MAKERS #31 「株式会社ASTINA 代表取締役 儀間匠」――「家族の笑顔を増やせる」プロダクトを作り続けたい

MAKERS #31 「株式会社ASTINA 代表取締役 儀間匠」――「家族の笑顔を増やせる」プロダクトを作り続けたい

DMM.make AKIBA
DMM.make AKIBA (ID4043) 公認maker 2018/11/28
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このコーナーでは、DMM.make AKIBAを拠点に活躍しているメイカーズにインタビュー。
モノ作りをしている方々の仕事内容や、技術に関するホットなトピック、そしてオフィス内の制作環境を中心に御紹介。話題作りに御一読を!(文・後藤銀河/写真・金子亜裕美)

衣服を自動で折りたたむタンス「INDONE(インダン)」と言えば、2018年10月に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2018」で、大きな注目を集めたことも記憶に新しい。メディアからも注目を集める独創的なプロダクトを開発するのは、ロボット開発スタートアップ株式会社ASTINAだ。
ASTINAの創業者で代表取締役の儀間 匠(ぎま たくみ)氏は、あのオタクの夢を具現化したとも言われるコミュニケーションロボット「Gatebox」のハードウェア設計の開発責任者だったという。その後、ロボティクス/IoTデバイスの設計/コンサルティングを専門とするASTINAを起業。「普段使いのロボティクスを」をコンセプトにコンシューマ向けモデルの開発・販売も手掛けている。ASTINAを起業した背景やその目指すところなど、お話を伺った。

株式会社ASTINA 代表取締役 儀間匠氏

<プロフィール>
儀間 匠(ぎま たくみ)
新日本製鐵株式会社にて生産設備の設計業務に従事後、アミューズメント機器の設計会社にてゲーム機器開発に従事。株式会社ウィンクル(現:Gatebox株式会社)にてコミュニケーションロボット「Gatebox」のハードウェア部門の開発リーダーとしてハード設計業務ならびにマネジメント業務に従事。
ロボット/IoTデバイス特化型開発企業・ASTINAを創業。年間約20種類の開発案件に携わる。現在は、「ふだん使いのロボティクスを」というコンセプトのもと、コンシューマ向け製品の開発及び販売事業に着手し、やさしく自動で衣類を折りたたみ収納する新しい家具「INDONE」を開発中。

――DMM.make AKIBAを利用されるようになったきっかけを教えてください。

DMM.make AKIBAを知ったきっかけはコミュニケーションロボット「Gatebox」

儀間氏:AKIBAで面白いロボットを作っているスタートアップがいるということをWebメディアで知って。それがウィンクルで、2015年5月に加わったのがきっかけになりました。

10Fにある様々な機材が自由に使えることが魅力的と語る儀間氏

儀間氏:僕は当時、武蔵小金井の小さな設計事務所に勤めていたのですが、AKIBAに来てみると、めちゃくちゃオシャレな場所じゃないかと(笑)それに10Fにある機材を見た時、こんなにいろいろな機材を自由に使える施設があるのかと、驚きました。
自宅は6畳ワンルームだったのですが、自分でボール盤やフライス盤などを少しずつ買って置いていたので、寝る場所もないくらい狭くなっていて(笑)10Fのような環境を使って、ものづくりが出来るのはすごく良いなと思いました。

ウィンクルがAKIBAに入居していた2015~16年頃は、10Fの機材を使ってGateboxの試作をやっていました。僕はハードウェア開発リーダーで、エンジニアとしても投影システムの開発や外装設計を主に担当していました。

儀間氏がウィンクル在籍時に設計に関わったGatebox限定生産モデル

儀間氏:僕がいた当時のウィンクルは人も少なく、とにかく長時間働いていました。立ち上げ直前には1カ月くらい家に帰っていなかったかもしれません(笑)そういうパワーを身につけていましたね。
またウィンクルはひとつのプロジェクトですが、電子部品とファームウェアと機械設計と大きく分けて3つの分野があって、その全体を統括していたので、マネジメント力も培えたと思います。

量産化を契機にウィンクルを離れ、自らスタートアップとなる

――その後、独立してASTINAを起業されたのですね。

儀間氏:はい、2016年10月から個人事業主としてフリーランスで設計を半年やっていたのですが、法人化した方が都合が良いだろうと、2017年3月に会社化しました。
それと並行して携わっていたウィンクルではGateboxも量産に向けて走り始めて、人も増えてきたこともあり、もう他の人に任せても大丈夫だなと思いました。それにエンジニアとしてメカ設計のレパートリーを増やしたいという思いがありました。

――ASTINAとしてどのような事業を進められていますか?

儀間氏:大きく分けて2つの事業をやっています。ひとつはハードウェアの設計開発の受託ビジネスとコンサルティングです。もうひとつが新製品開発で、2018年3月にINDONEの開発を始めました。

――受託ビジネスと自社製品開発を並行して手掛けられているのですね?

儀間氏:メイカーとしての立ち位置というか、自社製品を作るのが楽しいですから。確かに両方は大変ですが、メリットもあります。自社製品の開発には研究開発的な要素が入ってきますから、トライアンドエラーを繰り返しながら進めていく段階ではどうしても開発期間が長くなります。そういう場合、投資家からの出資だけでは回しにくいこともあるので、受託ビジネスを絡めて売り上げを立てていくことも大切だと考えています。

――AKIBAはどのように利用されていますか?

儀間氏:Gateboxの初期試作段階では、10Fの機材を使ってどんどんプロタイプを作り、ある程度出来上がったところで専門の試作業者に依頼していました。

AKIBAのテックオーダーで短納期の案件にも素早く対応

儀間氏:今ASTINAで受けている案件には、短納期の案件も多く、しかも展示会に出すものなので仕上がりも確実なものにしたいという案件が多くあります。僕たちはメカ設計に特化していますから、実際に露出できるプロダクトのモノづくりをするためには外部の業者さんが必要です。通常だと、細かく仕様を決めて外注するのがセオリーですから、それなりに工数も必要です。
でもAKIBAのTECH ORDERサービスにお願いすると、膝を突き合わせて、こうしたほうがいいじゃない?という感じで、直にやりとり出来て、すぐに発注できます。すごくスピード感があり、フレキシブルに動いていただけるので、すごく助かっています。AKIBAのテックスタッフさんは、元々試作屋さんだった方もいて、展示会にも十分だせるほど仕上がりも良く、かなりお勧めです。

AKIBAのTECH ORDERは、相談しながら素早く仕様を詰められるので納期が短くクオリティ高くできるという。

――利用形態は変わっても、施設ができたばかりの頃から継続してご利用頂いていますね。

儀間氏:AKIBAのTECH ORDERでは、一般の試作メーカーのように、あいだに営業さんを通す必要がありません。こちらの意図をダイレクトに伝えられるので、加工屋さんと直接話ができるは大きな利点だと思います。それに、製作方法なども技術的な視点からの提案を出していただけるので助かっています。

あとは、12Fのスペースを打ち合わせ場所として利用しています。ASTINAのお客様には、AKIBAのシェアオフィスを使われている方も多いので、この場所がコミュニティのプラットフォームとして機能していると実感しています。実はDMM.makeの仕事も受けていて、DMM VR Theaterの営業ツール(リスケールデバイス)をASTINAで請け負って制作しています。

ハードウェアを中心としたネットワーキングもAKIBAの魅力

――コミュニティとしてのAKIBAにはどのような印象を持たれていますか?

儀間氏:4年前から多くの人と関わってきましたが、やはりハードウェア色が濃いという印象です。ソフトウェアと違って、他の人が作業しているものが見えますから、自分がうまく行かなくて困っているときに声を掛けてもらったり、逆に僕が声を掛けたりと、お互いを助け合うような雰囲気があります。展示会前で人手が足りないとお手伝いに入ったりもしています(笑)

――みんなで切磋琢磨しながら乗り越えている感がありますね。

儀間氏:テックスタッフさんが、つながりのハブになることもあります。10Fで何か困りごとの相談を受けた時、メカの設計案件であれば僕につないでもらって、実際にお話させていただくようなケースもあります。

また、AKIBAの会員さんにはマーケティングが専門の方もいますので、知り合いになってすごく勉強させてもらっています。INDONEをCEATEC JAPANに出した時、TV取材が3件、Webメディアに10件ほど掲載されたのですが、事前にPRのコツを教えて頂いていたことも良かったと思っています。

新卒入社は、大手鉄鋼メーカーの設備開発を担当。数年後にアミューズメント機器設計会社に転職。メーカーからメイカーまで幅広い経験を積んできたという

――ハードウェアスタートアップとして起業し、ご苦労もあるかと思います。

儀間氏:そうですね、スタートアップは「人・物・金」がありませんから、リソース面では大変です。それに、経験のない法務関係も自分でやる必要があります。売り上げが増えてきたので事業を拡張しようとしても、なかなか人材が確保できないというのも切実な悩みですね。

自分の作りたいものを作るためには起業するしかない

ですが、自分で事業を起こして良かったと思っています。これまで大企業も中小企業もスタートアップも、一通り経験してきましたが、自分が作りたいものを作ること、自分が思い描く未来を創っていくこと、これは事業を起こさないと出来ません。

――そのプロダクトがこちらのINDONEですね。2018年3月に開発を開始し、10月のCEATECでコンセプトモデル発表と、かなり短期間で進められています。

本体に設置された衣類カゴに衣類を入れるだけで、自動で衣類を仕分けてたたんで、棚に収納するタンス「INDONE(インダン)」

儀間氏:弊社では1年間で20機種ほどのロボットやIoTの性能開発をしていて、最短で開発するためのノウハウを持っています。それに沿ってどんどん進めて、半年ほどでコンセプトモデルを仕上げました。
INDONEは、2019年末の発売を目指しています。その前に、百貨店や家電量販店、モデルルームなどにプロトタイプを置かせてもらって、お客様が実際に体験できる場を提供したいですね。

家事の負担を減らすことで、家族の笑顔を増やす「新しい家具」を作りたいと語る儀間氏

INDONEのブランドコンセプトに「家族の笑顔を増やしたい」というものがあります。INDONEの機能は、衣類をいれると自動でたたむというものですが、たたむことが目的ではありません。自動化によって生まれる時間で出来ることや、洗濯物のたたみ方で夫婦が揉めたりしなくなった先でのコミュニケーション。そうした世界観を実現するための道具として、いろいろなハードウェアを提供したいと考えています。

――今後、どのように会社を成長させたいとお考えですか?

家族の笑顔が増やせるプロダクトを作りたい

儀間氏:僕は、本当はエンジニアとしてずっと続けていきたいと思っています。会社が大きくなると人に任せる部分が増えるのは仕方がないことですが、自分が作りたいと思うプロダクトを作っていきたいですね。

あと、プライベートでは、週に2日くらいはしっかり休んで、娘の成長をみたいですね。起業後は本当に忙しくて、生まれて間もなかった娘が、いつのまにか立ち上がれるようになっていたのに気付いたときは、すごく辛かったです。そんなことがあって、僕は家族の時間を大切にしたいと思い始めました。INDONEにもそうした思いが反映されています。

家に帰っても妻が子育てに疲れてぐったりしていたり、たまの休みなのに夫婦で喧嘩してしまったり。社会的な課題の解決も大切ですが、僕はどの家庭にもあるようなこと、家族が笑顔で過ごせること、そういうものを大切にしようと考えています。家族の笑顔が増やせるような新製品を次々と生み出せる会社にしたいと思っています。

AKIBAから一言

今でこそ滞在時間は少なくなりましたが、一時期は本当に毎日Studioで作業されていたので、「実はテックスタッフなんじゃないか」という噂があった儀間さん。私もお会いするたび「いつテックスタッフになってくれるんですか」としつこく聞いていました。そしてなぜか、一部のスタッフから「世界の儀間さん」と呼ばれていました。誰が言い出したことなのか、その由来もいまとなっては不明ですが、気付けば起業されていたし、ご結婚してパパになりましたし、鼻ヒゲも生えてるし、Tシャツ姿じゃなくなったし、どんどん会社代表らしい風格を備え、もう誰もテックスタッフと間違うことはないでしょう・・・。私ももう、スカウトするのはやめておきます。そんな儀間さん率いるASTINAはただいまスタッフ募集中とのことです。儀間さんと一緒に、家族の笑顔を増やしてみませんか?

▼儀間さんよりメッセージ
【ASTINAはものづくりが好きな学生エンジニアアルバイト(未経験可・ハード・ソフト問わず)】募集中です!興味のある方はこちらにDMください!!

[ DMM.make AKIBAについて]
株式会社DMM.comが運営する「DMM.make AKIBA」は、ハードウェア開発・試作に必要な機材を取り揃えた「Studio」、シェアオフィスやイベントスペースなどビジネスの拠点として利用できる「Base」で構成された、ハードウェア開発をトータルでサポートする総合型のモノづくり施設です。

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