態でのぞめるようになる。

それぞれの人に合った新たな健康増進や身体パフォーマンス管理を実現を目指し、またそれらを研究する人がより深く、楽しく取り組むことができるような製品を提供していきたいという想いから、2018年内の製品リリースを目標に現在開発が進められている。
現在はまだ製品名、またそれに付随したクラウド解析ツールの名称は明かされていないが、今後のアップデートが楽しみなプロダクトだ。

2. クリエイター向け最新型入力デバイス「O2」

2017年10月よりMakuakeにおいてクラウドファンディングを開始し目標金額750%を達成したのは、BRAIN MAGIC社のクリエイター向け最新型入力デバイス「O2(オーツー)」だ。この度のCESで海外初展示であったが、会期中もひっきりなしにお客さんが訪れ、デバイスを試し好感触を得られたようだ。

このデバイスはグラフィックや動画編集を行うクリエイターの作業効率を飛躍的に高めるコントローラーで、独自に開発したオービタルエンジンにより倒す・回す・押すのシンプルな動作であらゆるPC動作が可能になる。また、256種のショートカットキー割り当てやジョイスティック機能でこれまでキーボードとマウスで行ってきた作業を一元化でき、人間工学に基づいて設計された使い心地は作業者の腕や手の負担を減らしてくれる、なんともクリエイターにありがたいデバイスである。

https://youtu.be/XESPCjtFlrI

今回のクラウドファンディング購入者は開発協力としてデベロッパープログラムに参加し、今後開発&アップデートを進めていき精度をあげていくとともに、さらに多分野のクリエイターサポートを目指すそうだ。一般販売時にはより多くの機能を備え、より素晴らしい作品を生み出すためのなくてはならないツールとして展開されていくだろう。

3. 家族で写真や動画を共有するサービス「Hale Orb」

今回でCES初出展にしてCES Innovation Awardsを見事獲得したのは、DouZen社のHale Orb(ハレ・オーブ)だ。このデバイスは専用サービスを用いて家族や友人といっしょに写真・動画を軽快な操作とともに楽しむことができるもので、気心のしれた者同士の団欒をリデザインしたプロダクトでもある。
各種SNSやクラウドサービスに散らかってしまったメディアデータをすべて同期し閲覧が可能なほか、メールに写真を添付するだけで限られたメンバーしか見ることができないプライベートアルバムの作成にも対応している。また連携する「Hale Stick」を用いることで遠く離れて暮らす家族への共有も、閲覧もワンタッチで行うことができる。

手のひらにちょうどおさまるサイズ感、そして家のリビングにあっても雰囲気を損ねない木製の外観、あわせて誰にでも使いやすい滑らかな操作性は、スマートホームで豊かに暮らす家族の姿がみえてくるようなプロダクトだ。今後のアップデートではGoogle Home、Amazon Echoに対応しボイス操作にも対応予定で、ますます家の中心で家族間のコミュニケーションを支える一柱になっていくのではないだろうか。

https://youtu.be/hQ-wV_TgDog

2017年6月には米国クラウドファンディングサイト・Indiegogoで開始40時間で目標金額を達成しその注目度の高さはいわずもがな、現在はプレオーダーを同サービスより受け付けている。2018年2月中旬には出荷が予定されており、今年のスマートホーム化の波にのってどこまで成長していくのか、期待は膨らむばかりだ。

DouZen Inc.
http://douzen.com/

Hale Orb:写真+動画+大画面で家族を繋ぐ
http://douzen.com/indiegogo_jp/

4. シューログプラットフォーム「ORPHE TRACK」

no new folk studio、通称nnf社は今回が3回目の出展ではあるが企業単独での出展は今回が初となる。このタイミングで新たに発表されたのは、スマートフットウェアのプラットフォーム「ORPHE TRACK」だ。このプラットフォームは既存製品のスマートフットウェア「Orphe」に搭載されているセンシング機能をベースに新たに開発されたもので、センサーモジュール「ORPHE CORE」と、それに搭載されている「ORPHE AI」の組み合わせにより、スポーツ、フィットネス、ヘルスケアに活用可能な運動解析、行動解析、移動経路解析(道案内、見守り)といった機能が提供されていく予定。

https://youtu.be/6HcLu-Y5194

これまでのOrpheでは靴とセンシング機構が一体となっていたが、今回発表されたORPHE COREはセンサー部を靴の消耗に応じて付け替えが可能となったことで日々の利用に加えて、より活発な運動で靴デバイスを活用することが可能になった。またプラットフォームに適した靴のデザインを設計できる「ORPHE FRAMEWORKS」もあわせて公開されたことで、靴の独自性を追求したウェアラブルデバイスの開発が可能となる。

CES 2018の会場ではORPHE TRACKに対応したコンセプトシューズとランニングフォーム解析アプリを用いたデモンストレーションが行われた。ランニングに適した靴のデザイン、それに内臓されたORPHE COREによって緻密なデータ検測がされ、リアルタイムでグラフィカルに動きを再現し動きを分析をする様子は、今後のスマートフットウェアの可能性を感じさせ期待が高まらざるをえないものだった。

no new folk studio Inc.
http://no-new-folk.com/

ORPHE TRACK
https://track.orphe.shoes/

5. 運転支援デバイス「Pyrenee Drive」

ヒューマンエラーから起こる自動車事故をAIと画像認識の技術を用いて解決しようと開発が進められているのはPyrenee社の運転支援デバイス「Pyrenee Drive」だ。車のフロント部に設置することで、搭載されたステレオカメラにより前部にある車や人を物体としてだけではなく距離感をリアルタイムに認識し、そのうえで蓄積された情報をもとにAIが事故につながりうる状況を察知しドライバーにアラートをあげる仕組みとなっている。

自動車事故の多くは、ささいな散漫からくるものがほとんどで、如何に集中力の高い人であっても起こり得るリスクは常に隣り合わせだ。世界中で人身事故はあとをたたないが、車社会のアメリカでは人通りがほとんどない広大な大地での単独事故もよく起きているとのことで、ドライバーの誰にとっても必要なデバイスであることは間違いない。そうした事故を防ぐ機能のほかに、万が一それでも事故がおきてしまった場合に搭載されたGPSとカメラの情報をインターネット経由でコールセンターに送信、救命活動をサポートをも可能にしている。

多くの人が様々な場所、シーンで利用することにより、事故が起きづらい社会を構築していくことができるこのPyrenee Driveは、2018年後半に製品リリースが予定されている。CES会場では、プロダクト紹介ムービーとプロトタイプによるAIを使った物体認識のデモが行われた。今後1年かけどのようにブラッシュアップされた製品が、どうやって展開されていくか注目していきたい。

6. AI搭載ルームディフューザ 「Scentee Machina」

香りをテーマに、新しいコミュニケーションと文化を提示するテクノロジーデザインラボScenteeから、この度のCESでお披露目されたのはAI搭載ルームディフューザ 「Scentee Machina」だ。最大4種類のフレグランスカートリッジをあらかじめセットすることができ、スマートフォンアプリから自由に好みの香りを好きなタイミングで楽しむことができる。また朝目覚めた時、夜眠る時など指定の時間に好み香りを設定することが可能。さらにユーザーが意識的に選ばずとも、搭載されたAIがユーザーの好みを学習し適切なタイミングで香りの提案をしてくれるようになる。香りの強弱までも調整可能で、これまでのディフューザーではできなかったワンランク上の香り環境を実現してくれるデバイスだ。

複数のフレグランスが設定できることで香りが混ざってしまうのではないかと心配になるが、特殊なフレグランスを利用しておりカートリッジを入れ替えても香りが混ざる心配はほとんどないそうだ。またコンパクトにカートリッジを1つのみセットできるタイプもあり、部屋の大きさや利用環境によって使い分けるのもよさそうだ。現在選べるフレグランスは全14種類。CESと同時にクラウドファンディングサービス・Kickstarterでもプロジェクトを開始しすでに目標金額を達成、2018年6月頃に支援者の手元に届けられる予定。

https://youtu.be/25ZTY4UMDus

ディフューザーがWi-Fiに接続されていることで外出先からでも部屋の香り調整をすることが可能になり、急な来客や仕事などで疲れ果てて帰ってきたときにも大いに役立ってくれそうだ。専門家と相談し流体力学に基づき、部屋の隅々まで香りが広がるよう設計され、その条件下で最大限に魅力が発揮される専用のフレグランスの組み合わせは、リラクゼーション効果以上の体験をわたしたちに与えてくれそうだ。

Scentee Inc.
https://scentee.com/_balloon

Scentee Machina by Scentee Inc. — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/2069862374/scentee-machina

7. コネクテッド・ロック「TiNK」

2017年11月にDMM.make AKIBAで発表されたコネクテッド・ロック「TiNK」。従来のスマートロックの「開け閉めが管理できる」役割以上に、キーデバイスを媒介に宅配や見守りサービスなど様々な連携に取り組みよりよい暮らしの提案をしていきたいという想いから、コネクテッド・ロックというキーワードでtsumug社が開発しているものだ。個別のドアに設置できるタイプだけではなく、マンションなど集合住宅に適したタイプのデバイスの開発もあわせて進められており、すでにアパマンショップホールディングスグループなどの賃貸サービス業と連携し日本全国への設置を予定しているとのこと。

https://youtu.be/CljitOoIKOk

CESでは個別のドアに設置できるタイプ「TiNK C」がメインに展示され、スマートフォンを含めた物理鍵を一切使用せずドアの開閉ができるデモが行われた。またあわせてフューチャーモデルとして生体認証で開閉可能なタイプも展示され、ブースに訪れた多くのお客さんを湧かせていた。SIMが内臓されていることによりデバイスそのものが通信可能である、ということがTiNKの特徴の1つだが、現在は日本のみ対応しており今後世界展開を視野にいれているそうだ。

さらに今回のCESでは、TiNKのデバイスカバーを設計可能なデザインワークフレーム「TiNK drape」とデベロッパー向け開発キット「TiNK DVK(DeveloperKit)」が新たに発表された。どちらも個人・法人限らずTiNKをベースに新たなキーデバイス、サービス開発ができるもので、鍵をテーマとしたIoTプロダクトの立ち上げがグッと容易になったといえる。会場ではTiNK DVKを活用してメルカリと共同開発をすすめるシェア自転車「メルチャリ」が参考展示された。この開発キットは2月20日に福岡で行われるエンジニア向けイベント「tsumug Tech Day 1st.」にて参加者に無料配布が予定されており、日本国内でのスマートホーム化加速のきっかけとなりえるかもしれない。

tsumug,inc.
https://tsumug.com/

TiNK(ティンク)—最高の安全で安心を生み出す未来の鍵
https://tinklock.com/

tsumug Tech Day 1st.@福岡
https://ttd.connpass.com/event/77551/

8. VR体験に匂いを加えるデバイス「VAQSO VR」

2017年の東京ゲームショウでひときわ脚光をあびていたのは、VR体験に匂いを加えるデバイス「VAQSO VR」だ。HMDにデバイスを取り付けることでVRコンテンツに連携した匂いを感じ取ることができるもので、お菓子の匂いや、かわいい女の子の匂いなどVRコンテンツならではの楽しみ方にプラスアルファの面白みが加わったとあって多くのメディア、一般参加者が訪れ賑わっていたのは記憶に新しい。今回のCESではそのVAQSO VRのプロトタイプver3が公開された。

新verでは最大5つの匂いをカートリッジ式でセットできるようになった。従来モデルでは匂いの発生源本体と一体化されており、匂いも2つまでしか選べなかったことを考えると大幅なバージョンアップがされたといえる。カートリッジの匂い持続期間はおおよそ1ヶ月、その間何度でも利用することが可能だ。会場では、ラーメンや餃子をつくるトリコル社のCounterFight!、世界各地の複数の風景を楽しめるアルファコード社のVRider DIRECTとコラボし、食べ物や植物の匂いをユーザーに感じさせることでVRコンテンツのリアリティを引き上げていた。

VAQSO VRは2018年内に製品リリースを予定されている。現在はVRのシーンやアクションに連動して匂いを楽しむ形ではあるが、デバイスがローンチされ普及されれば匂いをベースにした新たなVRコンテンツが楽しめる日もくるだろう。様々なVR関連デバイスが登場してきているなかで、それらを複合的に組み合わせ体験する側に伝えることができるかを模索することは、VRの先のアプローチにも繋がる取り組みになるのではないかと感じられる。

VAQSO Inc.
https://vaqso.com/

2018年、さらに発展し続けるAKIBA発スタートアップに注目

各社から興味深いプロダクト、サービスが発表され、続々と製品の出荷がされていく今年。製品としてユーザーの手元に届き、そのフィードバックを受けてプロダクトの魅力はさらに上がっていくことだろう。それを使うユーザーのわたしたちもプロダクトと向き合うことで、自分自身の生活を見直すきっかけを得ることができる。世にでてきたプロダクトを見て体験しながら、生活に向ける意識を少しずつ広げ、開拓し、自分自身が自分の生活のリノベーターとして自身に働きかけられるよう、AKIBA発スタートアップの彼らの動きを追いかけ、応援していきたい。
(文・田中佑佳)

[ DMM.make AKIBAについて]
株式会社DMM.comが運営する「DMM.make AKIBA」は、ハードウェア開発・試作に必要な機材を取り揃えた「Studio」、シェアオフィスやイベントスペースなどビジネスの拠点として利用できる「Base」で構成された、ハードウェア開発をトータルでサポートする総合型のモノづくり施設です。

>>DMM.make AKIBA ホームページ
>>DMM.make AKIBA 公式Facebookページ

・DMM.make AKIBA Open Challenge
プロトタイプをさらにレベルアップさせたいチームを、技術やビジネスに精通した企業が3ヶ月間サポートするプロジェクト。
・DMM.make AKIBA 企業向けIoT人材育成研修
IoTを語れる、活かせる即戦力の育成をサポート。企業の経営者やそこで働く皆さまが、IoT技術を「自らのビジネスに応用させる」ために必要な知識を得る機会を提供します。

●DMM.make AKIBAに関するお問い合わせはこちら

参考にしてくれた記事

記事が登録されていません。
この記事を参考にして、新しく記事を投稿しよう!

違反について