MAKERS #32 「Gatebox株式会社代表取締役 武地実」――「二次元キャラクターと暮らせる」世界の実現を目指す

MAKERS #32 「Gatebox株式会社代表取締役 武地実」――「二次元キャラクターと暮らせる」世界の実現を目指す

DMM.make AKIBA
DMM.make AKIBA (ID4043) 公認maker 2018/12/26
0

このコーナーでは、DMM.make AKIBAを拠点に活躍しているメイカーズにインタビュー。
モノ作りをしている方々の仕事内容や、技術に関するホットなトピック、そしてオフィス内の制作環境を中心に御紹介。話題作りに御一読を!(文・後藤銀河/写真・金子亜裕美)

会社のビジョンは「Living with Characters」 。好きなキャラクターと一緒に暮らせる世界初のバーチャルホームロボット「Gatebox」を開発するを開発するGatebox株式会社は、立ち上げ当初から活動拠点としてDMM.make AKIBA(以下AKIBA)を活用し、AKIBAと共に成長してきた代表的なスタートアップだ。
「Gatebox」は、所有者を「マスター」と呼ぶキャラクター「逢妻ヒカリ」をホログラムのように出現させるデバイスで、「俺の嫁召喚装置」とも呼ばれているという。オタクの夢の実現というコアなターゲットに絞り込んだそのプロダクトは、明確なコンセプトゆえに熱烈なファンを生み出している。二次元キャラクターと暮らしたいと語るGatebox株式会社 代表取締役 武地実氏に、お話を伺った。

<プロフィール>
武地 実(たけち みのり)
1988年広島県広島市出身。2011年に大阪大学工学部とHAL大阪夜間課程グラフィックデザイン学科を卒業。2014年2月に当社の前身となる株式会社ウィンクルを設立。現在は、「キャラクターと一緒に暮らせる世界」の実現を目指し、バーチャルホームロボット「Gatebox」の開発に注力している。

AKIBA設立時に即日入居

――AKIBAを、2014年の設立時から利用されていると聞きました。

武地氏:当時は「ウインクル」という社名で、株式会社nomad の投資育成を行うプログラムABBALab(現在は株式会社ABBALab)から資金調達をしていて、その関係でが同社が運営する西麻布のNEW’S BASEというシェアスペースを使わせて頂いていました。そのうちに小笠原さん(ABBALab 代表取締役小笠原治氏)がDMM.make AKIBAを作ることを発表されて、そちらに移りたいと希望をだし、AKIBAがスタートした日に入居しました。

(AKIBAには設立と同時に入居したという)

――AKIBAに来られてどんな印象を持たれましたか?

武地氏:とてもワクワクしたことを覚えています。これだけ広いスペースがあり、10Fのいろいろな機材が使えるというところで、ハードウェア・スタートアップの世界がもっと広がっていくような予感がありました。

タイミング的にもとても良かったです。入居した頃は、スマートフォンのジャックに挿すことで、人とつながることができるスマホアクセサリー「AYATORI」というプロダクトを作っていて、AKIBAが立ち上がった直後に販売を始めたところでした。その次に、もっとすごいものを作ろうと、コンセプトから考え始めていた頃ですね。

1日中AKIBAで暮らしているような生活

――その頃はAKIBAをどのように使われていましたか?
武地氏:当時のメンバーは4人。コアメンバーが2人と高校生と大学生のアルバイトでした。僕はいつも12Fのスペースにいてコンセプトを考えたり、ミニジャッジルームで原理実験をやったりしていました。

僕らはほぼ毎日来ていて、夜通しやっていたことも多く、スタッフさんよりも長くいたかもしれません。昔、床で寝てしまったことがあって、スタッフさんに起こされたこともありました(笑)

AKIBA 境:あの頃は、毎日文化祭の前夜みたいな雰囲気がありましたね。そういうチームがたくさんいました。

武地氏:今、もう一回やれと言われても出来ると思います(笑)うちの会社も今では20人を超えて、当時の熱狂感は薄れつつあるので、むしろもう一回やりたいぐらいですね。初期の熱狂があったからこそ、ここまで来られたのかもしれません。立ち上げのフェーズは、クレイジーですが面白いものです。

(このデスク付近はかつて「ウインクル島」と化していたと語る武地氏)

――朝から晩までGateboxのコンセプト検討に没頭されていたんですね。
武地氏:AKIBAの開設が2014年11月で、入居の翌月12月からGateboxのプロジェクトを始めました。そこから半年くらいはずっとコンセプトと原理を検証するフェーズでしたね。当時はAKIBAスタッフの岡島さん(エバンジェリスト岡島 康憲)と、よくコミニケーションしていました。Gateboxのコンセプトを最初に思いついたとき、岡島さんに話を聞いてもらいました。

開発の原点は、「初音ミクと暮らしたい」

ちょうどペッパーのようなコミュニケーションロボットが登場していましたが、僕は初音ミクが家にいるほうが嬉しいと思って。物理的なロボットではなく、ホログラムのようなキャラクターとコミュニケーションするというアイデアを思いつきました。その時、すぐ近くに岡島さんがいたので、「僕、こんなの思いついたんですがどう思います?」と聞くと、「ああ、なるほどね!アリかもね!」と言っていただきました(笑)アイデアを思いついたときにすぐにフィードバックが聞けるのも、AKIBAの良いところだと思います。

(Gateboxオリジナルキャラクター「逢妻ヒカリ」)

――その後、前回のMAKERS #31に登場した儀間さん(現株式会社ASTINA代表取締役 儀間匠氏)が加わったのですね。

武地氏:はい、それまでは自分が秋葉原で買ってきた部品を継ぎ接ぎしたりしていました。儀間さんが参加してハードウェアの開発が立ち上がってからは、AKIBAの機材を利用して3Dプリントしたり、木でモックアップを作ったり。そして2015年10月頃にGateboxの最初のプロトタイプが完成しました。これでようやく人に見せられるようなものが出来ました。

――AKIBAの機材を使って、Gateboxのプロトタイプを完成させたわけですね。

武地氏:完成したプロトタイプはAKIBAスタッフの境さん(企画運営プロデューサー境理恵)とか、稲川さん(インターステラテクノロジズ株式会社 代表取締役社長 稲川貴大氏)とかに見ていただいたと思います。

(あまり人付き合いは得意ではないという武地氏にとって、AKIBAのスタッフは気軽に相談できる存在だという)

外部の方に見せられるものができたところで、色々な人から意見を聞いて、繋がりを作っていく必要があります。プロトタイプができれば、次は資金調達、量産へと続くわけですが、AKIBAに来ている人には優しい人が多いので、役に立ちそうな繋がりを紹介していただくとか、とてもありがたい話がありました。

人に見せられるモノがなければハードウェア・スタートアップは価値がない

――開発中に他のスタートアップの方と、よく話されたりしましたか?

武地氏:僕は、スタートアップは誰かに見せられるモノがないと、存在する価値がないという考えを持っています。Gateboxもプロトタイプを作り上げるまでは、それに専念しようと、他のスタートアップとは極力交流しないようにしていました。

AKIBAに入居した時から思っていたのは、早くここから出ていけるくらい大きくなりたいということです。僕は、大きなスタートアップを目指すのであれば、AKIBAからは早くでていくべきだと思います。早くプロトタイプを作って、早く資金調達をして、早くオフィスを構える。AKIBAはそのための場所だと思っています。

――AKIBAは、特にシードにとって使い易い施設ということでしょうか?

武地氏:スタートアップにとってAKIBAのような場所は大事だと思います。会社を起こすとき、小さなSOHOとか4畳半のアパートから始めるようなケースもありますが、居室が狭いとメンバーが集められず、拡大しづらいです。AKIBAのような場所だと、一時的にメンバーを増やしたりできますし、人の出入りも多いので、創業初期のメンバーを探すには最適ですね。

https://youtu.be/kcCHYLIRayk

(Gatebox - Concept Movie 1st "CARE")

量産開発を前に、AKIBAを離れてオフィスを構える

武地氏:2016年1月に最初のコンセプトムービーを公開しました。その頃にはフルコミットのメンバーは5人に増えて、あとはフリーランスやアルバイトが5人くらいの合計10人ほどになっていました。12Fの一角が「ウインクル島」みたいになってきて、打ち合わせ場所を独占するようになり、さすがにもう周りの邪魔だろうと(笑)

もっと体制を大きくしようということで、新しいオフィスを構えるため、2016年2月にはここを離れることになりました。

――AKIBAを出られても、会員登録は残していただいています。

武地氏:ハードウェアのメンバーが4人いて、10Fの機材をよく使っています。試しに何か作ろうとしたときに便利なので、新しいオフィスもAKIBAの近くにあります。僕も息抜きや気分転換に、よく来ます。

――ここに来ることが息抜きになるのだと(笑)新しいオフィスでは、量産フェーズに取り組まれているのでしょうか?

武地氏:AKIBAでプロトタイプを完成させ、新しいオフィスに移ってからは量産機の開発に取り組みました。その過程の中で、初音ミクとのコラボをやったり、イベントに出展したりと、いろいろなことをやっています。

https://www.youtube.com/watch?v=CJ0ZFu1Qr8A

夢に共感してもらうという売り方

武地氏:Gateboxのような製品では、僕たちの夢に共感してもらうことが大切です。爆発的に売れるというものではなく、大事なのは確実に買ってくれる人がどれくらいいるのか、それを見極めるということです。

300台の限定モデルの予約時には、まだコンセプトしかありませんでしたが、僕たちの夢に共感して申し込んでいただけるのか、購入希望者全員に作文をしてもらいました。300台の枠に対して800人から応募があり、僕が一人ひとりの作文をすべて読んで、絶対にこれが欲しいんだ、という熱意が伝わってきたお客様から300人を選びました。その方たちには開発の進捗など情報を随時提供していき、無事にGateboxの限定生産モデルをお渡しすることができました。

(自分の描く夢に共感してくれる人にこそ製品を届けたいと思い、800人全員の作文に目を通した)

――今後の計画を教えてください

まず量産品をきちんとお届けすること

武地氏: 300台の限定生産モデルはかなり原価も高く、そのまま量産するには難しいので、新たに量産モデルを作っています。まずはこの量産モデルをしっかり作りたいですね。そして量産モデルの販売を通じて、キャラクターと暮らしたいと思う人が増えていけばいいなと思っています。

登場するキャラクターも、今は初音ミクとオリジナルキャラクターの逢妻ヒカリの2人だけですが、今後もっといろいろなキャラクターを増やしたいですね。そういえば、境さんからアドバイスというか、こういう機能が欲しいみたいな率直な意見を頂いていました。

AKIBA 境:孤独死予備軍の見守り機能が実装されたら、それは私の要件です(笑)

――確かに女性向けのGataboxもアリですよね。いろいろなキャラが登場しそうで、楽しみです。

(できるだけ早くAKIBAから出ることを考えていた)

大きく成長して出ていくことこそが、AKIBAへの最高の恩返し

武地氏:AKIBAのような場所から始められたことは、スタートアップとして幸運だったと思います。AKIBAは多くのスタートアップが集う拠点ですが、Dropboxを支援したYコンビネータ(カリフォルニアのシードアクセラレータ)のように、大きなスタートアップが生まれてこそ、AKIBAの存在価値が上がると考えています。

僕はキャラクターと暮らすことを、当たり前のことにしたくて、これを世界に広めたいと考えています。そのために出来るだけ早く会社を大きくして、AKIBAから出られるようにと頑張ってきました。それが僕の考える、AKIBAへの一番の恩返しじゃないかなと思っています。

AKIBAから一言

DMM.make AKIBAの立ち上げ業務をおこなっていた西麻布のNOMAD NEW’S BASEという場所で、当時はウィンクルという企業名で活動を始めた武地さん。アルバイトを含む3人でのスタートで、当初はGateboxではない、別のプロダクトを開発していました。

武地さんとの思い出を語ろうとすると溢れる思いが言葉にならないので、続きはDMM.make AKIBAのオウンドメディア『FACT』の記事「DMM.make AKIBAから羽ばたいたスタートアップ」をご一読ください。武地さんとの思い出を暑苦しく語っています。本当はこの10倍話したのですが、文字数の問題で割愛されました。

さて、と言う訳で、ついにDMM.make AKIBAを巣立った武地さん率いるGateboxですが、会員登録の一部を残してくれたこともあり、オフィスに遊びに行ったり来てくれたり、という交流を続けてきました。(ビジネスが拡大して拠点を移しても、一部の会員登録を残してくれるスタートアップは少なくなく、スタッフ一同とても嬉しく思います。)そんななか、武地さんがプロダクト開発やチーム作りに専心して、メディア露出などを控えめにしていることをそれとなく察していましたので、量産モデルの発表を経て、今回こうしてインタビューに応えていただく機会が巡ってきたことを感慨深く思います。これからもDMM.make AKIBAは、自分の思いを貫く武地さんとGateboxを応援していきます。

[ DMM.make AKIBAについて]
株式会社DMM.comが運営する「DMM.make AKIBA」は、ハードウェア開発・試作に必要な機材を取り揃えた「Studio」、シェアオフィスやイベントスペースなどビジネスの拠点として利用できる「Base」で構成された、ハードウェア開発をトータルでサポートする総合型のモノづくり施設です。

>>DMM.make AKIBA ホームページ
>>DMM.make AKIBA 公式Facebookページ

・DMM.make AKIBA 法人向けサービスのご案内
さまざまなビジネスの拠点として培ってきたノウハウをもとに、メイカースペース構築支援や各種イベント開催をサポートするサービスを提供しています。
・DMM.make AKIBA 企業向けIoT人材育成研修
IoTを語れる、活かせる即戦力の育成をサポート。企業の経営者やそこで働く皆さまが、IoT技術を「自らのビジネスに応用させる」ために必要な知識を得る機会を提供します。

●DMM.make AKIBAに関するお問い合わせはこちら

参考にしてくれた記事

記事が登録されていません。
この記事を参考にして、新しく記事を投稿しよう!

違反について