Kickstarterでクラウドファンディング(1)「Kickstarterに出すのに必要なもの」

Kickstarterでクラウドファンディング(1)「Kickstarterに出すのに必要なもの」

清水信哉(AgIC)
清水信哉(AgIC) (ID173) 公認maker 2014/06/06
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クラウドファンディングで大人気のKickstarterですが、出品するには色々と必要なものがあります。中には日本からでは準備が面倒なものも。

こんにちは、AgIC( http://agic.cc/ )の清水です。

AgICは2014年1月に創業、3月に主製品であるインクジェット電子回路プリンタをKickstarter( http://kck.st/1hUuk6E )に出品し、8万ドルの調達に成功しました。

この連載では主にKickstarterに出したことが無い人向けに、Kickstarter活用の裏側と方法を解説していきたいと思います。今回は連載第一回ということで、Kickstarterに出すにあたって必要なものを紹介したいと思います。

Kickstarterとは

まず初めに、Kickstarterとは何かを簡単にご説明します。Kickstarterとはいわゆるクラウドファンディングプラットフォームですが、非常に単純化して言うと製品化前の事前予約募集に近い機能を提供しています。というのも、ベンチャーや個人が新しい製品を作るときの問題点として、「開発にお金がかかるから、XXXX個売れないと開発費の元が取れない」「でも売ってみるまで何個売れるかは分からないから開発費の調達が大変」というジレンマがありました。それを解決するために、「XXX個以上売れると開発費の元が取れるので、欲しい方は事前予約をして下さい。XXX個以上集まったら開発します」という募集をするのがKickstarterです。

元々の理念的には開発のための「寄付」という形ですので、「商品が届く前に金が引き落とされる」「出来が悪かったからと言って後で金返せとか言わない」などメーカー側に有利な条件になっています。

AgICとは

続いて、簡単に自己紹介と言いますか、AgICがKickstarterに何を出品してどうなったのかをご説明します。AgICは2014年1月に創業したインクジェット回路プリント技術をコアにする技術系スタートアップで、従来は基板製造装置で作成していたプリント基板を、家庭用のインクジェットプリンタで印刷できるという技術を提案しています。これによって、プリント基板製造を外注したら1週間、1万円などかかっていたのを、2・3分、100円で製作が可能になることにより、回路の試作が段違いに早くなるというのを売りにしています。さらに、書いたパターンが2秒で乾いて導電パターンになるという導電性ペンという製品も製造しており、こちらは子供向けの科学教室などで使われています。

Kickstarterではこの回路プリンタを599ドルで、導電性ペンセットを$29で、その他いくつかの商品を加えてプロジェクトを立ち上げ、一ヶ月間のプロジェクト期間で約8万ドルの資金を得ました。これはTechnologyカテゴリの日本発プロジェクトとしては過去3位(2014年4月時点)の金額です。といっても日本発という縛りを外すと100位以内にも入っていないので、今後もっと日本発のプロジェクトが増えていって欲しいと真剣に考えています。

ちなみにAgICのKickstarterページはこちらです: http://kck.st/1hUuk6E

既に動いている試作品が必要

さて、ここからは第一回の主旨である、Kickstarterに出すのに必要なものの解説となりますが、Kickstarterに出品するにあたってまず必要なのは、何と言っても既に動いている試作品です。最終的な目標は「ぼくのかんがえたさいきょうの◯◯」でも構いませんが、それに向けて出品時点でコアな部分の実装は終わっていないと、そもそもKickstarter側からプロジェクト開始の承認がおりません。これはプロジェクトの遅延をまとめた記事( http://money.cnn.com/interactive/technology/kickstarter-projects-shipping/ )が書かれているように、特にハードウェアプロジェクトで大風呂敷を広げるだけ広げて実現ができなかったり予定より大幅に完成が遅れたりといった問題が多発したことに対する反省です。ですので、ガワだけ作って全編フルCGな勢いで近未来インターフェースな動画を作ったりしてもプロジェクト開始すらできないはずです。例外も稀に観測されます。

ただし逆に既に完成しているものは出品できないので、その匙加減も大事です。我々の場合はインクジェット回路プリンタと回路ペンでしたが、例えば回路ペンは市販の空ペンに手でインクを注入したものを試作品として出していました。そのように「今はこれ手で製作してますがこの先量産しますよー」というのはちょうど良い感じです。

米国の法人か個人が必要

面食らうかもしれませんが必要です。大変残念なことに、2014年4月現在、Kickstarterは公式には米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、オランダ向けにしかサービスを展開していません。ですが心配する必要はありません。やり方はあります。実際我々AgICも東京で設立したので、最初は米国には法人も何もありませんでしたが、結果的には問題なく出品することが出来ました。

米国での設立を前提にしますと、最終的に必要なのはVerifyされたAmazon Paymentのアカウントです。Amazon PaymentはPaypalに似た各種支払いを受けるのに使える決済サービスで、Kickstarterもこれを用いて決済をするのですが、他の決済サービスと同様に利用までにある程度の認証が必要です。そのために必要となってくるのが米国のSSN(法人の場合はEIN)、 米国の住所、米国の銀行口座です。

やり方は二種類あって、まず、もし米国のSSNと口座を持っているメンバーがいるのであればその方の名前を使いましょう。非常に楽です。もしいない場合には、オンラインの米国法人設立サービスというものがありますので、それを用いることができます。米国の場合、法人は驚くほど簡単に作れてしまい、現地に行く必要すらありません。我々の場合は現地の協力者の助けを借りて米国法人を設立しました。ですので、「米国のSSNと口座が必要」となった瞬間に諦めてしまう人が多そうですが、やろうと思えば実は簡単にできてしまいます。

最低でも一ヶ月半は必要

試作品が出来てから、です。法人設立からやらないといけないとすると、設立からAmazon paymentの認証まで全て完了するのに3週間か1ヶ月、さらにそれらを全て完了した後にKickstarterの運営からプロジェクトの承認を受ける必要があり、これが1週間から2週間かかります。ですので、ロジ面だけを見ても一ヶ月半は見た方がいいと思います。

おそらくKickstarterのスタートの一ヶ月以上前から「KickstarterをXX月からスタートします」という告知をすると思うので、少なくとも一ヶ月半、できれば二ヶ月くらいの余裕を持った日程を組んでおいた方が無難です。ちなみに、プロジェクトの承認を受けてしまえば、あとは好きなタイミングでスタートできます。スタート日の一週間前くらいにプロジェクトの承認を受けていつでもスタートできる状態にしておくほうが安心です。我々は2014年2月28日にプロジェクトが承認され、3月3日にスタートしましたので実はかなりギリギリでした。

このくらいでしょうか。なかなか簡単ではないかもしれませんが、逆に言うと実際に動いている試作品、米国法人、一ヶ月半以上の時間があれば、とりあえずKickstarterに出品することは可能です。次回からは内容に踏み込んで、良いプロジェクトにするために押さえておくべきポイントなどを解説します。

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